中古マンションを買ってリノベーションしたい。動けない理由の多くは、「自分はローンに通るのか」「いくらまで借りていいのか」がわからないことです。調べても「総合的に判断されます」ばかりで、判断材料がないまま、いい物件が売れていきます。
国土交通省の調査には994機関が回答しています。9割以上の機関が「融資を行う際に考慮する」と答えた項目は7つあります(国交省が9割以上として挙げた下記の項目を数えたもの)。上位は完済時年齢98.4%、借入時年齢96.2%、健康状態96.1%、続いて年収94.2%、勤続年数93.9%、担保評価91.0%、返済負担率90.9%です(国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」令和8年3月、N=994)。
年収より完済時年齢と健康状態が上位です。完済時年齢は「80歳未満」とする機関が716と最多、健康状態は「団信加入が必要」が834機関(同調査)。35年ローンなら45歳前後が分かれ目です(80歳−35年)。
この中で自分で計算できるのが返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)です。
公的な基準が明確なのは【フラット35】で、年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下(住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件)。民間の基準も「40%以内」74機関、「35%以内」58機関、「30%以内」39機関が中心で、審査上の上限は30〜40%と見てよさそうです(同調査)。
ただしこれは「通る上限」であって「無理なく返せる目安」ではありません。実際に中古マンションを買った世帯の返済負担率は平均17.8%、年間返済額114.0万円です(国交省「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」。既存(中古)集合住宅取得世帯の値で調査対象は三大都市圏)。審査に通る線と、実際に暮らしている線——この差がゆとりの正体です。本記事では年収の25%を「ゆとりを見た目安」として試算します(実績17.8%と審査基準の下限30%の中間23.9%を5%刻みに丸めた本記事上の目安。公的基準ではありません)。
計算根拠:金利年3.140%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし。金利は【フラット35】2026年7月資金受取分・21年以上35年以下・融資率9割以下の「最も多い金利」(住宅金融支援機構)。負担率のうち30%・35%は【フラット35】の総返済負担率の基準、25%は前章で求めた本記事上の目安です。
下表の年収300万〜800万円は、位置を測るために置いた仮定の例です(実在の融資実績や相場ではありません)。月額・借入可能額はすべて上記条件による試算です。
| 年収 | 負担率25%(ゆとり目安) | 負担率30% | 負担率35%(上限に近い) |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 月6.3万円/1,592万円 | 月7.5万円/1,910万円 | ※1 |
| 400万円 | 月8.3万円/2,122万円 | 月10.0万円/2,546万円 | 月11.7万円/2,971万円 |
| 500万円 | 月10.4万円/2,653万円 | 月12.5万円/3,183万円 | 月14.6万円/3,714万円 |
| 600万円 | 月12.5万円/3,183万円 | 月15.0万円/3,820万円 | 月17.5万円/4,456万円 |
| 700万円 | 月14.6万円/3,714万円 | 月17.5万円/4,456万円 | 月20.4万円/5,199万円 |
| 800万円 | 月16.7万円/4,244万円 | 月20.0万円/5,093万円 | 月23.3万円/5,942万円 |
※1 【フラット35】は年収400万円未満の基準が30%以下(住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件)のため、35%欄は設けていません。
借入1,000万円あたり月約3.93万円なので、表にない年収もこの係数で概算できます。
注意したいのは、変動金利型では適用金利より高い「審査金利」で計算する金融機関が多いこと。そしてカードローンや自動車ローン、スマホの分割払いもこの負担率に合算されること(同項目を審査に使う機関は72.5%)。上表は固定金利での試算ですが、実際は新規貸出額の83.5%が変動金利型です(同調査・令和6年度実績)。
| 審査項目 | 割合 | 具体的な基準の例(回答機関数) |
|---|---|---|
| 完済時年齢 | 98.4% | 80歳未満(716)/85歳未満(65) |
| 借入時年齢 | 96.2% | 65歳未満(247)/70歳未満(194) |
| 健康状態 | 96.1% | 団信加入が必要(834)/選択可能(89) |
| 年収 | 94.2% | 150万円以上(390)/100万円以上(288) |
| 勤続年数 | 93.9% | 1年以上(612)/3年以上(128)/2年以上(53) |
| 担保評価 | 91.0% | 融資判断に影響(498)/参考にする(342) |
| 返済負担率 | 90.9% | 40%以内(74)/35%以内(58)/30%以内(39) |
| 金融機関の営業エリア | 89.2% | エリア内に居住(811)/勤務(565) |
| 連帯保証 | 84.7% | 系列保証会社(524)/外部保証会社(361) |
| 国籍 | 80.6% | 日本国籍(638)/永住許可・特別永住者(621) |
| 他の債務の状況・返済履歴 | 72.5% | — |
| 雇用形態 | 70.6% | 派遣社員は対象外(368)/契約社員は対象外(312) |
| 融資可能額(融資率)購入時 | 69.1% | 100%以内(380)/110%以内(38)/120%以内(20) |
| 申込人との取引状況/業種/家族構成/所有資産 | 55.2〜35.6% | — |
※上表の割合・機関数の出典=国交省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」令和8年3月(N=994。複数回答、括弧内は具体的基準の回答機関数)
見落とされやすいのは営業エリア。地銀・信金は「エリア内に居住/勤務」が条件のため、名古屋の物件なら地元金融機関が有利です。勤続年数は「1年以上」が612機関で最多。「スコアリング方式では審査を行っていない」機関は59.9%(N=852)で、点数だけで決まりません(同調査)。
審査は事前審査(仮審査)→ 売買契約 → 本審査 → 融資実行と進みます。事前審査は自己申告と信用情報で見込みを見るもので、物件が決まる前でも数日で受けられます。本審査では担保評価(91.0%の機関が考慮)が入るため、担保価値が想定より低いと減額されることがあります。諸費用は中古マンション購入の諸費用まとめへ。
工事に別のリフォームローンを組むと、金利が高く返済期間も短くなりがちです。物件価格と工事費を合算して一本にまとめられれば、低い金利と長い返済期間が工事費にも及びます。
融資率の上限は「100%以内」が380機関で最多ですが、「110%以内」38機関、「120%以内」20機関、「150%以内」16機関もあります(同調査)。
ただし本審査の時点で、工事内容と金額が確定した見積書・請負契約書が必要です。物件だけ先に契約すると間に合いません。
IROHAHOMEが中古購入+リノベ専門としてワンストップで対応するのは、この時間差をなくすためです。物件が見つかった段階で工事見積もりを出せるので、事前審査から総額で組み立てられます。定額制のフルリノベーションプランは398万円(税抜)/437.8万円(税込)。
愛知県の中古マンションの成約平均は2,573万円(477件、平均73.51㎡、築26.94年/中部圏不動産流通機構「マーケットウォッチ」2026年6月度)。定額リノベと合わせて約3,011万円、年3.140%・35年なら月々約11.8万円。返済負担率25%で年収約568万円、30%で約473万円が目安です(別途、諸費用が必要)。素材にこだわるならLIVANAが、100万〜600万円/400万〜1,200万円/900万〜2,500万円を「ご予算の目安」として公表しています。
住宅ローン控除は令和8年度税制改正で適用期限が5年延長され、2026年〜2030年(令和8年〜令和12年)の入居が対象です(財務省「令和8年度税制改正の大綱」/国交省「住宅ローン減税Q&A」2026年7月更新)。
この改正で中古住宅の扱いが大きく変わり、省エネ性能の高い既存住宅は借入限度額が上がって控除期間も10年から13年に拡充されました(同大綱)。
2026年(令和8年)入居・既存(中古)住宅の場合
| 住宅の類型 | 借入限度額 | 子育て世帯等 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| その他の住宅 | 2,000万円 | — | 10年 |
※上表の金額・年数の出典=財務省「令和8年度税制改正の大綱」令和7年12月26日閣議決定/国交省「(別紙1)令和8年度住宅税制改正概要」。既存(中古)住宅の値(買取再販住宅は別水準)。
控除率は一律0.7%、所得要件は合計所得2,000万円以下、床面積要件は40㎡以上(所得1,000万円超・子育て世帯等の上乗せ利用は50㎡以上/同大綱)。「子育て世帯等」とは19歳未満の扶養親族がいる方、または40歳未満で配偶者がいる方で、40歳未満でも単身の方は対象外です(同大綱)。
控除額の上限は「その他の住宅」で最大140万円、省エネ基準適合住宅で最大182万円(子育て世帯等は273万円)、長期優良・ZEH水準は318.5万円(子育て世帯等は409.5万円/限度額×0.7%×控除期間)。ただし実際に控除されるのは年末ローン残高の0.7%で、納めた所得税額が上限です。
築年数要件は1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された住宅であること(それ以前なら耐震基準適合証明書等)です(国税庁「No.1211-3」)。愛知県の中古マンションは平均築26.94年(前掲・中部圏不動産流通機構)なので、多くが該当します。別枠の補助金はリフォームの補助金2026年版へ。
Q. 年収300万円でも住宅ローンは組めますか?組めます。年収の基準を「100万円以上」とする機関が288、「150万円以上」が390あります(国交省・民間住宅ローン実態調査)。年3.140%・35年・負担率30%なら借入可能額は約1,910万円、月々約7.5万円です。
Q. 転職したばかりでも審査に通りますか?可能性は十分あります。勤続年数の基準は「1年以上」が612機関で最多、「3年以上」は128機関にとどまります(同調査)。事前審査で複数行を比較してください。
Q. 中古マンションの購入で頭金はどれくらい必要ですか?中古集合住宅を取得した世帯の購入資金は平均2,919万円、うち自己資金1,278万円で自己資金比率43.8%でした(国交省「令和6年度 住宅市場動向調査報告書」)。ただし融資率100%以内とする機関が380あることからも、頭金なしの選択肢はあります。
Q. リノベーション費用も住宅ローンに含められますか?金融機関によっては可能です。融資率の上限を110%以内とする機関が38、120%以内が20、150%以内が16あります(同調査)。条件は本審査時点で工事金額が確定した見積書を出せることです。
Q. 返済期間は何年で組むのが一般的ですか?中古マンションを買った世帯では「35年以上」が47.0%で最多、平均返済期間27.7年でした(同「住宅市場動向調査報告書」)。ただし完済時年齢を「80歳未満」とする機関が716と最多のため、申込時の年齢で上限が決まります。
年齢や健康状態は変えられませんが、他の借入の整理、金融機関の選び方、リノベ費用を含めた総額での申し込みなど、準備次第で変わります。物件が決まってからリノベ会社を探すと一本化の選択肢が消えるため、資金計画は物件探しと同時に動かしてください。
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