「今の名古屋の中古マンションは高いのか」「もう少し待てば下がるのか」。物件を探し始めた方から最も多くいただく質問です。ところが、ネットで相場を調べると、同じ時期の話なのに違う数字が並んでいて、どれを信じればよいのか分からなくなります。
原因ははっきりしています。中古マンションの「価格」には、性質の違う三つの数字があるからです。実際に売買が成立した成約価格、地域全体の値動きを指数にした不動産価格指数、売り出し中の物件に付いている掲載価格。この三つは、測っているものが違います。混ぜて比べれば、答えが出ないのは当然です。
この記事では、三つの価格を分けて示し、それぞれが何に使えて何に使えないのかを説明します。そのうえで、購入資金の実額データを使い、リノベーション費用まで含めた総予算の組み立て方を示します。読み終えたときに、「自分が見ている数字はどれなのか」を判断できる状態を目指します。
まず、三つの数字の性格を並べます。
| 種類 | 何を測っているか | 出どころ | 使える場面 | 使えない場面 |
|---|---|---|---|---|
| 成約価格 | 実際に売買が成立した価格の平均 | 中部圏不動産流通機構の月例速報 | 「いくらで売れているか」を知る | 単月の増減で先行きを読む |
| 不動産価格指数 | 地域全体の価格水準の推移 | 国土交通省(2010年平均=100) | 全国や他地域と比べる | 自分の物件の値段を出す |
| 掲載価格 | 売り出し中の物件の希望価格 | 不動産ポータルの相場ページ | 今どんな物件が出ているかを知る | 成約価格として扱う |
※出典は本文中に個別に記載しています。指数の基準年は国土交通省の公表資料に「2010 年平均=100」と明記されています。
この表の要点は、右端の列です。それぞれの数字には「使ってはいけない場面」があります。とくに多い誤りは、掲載価格の相場を成約価格だと思い込むことと、成約価格の単月の増減を値動きのトレンドだと思い込むことです。次の節から、実際の数字で確かめます。
公益社団法人中部圏不動産流通機構が公表している月例速報から、愛知県の中古マンションの成約データを13か月分並べます。
| 年月 | 成約件数 | ㎡単価 | 成約価格 | 専有面積 | 築年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2025年6月 | 486件 | 32.51万円 | 2,416万円 | 74.33m² | 26.82年 |
| 2025年7月 | 414件 | 31.83万円 | 2,356万円 | 74.00m² | 26.48年 |
| 2025年8月 | 366件 | 32.03万円 | 2,388万円 | 74.58m² | 27.45年 |
| 2025年9月 | 458件 | 35.28万円 | 2,643万円 | 74.93m² | 25.66年 |
| 2025年10月 | 442件 | 32.55万円 | 2,361万円 | 72.54m² | 26.89年 |
| 2025年11月 | 501件 | 32.91万円 | 2,464万円 | 74.89m² | 26.63年 |
| 2025年12月 | 426件 | 35.63万円 | 2,663万円 | 74.75m² | 27.54年 |
| 2026年1月 | 328件 | 35.76万円 | 2,671万円 | 74.71m² | 25.78年 |
| 2026年2月 | 487件 | 36.02万円 | 2,652万円 | 73.61m² | 26.03年 |
| 2026年3月 | 550件 | 35.36万円 | 2,615万円 | 73.94m² | 25.07年 |
| 2026年4月 | 401件 | 37.34万円 | 2,753万円 | 73.73m² | 25.57年 |
| 2026年5月 | 432件 | 37.08万円 | 2,672万円 | 72.07m² | 25.96年 |
| 2026年6月 | 477件 | 35.00万円 | 2,573万円 | 73.51m² | 26.94年 |
※公益社団法人中部圏不動産流通機構「月例速報マーケットウォッチ 2026年(令和8年)6月度」の中古マンションレポート・成約登録状況(愛知県)より。成約報告があった物件の集計で、掲載価格ではありません。
この13か月で、成約価格の最も低い月は2025年7月の2,356万円、最も高い月は2026年4月の2,753万円です。差は397万円、率にして約1.17倍あります。この期間だけで、平均値がこれだけ動くということです。
なぜ動くのか。表の右側を見ると理由が分かります。専有面積は72.07m²から74.93m²、築年数は25.07年から27.54年の間で毎月変わっています。つまり「その月にたまたま成約した物件の中身」が変われば、平均価格も動きます。市場全体が値上がりしたわけでも値下がりしたわけでもありません。
だから、成約価格の単月の増減で「今月は下がったから待とう」と判断するのは危険です。使い方は二つあります。一つは前年同月と比べること。2026年6月の2,573万円は2025年6月の2,416万円より157万円高く、公表値でも前年比6.5%増とされています。もう一つは、㎡単価で見ることです。㎡単価は面積の違いを打ち消すため、価格そのものより素直に動きます。
次に、国土交通省の不動産価格指数を見ます。2010年平均を100とした指数で、令和7年12月分の季節調整値は、全国のマンション(区分所有)が225.1、愛知県が196.5、名古屋圏(岐阜・愛知・三重)が193.1です。同じ月の全国の住宅総合は148.0、愛知県の住宅総合は126.3、愛知県の戸建住宅は116.6でした。
この数字の意味を言葉にします。2010年を100として、全国のマンション価格は2倍を超えるところまで上がりました。愛知県も196.5ですから、ほぼ2倍です。ただし全国の225.1には届いていません。名古屋の中古マンションは、「全国と同じ方向に上がってきたが、上がり幅は全国平均より小さい」という位置にあります。
同じ愛知県でも、マンション196.5に対して戸建住宅は116.6です。マンションだけが突出して上がっていることが分かります。中古マンションの価格が高く感じられるのは、体感ではなく指数に表れている事実です。
指数は地域全体の水準を示すもので、個別の物件の値段を出す道具ではありません。「愛知県の指数が196.5だから、この物件は◯◯万円のはず」という使い方はできません。あくまで、他の地域や過去と比べるための物差しです。
三つ目が掲載価格です。不動産ポータルの相場ページに出ている数字は、売り出し中または売り出されていた物件の価格を集計したものです。成約価格ではないため、値引き交渉の前の希望価格が含まれます。
掲載価格が役に立つのは、「今このエリアにどんな広さの物件が、どのくらいの価格で出ているか」を知りたいときです。成約データは県単位までしか公表されないため、区や駅の単位で見たい場合は掲載価格を使うことになります。名古屋市16区の駅別の掲載価格相場は名古屋の中古マンション相場を区別に比較にまとめました。
注意点は二つです。第一に、掲載価格は成約価格より高く出やすいこと。第二に、掲載件数の少ない駅では、数件の物件で中央値が大きく振れることです。掲載価格の相場を見るときは、「この価格で売れた」ではなく「この価格で売りに出ていた」と読み替えてください。
価格の見方が整理できたら、次は自分の資金計画です。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(三大都市圏での調査)によると、既存(中古)集合住宅取得世帯の購入資金は平均3,321万円、このうち自己資金は1,329万円で、自己資金比率は40.0%です。購入資金合計の中央値は2,750万円でした。
同じ調査で、既存(中古)戸建住宅取得世帯の購入資金は平均2,966万円、自己資金1,130万円、自己資金比率38.1%、中央値2,650万円です。住宅ローンの年間返済額は、既存(中古)集合住宅取得世帯で平均121.8万円、年収に対する返済負担率は平均17.0%でした。
平均3,321万円のうち自己資金が1,329万円で、借入金は1,992万円です。自己資金比率40.0%という数字は、頭金をほとんど入れずに買う人ばかりではないことを示しています。住宅ローンの審査の考え方は住宅ローン審査に通らない理由にまとめています。
中古を買ってリノベーションする場合、必要なのは物件価格、リノベーション費用、諸費用の合計です。三つを別々に考えると、必ずどこかで足りなくなります。
IROHAHOMEのマンションリノベ定額制は398万円(税抜)、税込437.8万円です。水回り4点の交換、壁紙と天井の全面張り替え、床の刷新、和室のアレンジ、押入れの収納化などが基本工事に含まれます。仮に、愛知県の2026年6月の成約価格である2,573万円の物件を買い、定額制437.8万円でリノベーションすると、物件と工事の合計は約3,011万円です。これは平均値を使った例示であり、特定の物件の価格ではありません。
工事の規模を変える場合、リノベーション【LIVANA】には三つの予算帯があります。必要な部分を整える100万円~600万円、間取りと設備を一新する400万円~1200万円、構造体以外をゼロから見直す900万円~2,500万円です。諸費用の内訳と実額の計算例は中古マンション購入の諸費用、リノベーション費用の相場は名古屋の中古マンションリノベ費用相場にまとめてあります。
総予算から逆算する順序をおすすめします。用意できる自己資金と、無理のない借入額から総予算を決める。そこからリノベーション費用と諸費用を引いた残りが、物件に出せる金額です。物件を先に決めてから工事費を考えると、工事を削るしかなくなります。
平均値には、中身の違いが含まれています。 前掲の成約データでは、13か月の間に専有面積が2m²以上、築年数が2年以上の幅で動いていました。平均価格が上がっていても、その月にたまたま広い物件や築浅の物件が多く成約しただけかもしれません。価格だけでなく、面積・築年数・件数を並べて見てください。
同じ「名古屋」でも、数字の範囲が違います。 成約データは愛知県単位、不動産価格指数には名古屋圏(岐阜・愛知・三重)という区分があり、掲載価格の相場は区や駅の単位です。範囲が違う数字を並べて「名古屋は◯◯」と結論づけると、実態からずれます。どの範囲の数字なのかを必ず確認してください。
値下がりを待つ判断には、待つ間のコストが計算に入っていません。 賃貸に住みながら待つなら家賃が出ていきます。金利が変われば借入額の総支払いも変わります。価格が数パーセント下がっても、その間の支出と条件変化で相殺されることがあります。「安く買う」ではなく「総額をいくらに収めるか」で考えたほうが、判断がぶれません。
Q. 名古屋の中古マンション価格はいま上がっていますか。
愛知県の中古マンション成約価格は2026年6月に2,573万円で、前年比6.5%増です。国土交通省の不動産価格指数でも、愛知県のマンション(区分所有)は196.5と2010年平均の約2倍の水準にあります。ただし単月の平均は面積や築年数の構成で動くため、前年同月比や㎡単価で見ることをおすすめします。
Q. 中古マンション価格が下がるのを待ったほうがよいですか。
将来の価格は誰にも約束できません。判断材料になるのは実績です。愛知県の成約価格は前年比6.5%増、価格指数も上昇基調にあります。加えて、待つ間の家賃や金利の変化も総支払いに影響します。値下がりだけを条件にするより、総予算をいくらに収めるかを先に決めるほうが現実的です。
Q. ポータルサイトの相場と実際の成約価格はどのくらい違いますか。
一律の差を示す公的なデータはありません。分かっているのは性質の違いです。ポータルの相場は売り出し中または売り出されていた物件の掲載価格の集計で、成約価格ではありません。愛知県の成約価格の平均は2026年6月で2,573万円、専有面積73.51m²、築年数26.94年です。掲載価格を見るときは、この成約データを基準として横に置いてください。
Q. 中古マンションを買う人は、いくら自己資金を用意していますか。
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(三大都市圏)では、既存(中古)集合住宅取得世帯の購入資金が平均3,321万円、自己資金1,329万円、自己資金比率40.0%でした。購入資金合計の中央値は2,750万円です。住宅ローンの年間返済額は平均121.8万円、年収に対する返済負担率は平均17.0%です。
Q. リノベーション費用まで含めた総額はどう考えればよいですか。
物件価格、リノベーション費用、諸費用の合計で考えます。例として、愛知県の成約価格2,573万円の物件にIROHAHOMEの定額制437.8万円(税込)を組み合わせると約3,011万円です。ここに仲介手数料や登記費用などの諸費用が加わります。総予算を先に決め、そこから逆算して物件価格の上限を出す順序が安全です。
価格の情報は世の中にあふれていますが、性質の違う数字が並んでいるだけでは判断できません。必要なのは、自分が検討している条件で、どの数字がどこまで使えるのかを知ることです。
IROHAHOMEは、名古屋市内の中古マンション購入からリノベーションまでを同じチームで担当しています。検討中のエリアと予算をお知らせいただければ、その条件で狙える広さと築年数帯、総額の目安を、出どころの分かる数字で一緒に整理します。物件が決まっていない段階からご相談いただけます。
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