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コラム2026.05.29更新 2026.07.22

マンション管理規約でできる工事・できない工事|床・窓・配管の確認法【名古屋】

中古マンションを見つけて、「床をフローリングにしたい」「窓の断熱性を上げたい」「キッチンの位置を変えたい」と考えても、室内だから自由に工事できるとは限りません。建物の構造上は施工できても、管理規約上は承認が必要だったり、個人では変更できなかったりするからです。購入後に初めて制限を知ると、希望していた間取りや素材を見直すことになり、物件選びそのものが変わる場合もあります。

先に結論を示します。内装や間仕切りは専有部分の範囲ならおおむね検討できます。床材の変更は、理事長への申請と理事会の承認、遮音性能の確認が必要になりやすい工事です。窓枠・窓ガラス・玄関扉の大部分は共用部分として扱われ、個人の判断だけでは交換できません。給排水管は、枝管か立て管か、専有部分内か共用部分内かで扱いが分かれます。

根拠として参照するのは、国土交通省の改正版「マンション標準管理規約(単棟型)」です。以下では、この資料を「標準管理規約」と表記します。ただし、標準管理規約は各マンションが規約を整えるためのひな型です。最終判断に使うのは、購入候補のマンションで実際に有効な管理規約・使用細則・承認基準です。

できる工事・できない工事の早見表

工事の希望規約上の目安購入前に見るもの
壁紙・天井仕上げの変更専有部分の仕上げなら、おおむね検討可能管理規約、工事届、作業時間の定め
間仕切りの新設・撤去専有部分でも、共用部分や他住戸へ影響するなら承認対象管理規約、構造図、設計図、工程表
フローリングへの変更承認と遮音性能の確認が必要になりやすい理事長承認工事の条項、床材仕様書、施工方法
窓枠・窓ガラスの交換共用部分のため個人施工は原則不可。規約所定の例外あり共用部分の範囲、開口部改良の条項
玄関扉の交換扉全体は共用部分として扱われ、個人施工は原則不可専有部分の範囲、専用使用権、開口部改良の条項
キッチン・洗面・浴室の移動枝管の経路、床下空間、共用管への影響により判断配管図、管理規約、修繕履歴、現地調査
給排水管の取替え専有部配管は検討可能。共用部配管は管理組合の計画と照合共用部分の範囲、長期修繕計画、配管図

※早見表は、国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」および「長期修繕計画作成ガイドライン」をもとに整理した一般的な読み方です。実際の可否は各マンションの管理規約・使用細則・図面・現況で確定します。

専有部分と共用部分の境界は「室内か屋外か」では決まらない

標準管理規約の第7条(国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)は、天井・床・壁について、躯体部分を除く部分を専有部分としています。つまり、壁紙や塗装、床の仕上げ材などは専有部分として扱える一方、建物を支えるコンクリートの壁、梁、柱、床スラブまで所有者が自由に加工できるわけではありません。「部屋の内側に見えるから自分のもの」と判断しないことが大切です。

同じ第7条(国土交通省・同資料)では、玄関扉のうち専有部分になるのは錠と内部塗装部分で、窓枠と窓ガラスは専有部分に含まれないと整理されています。玄関扉の室内側を塗り替えることと、扉そのものを別製品へ交換することでは、規約上の扱いが異なります。窓も、専用に使っているから専有部分とは限りません。

共用部分の範囲は、標準管理規約の第8条(国土交通省・同資料)と別表で示されています。そこには、バルコニー、床スラブ、柱などに加え、給水設備・排水設備や、給水管の本管から住戸メーターを含む部分、雑排水管・汚水管の配管継手と立て管などが挙げられています。給排水管を「全部共用」「全部専有」と一括りにせず、配管図で境界を追う必要があります。

法律上の用語も押さえておくと、規約を読み違えにくくなります。建物の区分所有等に関する法律では、第2条第4項(e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」)が共用部分を定義しています。一方、第6条(e-Gov法令検索・同法)は、建物の保存に有害な行為や、区分所有者の共同の利益に反する行為を禁じる条文です。共用部分の「定義」と、工事で越えてはいけない「行為の限界」は別の根拠として読むのが正確です。

専有部分でも、他住戸や共用部分へ影響する工事は承認対象

標準管理規約の第17条(国土交通省・同資料)は、専有部分の修繕や模様替えであっても、共用部分または他の専有部分へ影響を与えるおそれがある工事は、あらかじめ理事長へ申請し、承認を受ける仕組みを示しています。申請時に添付するものとして、設計図・仕様書・工程表の3資料(同条の列挙による)が挙げられています。承認するかどうかは、理事長が単独で決めるのではなく、理事会の決議によって判断する形です。

ここで注意したいのは、「管理規約の承認」と「法律上の集会決議」は同じではないことです。工事が共用部分の変更に当たる場合、建物の区分所有等に関する法律の第17条(e-Gov法令検索・同法)が関係します。現行コーパスの条文は、区分所有者と議決権の過半数が出席することを基本の出席要件とし、その集会で、出席した区分所有者とその議決権の各4分の3以上(e-Gov法令検索・同法)の決議を求めています。形状または効用の著しい変更を伴わないものなど、条文上の除外や規約による割合の定めもあるため、「共用部分に触れる工事はすべて同じ決議」と単純化はできません。

床:フローリングは遮音性能と施工方法を見る

フローリングへの変更は、標準管理規約の第17条(国土交通省・同資料)のコメントで、承認が必要となる工事の具体例に挙げられています。床材を替えるだけに見えても、階下へ伝わる音が変わるためです。管理組合が確認するのは、商品名や見た目だけではありません。床の構造、下地、材料、施工方法を含めて、他住戸への影響を判断します。

別添の運用例は、床材を張り替える工事について「新築時と同等以上の遮音性能を確認する」としています(国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」別添)。さらに、新築時がフローリングだったマンションでは、使用するフローリングの遮音等級が新築時と同等以上か、施工方法が製品カタログどおりかを確認する考え方も示されています。

したがって、床材のカタログだけを選んで契約へ進むのは早計です。まず管理規約と使用細則で承認基準を確認し、既存床の構造を調べ、採用予定の床材と施工方法を組み合わせた仕様書を用意します。遮音等級の指定がマンション独自に定められている場合は、その基準が優先されます。指定値が資料にない場合は、推測で補わず、管理会社または管理組合へ確認します。

窓・玄関扉:共用部分でも承認を得て改良できる例外がある

窓枠・窓ガラスは、標準管理規約の第7条(国土交通省・同資料)で専有部分に含まれないとされています。玄関扉も、専有部分は錠と内部塗装部分に限られます。そのため、窓の交換、サッシ形状の変更、玄関扉そのものの交換を、室内工事と同じ感覚で発注することはできません。

ただし「共用部分だから絶対に何もできない」とも限りません。標準管理規約の第22条(国土交通省・同資料)は、防犯・防音・断熱などの性能向上に役立つ窓枠・窓ガラス・玄関扉などの改良工事を、原則として管理組合が計画修繕として実施する考え方を示しています。管理組合が速やかに実施できない場合は、区分所有者が理事長へ申請し、承認を受けたうえで、自らの責任と負担で実施できる規定例もあります。

購入前には「交換できるか」だけでなく、管理組合の計画修繕に開口部改良が含まれているか、個別改良の申請制度があるか、外観・色・形状・防火性能の条件が何かを確認してください。窓を替えずに内窓を設置する案でも、取付位置や共用部分への固定方法によって確認が必要です。

給排水管:枝管と共用管を分け、長期修繕計画まで見る

水まわりの移設では、設備本体よりも配管経路が可否を左右します。標準管理規約の第17条(国土交通省・同資料)のコメントは、配管の枝管の取付け・取替えを承認対象の具体例に挙げています。専有部分内の枝管を変更する計画でも、共用管への接続、床スラブ、他住戸への漏水や騒音の影響があるため、図面と仕様書による審査が必要です。

共用部分の給排水管は、管理組合が長期修繕計画に沿って取替えを検討する領域です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、共用部分の給排水管と専有部分の給排水管を同時に取り替えることで、専有部分の配管だけを単独で工事するより費用が軽減される場合があるとしています(国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)。一体工事を行うなら、専有部分の取替えを長期修繕計画に記載し、修繕積立金からの拠出を管理規約に定めることなどにも触れています。

そのため、購入候補の住戸だけを見て「配管を新品にできる」と判断するのではなく、共用管の修繕時期、過去の更新履歴、専有部配管との同時施工方針を管理会社へ確認するのが実務的です。すでに専有部配管を更新した住戸の扱いまで規約や計画に記載されていれば、将来の二重工事を避ける判断材料になります。

購入前は、規約・承認条項・図面を順に照合する

確認作業は、規約、承認条項、図面の順に分けると、営業担当者への質問が具体的になります。

規約一式を入手する。 売買契約の直前ではなく、物件を比較している段階で、管理規約、使用細則、専有部分修繕工事の申請書式、長期修繕計画を入手します。「管理規約あり」という説明だけでは、希望工事の可否は分かりません。

理事長承認工事の条項を読む。 「専有部分の修繕等」「工事申請」「承認」「届出」「床材」「開口部」「給排水管」などの語を探し、承認対象、提出期限、添付資料、工事時間、搬入経路、近隣周知の条件を確認します。標準管理規約の第17条(国土交通省・同資料)に近い条項があっても、マンション独自の追加条件がないかを最後まで読みます。

図面と工事希望を照合する。 管理規約に書かれた境界を、平面図、配管図、構造図、現地の状態へ落とし込みます。たとえばキッチン移設なら、希望位置から共用管まで排水経路を確保できるか、床スラブへ影響しないか、承認に必要な仕様書を作れるかまで確認します。構造による可否はマンションの間取り変更はどこまでできる?で扱い、この記事は規約による可否に絞ります。

内覧時に見ておきたい室内・共用部のポイントは中古マンション内覧のチェックポイント、建物全体の修繕計画と築年数の読み方は中古マンションは築何年まで?、購入手続き全体の流れは初めての中古マンション購入へつなげて確認できます。

「できるか」だけでなく「どの条件ならできるか」を残す

管理会社から口頭で「たぶん大丈夫」と聞けても、それだけで工事可能とは断定できません。管理規約の該当条項、理事会の承認条件、提出した図面・仕様書、承認書を一組で保管しておくと、施工会社と管理組合の認識をそろえやすくなります。工事中に仕様変更が必要になった場合も、承認範囲から外れるかを確認できます。

IROHAHOMEでは、物件探しとリノベーション計画を同時に進める相談を受けています。気になる物件の管理規約や図面が手元にあれば、床・窓・玄関・配管について、どこを管理会社へ確認すべきかを整理できます。まだ購入を決めていない段階でも、無料相談で希望工事と資料を照らし合わせてください。押し切って契約するためではなく、「この物件で希望がかなうか」を判断するための相談としてご利用いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q. マンションのフローリング張替えは自由にできますか?

自由にできるとは限りません。標準管理規約の第17条(国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)は、床のフローリングを承認対象の具体例に挙げています。管理規約の遮音条件、床材の仕様、施工方法をそろえて申請してください。

Q. マンションの窓や玄関ドアは自分で交換できますか?

原則は個人判断で交換できません。標準管理規約の第7条(国土交通省・同資料)は窓枠・窓ガラスを専有部分に含めず、玄関扉の専有部分を錠と内部塗装部分に限っています。ただし第22条(国土交通省・同資料)の規定例のように、管理組合が速やかに改良できない場合、承認を得て個人施工できる余地があります。

Q. マンションの給排水管は専有部分ですか、共用部分ですか?

配管の位置と役割で分かれます。標準管理規約の第8条(国土交通省・同資料)と別表は、給水管の本管から住戸メーターを含む部分や、雑排水管・汚水管の配管継手と立て管などを共用部分として示しています。枝管の境界は実際の規約と配管図で確認してください。

Q. 理事長の承認があれば共用部分も変更できますか?

承認だけで足りるとは限りません。共用部分の変更に当たる工事は、建物の区分所有等に関する法律の第17条(e-Gov法令検索・同法)が関係し、変更の程度によって集会決議が必要です。管理規約上の工事承認と、法律上の決議要件を分けて確認してください。

Q. 中古マンション購入前に管理規約のどこを見ればよいですか?

標準管理規約の第17条(国土交通省・同資料)に対応する承認条項を軸に、規約一式の入手、理事長承認工事の条項確認、図面との照合という順で進めます。床・窓・玄関・配管の希望を先に書き出し、それぞれの根拠資料と承認条件がそろうかを確認すると、購入後の行き違いを減らせます。

規約の確認も、ご一緒に

気になる物件があれば、管理規約の観点から「やりたい工事ができるか」を一緒に確認します。

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