中古マンションのリノベーションを考え始めたとき、誰もが最初に抱く疑問は「結局、いくらかかるのか」です。ところが、多くのリノベーション会社のサイトを見ても「ケースバイケースです」「まずはご相談ください」と書かれるばかりで、具体的な金額にたどり着けない。調べれば調べるほど、判断材料が増えないまま時間だけが過ぎていきます。
この記事では、名古屋で住まいづくりに携わるIROHAHOMEが、費用の「実際の数字」をできる限り具体的に整理します。一般的な相場帯に加えて、当社が公開している定額プランの価格もそのまま載せます。なお、ここで挙げる一般的な相場はいずれも公開されている調査データにもとづく目安であり、実際の金額は物件の状態と工事範囲によって変わります。それでも、読み終えたときに「自分の場合はいくらくらいか」を概算できる状態になることを目指します。
先に、調査データの数字を示します。住宅リフォーム推進協議会が2025年に実施した実態調査によると、マンションでリフォームを実施した方の費用は平均316.9万円でした(マンション実施者515人の回答)。
ただし「平均」だけを見ても判断材料になりません。実際にいくら使ったかの分布はこうです。

| 費用帯 | マンションで実施した方の割合 |
|---|---|
| 50万円未満 | 14.5% |
| 50万〜100万円未満 | 9.3% |
| 100万〜300万円未満 | 39.8% |
| 300万〜500万円未満 | 16.3% |
| 500万〜1,000万円未満 | 13.9% |
| 1,000万円以上 | 6.1% |
出典:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「2025年度 住宅リフォームに関する消費者(検討者・実施者)実態調査 報告書」(2025年7〜8月調査、マンション実施者n=515)
最も多いのは100万〜300万円の層で約4割。その一方で、500万円以上も合わせて2割を占めます。この幅の広さが、リフォーム費用が分かりにくい最大の理由です。水まわりを1〜2か所直す工事と、間取りから全面的に作り直す工事が、同じ「リフォーム」という言葉で語られているからです。
国土交通省の調査でも同じ構造が見えます。マンション専有部のリフォームを工事1件あたりの受注額で見ると、500万円以上の工事は全体の約2.2%にとどまり、約9割は100万円未満の部分工事です(建築物リフォーム・リニューアル調査報告 令和7年度計)。つまりフルリノベーションは、リフォーム全体の中では少数派の大工事だという前提を持っておくと、見積もりの読み方が変わります。
なお名古屋・愛知の相場感として、中京圏でリフォームを実施した世帯の資金は平均142万円です(国土交通省「令和6年度 住宅市場動向調査」中京圏n=92)。首都圏160万円・近畿圏149万円と比べてやや低めですが、この142万円を先ほどの316.9万円と単純に比べることはできません。前者は三大都市圏の全リフォーム世帯を対象とした訪問調査で、壁紙の張替えや給湯器の交換といった小規模工事を多く含みます。後者は過去3年以内にリフォームを実施した方へのインターネット調査です。中京圏は回答が92世帯と少ないため、あくまで参考値としてご覧ください。
次の章で、この幅を生む要因を内訳から分解していきます。
リノベーションの見積書は、おおむね次の項目で構成されます。あわせて示す金額はいずれも目安です。物件の状態と工事範囲で変わるため、判断の物差しとしてお使いください。
1. 解体・撤去費(全体の5〜10%程度)既存の内装を撤去する費用です。マンションの場合、廃材の運搬費やエレベーター・共用部の養生費も含まれます。築年数が古い物件ほど、解体して初めて判明する補修が出やすくなります。
2. 水まわり設備(キッチン・浴室・洗面・トイレ)費用を大きく左右する項目です。リフォーム会社紹介サイトのホームプロが自社の成約事例を集計した中心価格帯(マンションの場合)は、次のとおり公開されています。
| 工事箇所 | 中心価格帯 | 集計事例数 |
|---|---|---|
| キッチン・台所 | 90万〜120万円 | 15,958件 |
| 浴室・ユニットバス | 80万〜100万円 | 13,880件 |
| 洗面所・脱衣所 | 30万〜40万円 | 11,086件 |
| トイレ | 30万〜40万円 | 13,891件 |
出典:ホームプロ調べ(自社リフォーム事例の集計)。統計調査ではなく事例の集計値であるため、あくまで目安です。設備のグレードを上げればこの限りではありません。
4か所すべてを入れ替えると、単純合計で230万〜300万円。冒頭の分布で最も多かった「100万〜300万円」の層は、多くがこの水まわり中心の工事だと考えると実態がつかめます。
3. 内装工事(床・壁・天井・建具)フローリングやクロスの張替え、建具の交換などです。専有面積に比例して増減するため、広い物件ほど金額が上がるのは主にこの項目です。
4. 間取り変更・配管移設壁の撤去や給排水管の移動は、構造や管理規約で可否が分かれます。マンションでは直床(コンクリートスラブに床材を直張りする工法)の物件で配管の経路に制約が出るなど、物件固有の条件が費用に直結します。
5. 電気・空調工事分電盤の交換、コンセント増設、照明配線などです。古い物件では電気容量の引き上げが必要になる場合があります。
6. 諸費用(申請・登記・ローン関連・保証)物件購入とセットの場合は、仲介手数料・登記費用・ローン手数料・火災保険なども総予算に入れておく必要があります。項目ごとの金額目安と計算例は、中古マンション購入でかかる諸費用まとめにまとめています。
ここまで一般的な相場を見てきましたが、当社では「見積もりを読み解く負担」そのものを減らすため、定額制のフルリノベーションプランを公開しています。
定額リノベ:398万円(税抜)/437.8万円(税込)
この金額に含まれるもの(完全セミオーダー)は次のとおりです。
工事費や工事にかかる諸経費の追加請求は原則ありません(上の「6. 諸費用」で挙げた仲介手数料・登記費用など、物件購入にともなう費用は別途必要です)。例外は、解体後に補修が必要な箇所が見つかった場合のみで、そのときは施主様に相談・確認のうえで進めます。なお、ライン照明(間接照明)はオプションです。
実際の施工例として、この定額プランに「建具をすべて新規に変更」「壁の一部解体」「床のかさ上げ」「電圧アップ工事」「新規照明用の専用配線工事」「オリジナルR壁(曲線壁)の造作」の6項目を追加した事例では、最終金額は約650万円でした。逆に言えば、これらを追加しなければ定額制の基本価格のまま工事が可能です。
また、より上質な素材・デザインにこだわる方向けのLIVANA(リバナ)ブランドでは、予算目安を100万〜600万円、400万〜1,200万円、900万〜2,500万円の3帯で公開しています。「この部屋をこの予算でどこまで変えられるか」を、初回のご相談で具体的にお示しします。
相場を知ったうえで、実際の見積もりと向き合う際に大切なことが3つあります。
1. 「総額」ではなく「内訳」で比較するA社720万円、B社580万円という数字だけを見ても、含まれる工事範囲が違えば比較になりません。解体費・諸費用・設備のグレードまで内訳を揃えて比べることが重要です。定額制はこの比較の歪みをなくすための仕組みでもあります。なお、工事範囲そのものを見直して費用を下げる方法はリフォーム費用を抑えるコツにまとめています。
2. 追加費用が発生する条件を契約前に聞く解体後の補修、配管の状態、管理規約による制約——追加費用は「どんな条件で、いくら発生するのか」が明確な会社かどうかを確認してください。当社の場合は「発見された場合は相談・確認のうえ」というルールを明文化しています。
3. 物件+リノベーション+諸費用の「総予算」で考える中古購入とリノベーションをセットで進める場合、物件価格だけで判断すると資金計画が崩れます。
参考に、愛知県の中古マンションの成約実績は平均2,573万円・平均専有面積73.51㎡・平均築年数26.94年(公益社団法人中部圏不動産流通機構「マーケットウォッチ」2026年6月度・成約477件)。この平均的な物件を買って全面リフォームをすると、物件価格+工事費で3,000万円台が視野に入ります。ここに諸費用(中古マンションでは物件価格の6〜10%程度が目安)が乗る、というのが総予算の全体像です。
物件探しの段階で「この物件に、やりたい工事をすると総額いくらか」を確認できると、後悔のない計画になります。
Q. 60㎡のマンションをフルリノベするといくらですか?面積帯ごとに集計した公的な統計は公表されていませんが、マンションの全面リフォームの中心価格帯は600万〜700万円というデータがあります(ホームプロ調べ・自社事例1,000件の集計)。当社の定額プランは437.8万円(税込)が基本価格です。この差は、工事範囲と設備のグレードをあらかじめ決めているかどうかによるもので、間取りの大幅な変更や造作を加えると金額は上がります。広さや現況で変動するため、個別の確認をおすすめします。
Q. 予算300万円でもリノベーションはできますか?はい、可能です。水まわりの更新と内装の張替えといった「部分リノベ」の範囲で、優先順位を決めて進める方法があります。LIVANAの100万〜600万円帯がちょうどこのゾーンです。
Q. 築40年のマンションでも大丈夫ですか?構造上問題がなければリノベーションは可能です。ただし築40年を超える物件では配管・電気の更新が必要になることが多く、その分の費用を見込んでおく必要があります。築年数の見方は中古マンションは築何年まで?で詳しく解説しています。物件の状態確認から一緒に行えます。
Q. 管理規約でできない工事はありますか?あります。床材の遮音等級(LL-45など)の指定、玄関ドア・窓サッシの交換制限、給排水管のうち共用部分にあたる範囲などは規約で制約されます。詳しくはマンションリノベと管理規約をご覧ください。当社では物件確認の段階で規約を確認し、できる工事・できない工事を事前にお伝えします。
Q. 見積もりだけでも依頼できますか?もちろんです。気になる物件のURLやチラシをお持ちいただければ、「この物件ならいくらでできるか」の概算をお出しします。相談だけ・情報集めの段階でも歓迎です。
リノベーションの費用は確かに物件ごとに変わります。しかしそれは「わからないまま契約していい」という意味ではありません。相場の帯を知り、内訳を読み、追加費用の条件を確認する——この3つを押さえれば、費用は自分でコントロールできるものに変わります。
「この物件、いくらでできる?」——その答えを、まず無料相談でお持ち帰りください。
← コラム一覧へ戻る