一戸建てのリノベーションは「マンションと違って自由にできる」と言われます。管理規約がなく、上下左右に他の住戸もないため、間取りの制約が少ないのは事実です。ところが実際に検討を始めると、自由なはずの戸建てで、思ったより選択肢が狭いという場面に出会います。
理由は構造です。戸建ての場合、木造か、それ以外(鉄骨造や鉄筋コンクリート造)かで、工事の考え方も、使える制度も、確認すべき資料も変わります。住宅金融支援機構の【フラット35】は中古住宅の技術基準の中で「木造の住宅とは、耐火構造の住宅及び準耐火構造の住宅以外の住宅をいいます」と定義しており、制度の側でも木造とそれ以外に線が引かれています。
先に押さえておきたい数字を一つ挙げます。名古屋市の木造住宅耐震改修助成は、耐震改修工事費の5分の4以内で、一般改修なら一般世帯で最大115万円、非課税世帯で最大165万円まで補助されます。ただし対象は木造住宅に限られ、昭和56年5月31日以前に着工された2階建て以下の住宅という条件が付きます。鉄骨造の家では、この制度は使えません。
この記事では、戸建てリノベを「構造で分けて考える」方法を示します。愛知県の実勢価格、名古屋市の掲載相場、耐震の制度、ローンの技術基準、購入資金の実額まで、判断に使える数字だけを並べます。
まず、木造とそれ以外で何が変わるのかを整理します。
| 項目 | 木造の戸建て | 木造以外(鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)の戸建て |
|---|---|---|
| 名古屋市の耐震改修助成 | 対象になり得る(条件あり) | 木造住宅耐震改修助成の対象外 |
| 【フラット35】の戸建型式 | 一戸建てまたは連続建てに限る | 型式の限定なし |
| 耐震性の確認方法 | 建築確認日が昭和56年6月1日以後、または耐震評価基準に適合 | 同左(基準は共通) |
| 耐震評価基準の内容 | 基礎の形式と、建物の形・壁の配置・筋かい等・壁の割合の評点 | 共同住宅以外は同じ評価軸 |
| 劣化状況の確認項目 | 土台、床組等に腐朽や蟻害がないこと等 | 外壁、柱等に鉄筋の露出がないこと等 |
※【フラット35】の行は住宅金融支援機構「中古住宅の技術基準の概要」より。耐震改修助成の行は名古屋市「木造住宅耐震改修助成のご案内」より。制度は年度で変わるため、実際の適用可否は申請前に必ず一次情報でご確認ください。
この表の意味は単純です。木造の戸建てには、耐震に関する公的な支援と、確認すべき固有の項目があります。逆に言えば、木造以外の戸建てを検討する場合、耐震改修助成をあてにした資金計画は成立しません。物件を見る前に、その家が木造かどうかを販売図面で確認してください。
実際の取引データを見ます。公益社団法人中部圏不動産流通機構の月例速報によると、愛知県の中古戸建住宅の2026年6月の成約は、件数317件、価格2,985万円、土地面積189.76m²、建物面積120.65m²、築年数23.05年で、価格は前年比9.2%増でした。
同じ月の愛知県の中古マンションは、価格2,573万円、専有面積73.51m²、築年数26.94年です。戸建てのほうが価格で412万円高く、築年数は3.89年若いことになります。戸建ては土地の値段が乗るぶん高く、一方でマンションより新しい物件が動いている、という関係です。
13か月の推移で見ると、愛知県の中古戸建の成約価格は2025年10月の2,586万円から2026年6月の2,985万円まで動いており、差は399万円あります。マンションと同じく、単月の平均は動きます。土地面積が166.50m²から193.27m²まで変わっていることが、その理由の一つです。単月の増減ではなく、前年比や複数月の並びで見てください。価格そのものの読み方は中古マンション価格の見方にまとめています。
次に、名古屋市内で今どんな物件が出ているかを見ます。SUUMOの名古屋市の中古一戸建て価格相場から、面積帯ごとに最も高い駅と最も低い駅を並べます。
| 建物面積帯 | 最も高い駅 | その中央値 | 最も低い駅 | その中央値 |
|---|---|---|---|---|
| 60~80m² | 呼続駅 | 1,430万円 | 呼続駅 | 1,430万円 |
| 80~100m² | 御器所駅 | 4,800万円 | 新守山駅 | 2,580万円 |
| 100~120m² | 覚王山駅 | 6,480万円 | 川村駅 | 2,480万円 |
| 120~140m² | 東山公園駅 | 8,300万円 | 徳重駅 | 4,590万円 |
| 140m²~ | いりなか駅 | 17,900万円 | 春田駅 | 3,670万円 |
※SUUMO「名古屋市(愛知県)のSUUMO掲載の中古一戸建て価格相場情報」の面積帯別ランキングから、価格の高い順1位と価格の低い順1位を取ったものです。集計期間は2025年07月01日~2026年06月30日、各駅から徒歩15分以内の掲載物件が対象です。掲載価格の集計であり、成約価格ではありません。
100~120m²帯を見ると、覚王山駅6,480万円と川村駅2,480万円で4,000万円の開きがあります。同じ建物面積でも、土地の場所によって価格がこれだけ変わるということです。マンションでは専有面積が価格を大きく左右しますが、戸建てでは土地の位置が効きます。
つまり戸建てを探すときは、「建物の広さ」と「土地の場所」を別々に決める必要があります。建物にリノベーションで手を入れることはできますが、土地の場所は変えられません。予算配分を考えるときは、変えられない部分に先に予算を割り当ててください。エリアごとの事情は名古屋の中古マンション相場を区別に比較、名東区、昭和区の各記事にまとめています。
木造戸建てを検討する場合、耐震は避けて通れません。名古屋市の木造住宅耐震改修助成は、次の条件をすべて満たす木造住宅が対象です。
補助金額は、耐震改修工事費の5分の4以内で、次の金額までです。
| 改修工事区分 | 一般世帯 | 非課税世帯 |
|---|---|---|
| 一般改修 | 最大115万円 | 最大165万円 |
| 段階的改修 1段階目 | 最大60万円 | 最大85万円 |
| 段階的改修 2段階目 | 最大55万円 | 最大80万円 |
※名古屋市「木造住宅耐震改修助成のご案内」より。いずれも1住戸当たりの金額です。年度により内容が変わるため、申請前に必ず市の案内をご確認ください。
ここで実務的に重要なのは、補助率が5分の4以内である点です。一般世帯の上限115万円を受け取るには、耐震改修工事費が約144万円以上必要になります。工事費がそれ以下なら、補助額も工事費の5分の4に収まります。「上限額がもらえる」と考えて資金計画を組むと、ずれます。
もう一つ、順序の注意があります。この助成には無料耐震診断が前提で、市の案内には診断に3ヵ月程度かかると記載されています。補助申請の受付期間は4月から翌年1月末までで、その年度の2月末までに完了報告ができるものに限られます。購入してすぐ着工したい場合、診断と申請の期間が工程に入ることを見込んでください。リノベーション全体の工程は名古屋のリノベ期間と流れにまとめています。
戸建てを中古で買う場合、住宅ローンの技術基準も確認が必要です。【フラット35】の中古住宅では、一戸建て住宅などについて次の基準が示されています。
在来木造の一戸建てについては、耐震評価基準として「基礎は一体のコンクリート造の布基礎等であること」と、建物の形・壁の配置・筋かい等の有無・壁の割合の4つの評点を相乗した値が1以上であることが示されています。
この基準を見ると、戸建て特有の確認項目がはっきりします。接道の幅、住宅の規模、基礎の形式、土台の腐朽や蟻害。いずれも図面と現地で確認できるものです。マンションで管理規約と長期修繕計画を確認するのに相当する作業が、戸建てではこれらの項目になります。マンション側の確認事項はマンション管理規約でできる工事・できない工事を参照してください。
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(三大都市圏での調査)によると、既存(中古)戸建住宅取得世帯の購入資金は平均2,966万円、このうち自己資金は1,130万円で、自己資金比率は38.1%です。借入金は1,836万円、購入資金合計の中央値は2,650万円でした。住宅ローンの年間返済額は平均111.3万円、年収に対する返済負担率は平均16.7%です。
同じ調査の既存(中古)集合住宅取得世帯は、購入資金3,321万円、自己資金1,329万円、自己資金比率40.0%です。戸建てのほうが購入資金は355万円低く、自己資金比率も1.9ポイント低いという結果です。
これに工事費が乗ります。IROHAHOMEのリノベーション【LIVANA】は「マンションも戸建ても」対象で、三つの予算帯があります。必要な部分を整える100万円~600万円、間取りと設備を一新する400万円~1200万円、構造体以外をゼロから見直す900万円~2,500万円です。なお、398万円(税抜)/税込437.8万円のマンションリノベ定額制は名称のとおりマンション向けのプランで、戸建てには適用されません。
戸建てのリノベーションでは、耐震補強、断熱、屋根や外壁といった外側の工事が加わることがあります。マンションの内装工事と同じ感覚で予算を組むと足りなくなるため、構造と築年数を見たうえで工事範囲を決めてください。
その家が木造かどうかを、販売図面で確認してください。 木造なら名古屋市の耐震改修助成の対象になり得ますが、無料耐震診断の判定値が1.0未満であること、昭和56年5月31日以前の着工であることなどの条件があります。木造以外なら、この助成は使えません。耐震基準そのものの分界は名古屋で旧耐震マンションを買う前にで扱っています。
土地の条件は、リノベーションで変えられません。 接道が2m以上あるか、敷地に対して建物がどう建っているか、駐車スペースが取れるか。これらは購入前に決まってしまう条件です。建物の中身は後から変えられるので、優先順位を間違えないでください。
工事の範囲を、内装だけで考えないでください。 戸建ては屋根、外壁、基礎、土台まで自分の責任範囲です。土台、床組等に腐朽や蟻害がないことという基準が示されているのは、そこが劣化しやすい部位だからです。内装の希望を固める前に、外側と足元の状態を確認してください。
Q. 一戸建てのリノベーションはマンションより自由にできますか。
間取りの制約は少なくなりますが、構造による制限はあります。木造か木造以外かで使える制度が変わり、耐震や劣化の確認項目も違います。また屋根・外壁・基礎まで自分の責任範囲になるため、工事範囲は広くなりがちです。「自由」と「簡単」は別のことだとお考えください。
Q. 名古屋で中古一戸建てはいくらぐらいですか。
愛知県の中古戸建住宅の成約価格は2026年6月で平均2,985万円、土地面積189.76m²、建物面積120.65m²、築年数23.05年です。名古屋市内の掲載相場では、建物面積100~120m²帯で最も高い覚王山駅が6,480万円、最も低い川村駅が2,480万円でした。同じ広さでも土地の場所で大きく変わります。
Q. 木造住宅の耐震改修に補助はありますか。
名古屋市には木造住宅耐震改修助成があります。耐震改修工事費の5分の4以内で、一般改修なら一般世帯で最大115万円、非課税世帯で最大165万円です。名古屋市木造住宅無料耐震診断の結果が判定値1.0未満であること、昭和56年5月31日以前に着工された2階建て以下の住宅であることなどが条件です。制度は年度で変わるため、申請前に市の案内をご確認ください。
Q. 中古の一戸建てで住宅ローンは組めますか。
金融機関によりますが、【フラット35】では中古住宅の技術基準が定められています。一戸建て住宅などでは、接道が原則として一般の道に2m以上、住宅の規模が50m²以上、建築確認日が昭和56年6月1日以後であることなどが示されています。基準を満たすかどうかは物件検査で判断されるため、購入前に確認してください。審査の考え方は住宅ローン審査に通らない理由にまとめています。
Q. 中古一戸建てを買う人はどのくらい自己資金を用意していますか。
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(三大都市圏)では、既存(中古)戸建住宅取得世帯の購入資金が平均2,966万円、自己資金1,130万円、自己資金比率38.1%、借入金1,836万円でした。住宅ローンの年間返済額は平均111.3万円、返済負担率は平均16.7%です。これにリノベーション費用が別途必要になります。
戸建てのリノベーションは、構造・土地・築年数の三つで工事範囲が決まります。同じ予算でも、木造の築古住宅と鉄骨造の比較的新しい住宅では、やるべきことがまったく違います。
IROHAHOMEは、名古屋市内で中古物件の購入からリノベーションまでを同じチームで担当しています。気になっている戸建ての販売図面をお持ちいただければ、構造、耐震の扱い、助成が使えるか、工事範囲がどこまで必要かを購入申込みの前に一緒に確認します。物件がまだ決まっていない段階からご相談いただけます。
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