「リノベに補助金が使えるらしい」——そう聞いて調べ始めたものの、制度の名前がたくさん出てきて、結局どれが自分の工事に使えるのか分からない。しかも年度ごとに内容が変わると聞いて、調べる気力を失ってしまった。補助金の検討で最初につまずくのは、ほぼこのパターンです。
この記事では、名古屋で中古購入+リノベーションに携わるIROHAHOMEが、中古マンションを買って専有部をリノベーションする方を想定して、2026年度に実際に使える制度だけを整理します。使えない制度を「使えない」と書くところまで含めて整理するのが、この記事の役割です。
※記載内容は2026年7月時点で各公式サイトに公開されている情報に基づきます。補助制度は予算上限に達すると年度途中で受付終了となるため、申請前に必ず公式情報でご確認ください。
中古マンションの専有部リノベーションで、名古屋市在住の方が2026年度に現実的に使えるのは次の4つです。
| 制度 | 主体 | 補助額 | 申請のタイミング |
|---|---|---|---|
| 住宅省エネ2026キャンペーン(4事業) | 国 | 工事内容ごとの定額。窓の改修は上限100万円/戸 | 着工前申請は不要 |
| 住宅等の脱炭素化促進補助(断熱窓改修) | 名古屋市 | 対象経費の1/3・上限10万円 | 工事完了後に申請 |
| 子どもあんしん住まいる補助金 | 名古屋市 | 対象費用の1/2・上限20万円 | 着工前に申請 |
| 介護保険の住宅改修費 | 名古屋市 | 支給限度基準額20万円(1割負担なら最大18万円) | 着工前に事前申請 |
これに加えて、住宅ローン減税・不動産取得税・登録免許税・固定資産税の減額といった税制があります。金額のインパクトで言えば、実は補助金より税制のほうが大きいケースが少なくありません。
そして先に、多くの方が誤解している点を書いておきます。
「名古屋市に耐震の助成がある」という情報は正しいのですが、中古マンションを買って専有部をリノベーションする方は、これを使えません。
「マンションの耐震補助がある」=「自分のリノベに補助が出る」ではない。ここを最初に切り分けておくと、無駄な調査時間を使わずに済みます。
補助金は「国・県・市」の3レイヤーで探すものと説明されがちですが、愛知県に住んでいる方にとっては実質2レイヤーです。
愛知県の住宅補助は、県が個人に直接出す形ではありません。耐震について県の公式ページは「市町村が実施主体となって、無料で耐震診断員を派遣し」「市町村により補助制度の内容が異なります」と記載しています。省エネについても「本県の補助は市町村との協調補助となるため」「個人から県に直接申請いただく必要はありません」と明記されています。
つまり住民から見ると、申請先は名古屋市に一本化されます。「愛知県の補助金」を別途探す必要はありません。国と名古屋市の2つを押さえれば十分です。
国の省エネリフォーム支援は、2026年度は住宅省エネ2026キャンペーンという総称で、国交省・経産省・環境省の3省連携で運用されています。4つの事業で構成され、交付申請の受付は2026年3月31日から順次始まっています。
| 事業名 | 所管 | 予算 | 上限 |
|---|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業 | 国交省・環境省 | 2,050億円 | リフォームは最大100万円/戸(住宅の建築時期で変動) |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 | 1,125億円 | 100万円/戸 |
| 給湯省エネ2026事業 | 経産省 | 570億円 | 機器・台数で規定 |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経産省 | 35億円 | 機器・台数で規定 |
マンションのリノベーションで最も関係が深いのは、窓の断熱改修と給湯器の交換です。
なお、先進的窓リノベ事業の上限は2025年度の200万円/戸から2026年度は100万円/戸へ半減しています。同じ名前の事業が続いていても、金額は年度ごとに変わります。
知っておくべき2つの注意点があります。
1つ目。みらいエコ住宅2026事業のリフォームは、躯体(床・壁・天井)の断熱改修を含むことが必須要件です。 「窓だけ」「給湯器だけ」では対象になりません。窓単独で狙うなら先進的窓リノベ2026事業のほうが適します。また対象は原則として平成28年12月31日以前に新築された住宅で、1申請あたり合計5万円未満は申請できません。
2つ目。申請するのは施主ではなく、登録された事業者です。 住宅省エネ2026キャンペーンの申請者は「住宅省エネ支援事業者」として登録された施工会社であり、一般消費者が自分で申請することはできません。つまり、依頼する会社がこの登録事業者かどうかで、使える・使えないが決まります。 会社選びの段階で確認しておくべき項目です。
なお、2026年度のリフォーム補助では「子育て世帯」という区分がなくなりました。新築には子育てタイプが残っていますが、リフォームの補助上限は世帯の属性ではなく、住宅の建築時期とリフォーム後の性能で決まる方式に変わっています。
補助金を検索すると今も上位に出てくる制度ですが、事務局の公式サイトには「令和8年度、本事業は実施しません」と明記されています。令和8年度の国交省住宅局の予算にも計上されていません。
内容自体は「住宅・建築物省エネ等改修推進事業(性能向上型)」に引き継がれ、評価基準80万円/戸・認定基準160万円/戸、既存住宅を購入した場合は50万円/戸の加算という枠組みは残っています。ただしこれは社会資本整備総合交付金を通じた自治体経由の間接補助で、国の事務局に直接申請することはできません。お住まいの自治体がこの制度に対応する補助メニューを用意している場合に限って使えます。
去年あった制度が今年もあるとは限らない——この事業は、その典型例です。
この制度には2つの特徴があります。
ひとつは、国の補助とセットでなければ受けられないこと。要件に「令和8年度に国のリフォーム支援事業における補助金の交付を受ける改修であること」と明記されています。市の補助単独では使えません。
もうひとつは、2026年度から申請のタイミングが変わったこと。市の公式ページには「令和8年度より補助金の申請の時期を『工事着工前』から『工事完了後』へ変更します」とあります。後述する他の制度は着工前申請が必須なので、手順が逆になります。ここを混同すると申請を落とします。
申請受付の開始(7月1日)と工事完了期間の開始(4月1日)がずれている点にも注意してください。4月に工事を終えていても、申請できるのは7月1日以降です。
なお分譲マンションでは、窓サッシが管理規約上「共用部分」に位置づけられていることが多く、内窓(二重サッシ)の設置なら専有部の工事として進めやすい一方、外窓交換やガラス交換は管理組合の承認が必要になります。区分所有者が単独で申請できるかは物件の規約次第のため、計画段階で規約の確認が必要です。
正式名称は「名古屋市住まいの安全性の向上に関する改修費等補助金」。
子育て世帯がマンションをリノベーションする場合、対象工事の多くはリノベーション計画に自然に含まれる内容です。知らずに工事を終えてしまうと使えないタイプの制度なので、計画段階での確認が効きます。なお申請額が年間予算の上限に達した場合は、受付期間中でも受付を終了します。
いずれも申請窓口は区役所です。
補助金ではありませんが、フラット35S・フラット35Sリノベを利用して市内の中古住宅を取得し、18歳以下の子と同居する世帯を対象に、各月の返済元金残高の0.25%を12で除した額(最大50万円まで)が補給される制度があります。補給期間は融資初回返済月から5年間、または最年少のお子さんが18歳になる年の翌3月末までのいずれか短いほうです。資格申請は融資実行日までで、先着順・予算上限で締切です。中古マンションが対象になるかは物件条件により判断が分かれるため、資金計画の段階で市の窓口に確認する価値があります。
補助金は上限10万〜20万円の制度が中心ですが、税制は桁が変わります。2026年は特に、中古住宅の扱いが有利になった年です。
2026年(令和8年)入居分から、省エネ基準適合以上の既存住宅は控除期間が13年に拡充されました。従来、既存住宅の控除期間は一律10年でしたが、令和8年度税制改正で新築と同じ13年になっています。控除率は0.7%です。適用期限も5年延長され、令和12年12月31日までの入居が対象です。
| 住宅の性能 | 借入限度額 | 控除期間 |
|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 3,500万円(子育て世帯等は4,500万円) | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(同4,500万円) | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(同3,000万円) | 13年 |
| その他住宅 | 2,000万円 | 10年 |
床面積要件は40㎡以上(合計所得1,000万円超の方および子育て世帯等への上乗せ措置を使う方は50㎡以上)、合計所得2,000万円以下、昭和57年以後に建築された住宅であることが要件です。子育て世帯等とは「19歳未満の子を有する世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」を指します。
つまり、買う物件の省エネ性能によって、控除期間が3年変わります。 物件選びの段階で効いてくる話です。
耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化・子育て対応のリフォームを行った場合、工事内容に応じて所得税額から最大60万〜80万円が税額控除されます。適用期限は令和10年12月31日までに居住した場合です。
対象工事費(標準的な工事費用相当額から補助金等を差し引いた額)が50万円を超えることが要件で、控除対象限度額は耐震250万円、バリアフリー200万円、省エネ250万円(太陽光発電設備を設置する場合350万円)などとなっています。
なお、この控除の基礎になるのは実際に支払った工事費ではなく、国が告示で定める標準的な工事費用相当額です。見積書の金額がそのまま控除の対象になるわけではない点に注意してください。
一定のリフォームを行うと、翌年度分の固定資産税が減額されます。適用期限は令和13年3月31日までと、令和8年度税制改正で5年延長されました。
| 工事 | 減額割合 | 工事費の下限 |
|---|---|---|
| 耐震改修 | 2分の1 | 50万円(税込)超 |
| バリアフリー改修 | 3分の1 | 50万円超(補助金控除後) |
| 省エネ改修 | 3分の1 | 60万円超(補助金控除後) |
| 長期優良住宅化改修 | 3分の2 | 各工事50万円超 |
省エネ改修では窓の断熱改修が必須で、床面積40㎡以上240㎡以下という要件もあります(減額されるのは120㎡相当分まで)。申請は工事完了日から3か月以内に市区町村へ行います。
購入時にかかる税にも軽減措置があります。詳細は中古マンション購入でかかる諸費用まとめにまとめていますが、要点は次のとおりです。
1. 申請のタイミングが制度ごとに逆になる
これが2026年度の最大の落とし穴です。
「補助金は着工前申請が原則」という一般論を信じて全部を着工前に揃えようとすると、逆に完了後申請の制度で混乱します。制度ごとに個別に確認するしかありません。
2. 「補助率1/3」は現在の主流ではない
補助金の解説記事では「補助率は工事費の1/3程度」と書かれがちですが、2026年度の国の省エネリフォーム補助は定額方式が主流です。みらいエコ住宅2026事業の制度資料には「補助率」という語が一度も登場せず、工事内容ごとの単価(円/箇所、円/㎥、円/戸)の合算で補助額が決まります。
補助率が設定されるのは自治体経由の交付金事業や耐震・介護の分野で、その値も介護保険の住宅改修の9割から、耐震改修の23%まで幅があります。「1/3が相場」という思い込みで資金計画を立てないでください。
3. 予算が尽きれば年度途中で終了する
住宅省エネ2026キャンペーンの各事業は、公式サイトで予算の執行率が公表されています。毎日午前0時時点の値が当日午前中に更新される仕組みで、事業によって進み方には差があります。名古屋市の断熱窓改修も「申請額が予算額に達し次第、予告なく受付を終了します」と明記されています。
補助額の大きい工事ほど、見積もりを取って検討している間に枠が埋まるリスクがあります。検討の時点で必ず公式サイトの最新値を見てください。
4. 併用には制限がある
名古屋市の断熱窓改修のように、国の補助を受けることが条件という「併用前提」の制度がある一方で、同一の工事費に複数の補助を重ねられない組み合わせもあります。補助金を受け取った場合、税制の控除対象額から補助金相当額を差し引く扱いになる点も見落とされがちです(固定資産税の減額や所得税控除の工事費要件は、いずれも補助金控除後の額で判定します)。
補助金を起点に工事内容を決めると、「本当に欲しかった間取り」を犠牲にしかねません。正しい順番は逆です。まず理想の住まいと工事内容を決め、その計画に使える制度を探す——この順番なら、使える制度だけを確実に拾えます。
IROHAHOMEでは、相談の段階で「この工事内容なら、この方向の制度が関係しそうか」まで一緒に整理します。たとえば定額フルリノベ(398万円・税抜/437.8万円・税込)や、素材・デザインにこだわるLIVANA(予算目安100万〜600万円/400万〜1,200万円/900万〜2,500万円の3帯)のどの帯の計画かで、対象になり得る制度の種類も変わります。設計の早い段階で確認するほど、間に合う制度が増えます。
※最終的な制度の適否は、各制度の公式要件に基づきます。当社が申請の可否を保証するものではありません。
Q. 中古マンションのリノベで補助金はいくらもらえますか?名古屋市内で専有部のリノベーションをする場合、現実的な範囲は数万円から数十万円です。窓の断熱改修なら国の先進的窓リノベ2026事業が上限100万円/戸、名古屋市の断熱窓改修が上限10万円、子育て世帯なら子どもあんしん住まいる補助金が上限20万円です。工事内容によって使える制度が決まるため、金額は計画次第で変わります。
Q. 名古屋市の耐震補助はマンションでも使えますか?専有部のリノベーションには使えません。名古屋市の木造住宅耐震改修助成は昭和56年5月31日以前に着工した木造・2階建て以下が対象で、鉄筋コンクリート造のマンションは対象外です。非木造住宅の耐震助成はマンションも対象ですが、建物全体に対する助成で管理組合が申請主体となり、対象は共用部の躯体補強です。
Q. もう工事が始まっているのですが、申請できますか?制度によります。国の住宅省エネ2026キャンペーンは着工前申請が不要で、名古屋市の断熱窓改修は2026年度から工事完了後の申請に変わりました。一方、子どもあんしん住まいる補助金・介護保険の住宅改修・障害者住宅改造補助金は着工前の申請が必須です。着工済みでも諦めずに、対象になる制度がないか確認する価値があります。
Q. 補助金と減税は併用できますか?基本的には併用できますが、補助金を受け取った場合、税制側の控除対象額から補助金相当額を差し引いて判定します。たとえば固定資産税の減額や所得税控除の工事費要件(省エネ改修なら60万円超など)は、補助金を差し引いた後の額で判断されます。「補助金と減税を満額ずつ両取り」にはならない点にご注意ください。
Q. 自分で補助金の申請はできますか?国の住宅省エネ2026キャンペーンについてはできません。申請者は「住宅省エネ支援事業者」として登録された施工会社であり、一般消費者は申請者になれない仕組みです。名古屋市の制度は個人で申請できるものもありますが、工事内容の証明書類が必要になるため、実務上は施工会社との連携が前提になります。依頼先が登録事業者かどうかを、会社選びの段階で確認しておくのが確実です。
補助金・減税の情報が複雑に見えるのは、自分に関係のない制度まで一緒に並んでいるからです。中古マンションの専有部リノベーションという条件で絞れば、残るのは国の省エネ4事業と名古屋市の3制度、そして税制だけ。愛知県は市町村経由なので、別途探す必要はありません。
そのうえで押さえるべきは「申請のタイミングは制度ごとに違う」「予算が尽きれば年度途中で終わる」「依頼先が登録事業者かどうかで使える制度が変わる」の3点です。
「この工事で使える制度はある?」——その答えを、無料相談で一緒に整理します。
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