「できるだけ安くしたい」とご相談いただくと、話はたいてい設備のグレードを落とす方向に進みます。ところが、キッチンのグレードを一段下げても、下がるのは総額の一部です。工事範囲や順序を決め直したほうが、金額への効き方は大きくなります。
まず、規模の感覚を合わせます。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査によると、リフォーム実施世帯のリフォーム資金は平均値が170万円、中央値は70万円です。平均と中央値がこれだけ離れているのは、少数の大規模な工事が平均を押し上げているからです。「リフォームの平均は170万円」を基準に予算を組むと、多くの人の実態より大きな数字から出発することになります。
そして、実際にどこを直しているか。同じ調査では、リフォームの内容は「住宅内の設備の改善・変更」が37.8%で最も多く、「内装の模様替えなど」が27.3%、「冷暖房設備等の変更」が25.9%と続きます。一方で「壁の位置を変更するなど間取りの変更」は4.5%、「住宅の構造に関する改善・変更」は3.3%です。多くの人は、間取りや構造には手を付けていません。
この記事では、費用を抑えるための考え方を、優先順位・工事範囲・段階施工・価格の決め方の四つに分けて説明します。設備のグレードを落とす話は最後にしか出てきません。
部位ごとの費用の目安を並べます。リフォーム会社紹介サービスのホームプロが公開している事例集計の中心価格帯です。
| 部位 | 中心価格帯 |
|---|---|
| キッチン・台所 | 100万円~150万円 |
| 浴室・ユニットバス | 100万円~120万円 |
| 洗面所・脱衣所 | 20万円~30万円 |
| トイレ | 30万円~40万円 |
| フローリング・床 | 60万円~90万円 |
※ホームプロの各費用相場ページに記載された中心価格帯です。統計調査ではなく同社経由の事例集計であり、位置変更、配管、電気、下地の状態、設備のグレードによって変わります。
この五つを単純に足すと、下限で310万円、上限で430万円になります。水まわりと床を一度にやり替えると、この規模になるということです。前掲の調査でリフォーム資金の中央値が70万円だったことと比べると、桁が違います。
つまり費用を左右しているのは、設備のグレードよりも「どこまでやるか」です。キッチンのグレードを一段下げるより、床の張り替えを次回に回すほうが金額は大きく動きます。抑えたいなら、最初に決めるべきは範囲です。
範囲を決めるときの基準は、「古いから」ではなく「困っているから」です。前掲の調査で、住宅内の設備の改善・変更の具体的な内容は「台所・便所・浴室等の設備を改善した」が76.7%で最も多く、「窓・扉などの建具を取り替えた」が21.9%でした。多くの世帯は、毎日使う水まわりから手を付けています。
判断の順序としては、優先度の高いものから次のように分けると整理できます。
一つ目と二つ目に予算を集中させ、三つ目を後回しにするだけで総額は下がります。壁紙は面積が大きいぶん金額も動くため、「全部貼り替える」を「傷んだ部屋だけ貼り替える」に変えるだけで差が出ます。
逆に、後回しにしてはいけないものもあります。給排水管や電気容量のように、内装を仕上げた後で触ると壁や床を壊し直すことになる部分です。順序を間違えると、二度手間の分だけ高くつきます。工程の考え方は名古屋のリノベ期間と流れにまとめています。
一度に全部やらず、工事を分ける方法があります。IROHAHOMEのリノベーション【LIVANA】には三つの予算帯があり、最初の帯は「必要な部分を整える」100万円~600万円です。二つ目が「間取りと設備を一新する」400万円~1200万円、三つ目が「構造体以外をゼロから見直す」900万円~2,500万円です。
一度目で下の帯を使い、暮らしてみてから上の帯の工事を検討する、という進め方ができます。前掲の調査で間取りの変更が4.5%にとどまっていることを踏まえると、最初から間取りを変える前提で予算を組む必要がない方は少なくありません。実際に住んでみてから「ここは変えたい」が具体化することもあります。
ただし、段階施工には向き不向きがあります。分けたほうがよいのは、部屋ごとに独立している工事(居室の内装、収納の追加、建具の交換)です。分けないほうがよいのは、同じ壁や床を二度開ける工事です。配管の更新と水まわりの入れ替えを別々の時期にやると、解体と復旧が二回発生します。
具体的な組み方の例を挙げます。予算を最初の帯(100万円~600万円)に収める場合、一度目に水回り4点の交換と傷んだ部屋の内装を行い、間取りの変更と収納の造作を次回に回す、という分け方ができます。前掲のホームプロの中心価格帯で言えば、キッチン100万円~150万円と浴室100万円~120万円、トイレ30万円~40万円、洗面所20万円~30万円を一度目に入れ、フローリング・床60万円~90万円を次回に回す形です。この組み替えだけで、一度目の工事から60万円~90万円分の工事が外れます。
もう一つ、工事を分けると諸経費と養生費が回数分かかります。総額で見れば、まとめたほうが安くなる工事もあります。「今の予算で今やるべきこと」と「後でよいこと」を、金額だけでなく工事の性質で分けてください。
見積もりが読みにくいと、比較ができず、結果として高い工事を選んでしまうことがあります。IROHAHOMEのマンションリノベ定額制は398万円(税抜)、税込437.8万円で、浴室暖房乾燥機付きのユニットバス、洗面台、トイレ、食洗機付きシステムキッチンの水回り4点の交換、壁紙と天井の全面張り替え、床の刷新、和室のアレンジ、押入れの収納化などが基本工事に含まれます。
前掲の部位別の積み上げ(下限310万円、上限430万円)と比べると、定額制の税込437.8万円は同じ程度の水準に、壁紙・天井の全面張り替えや和室のアレンジが加わった内容になります。金額そのものより重要なのは、工事範囲が先に決まっていることです。範囲が決まっていれば、「何が含まれていないか」を確認するだけで比較ができます。
見積もりの読み方そのものは名古屋のリノベ会社の選び方、費用相場の全体像は名古屋の中古マンションリノベ費用相場にまとめてあります。安さを判断する前に、同じ範囲で比べられる状態を作ってください。
補助金は、工事を決めてから探すと使えないことが多くあります。制度ごとに対象工事、申請時期、着工前後の条件が違うためです。断熱や省エネの工事は制度の対象になりやすい一方、内装の模様替えだけでは対象外ということもあります。
前掲の調査でリフォームの内容の25.9%が「冷暖房設備等の変更」だったことを踏まえると、設備更新のタイミングは制度と重なりやすい領域です。工事の設計段階で「この工事を制度の要件に合わせられるか」を検討すると、同じ予算でできることが増えます。2026年度に使える制度の具体的な内容はリフォーム補助金2026にまとめています。
制度は年度で内容が変わります。募集状況や締切は必ず公式情報で確認し、申請の時期を工程表に入れてから工事の順序を決めてください。
ここまでの四つのコツを試したうえで、まだ予算が合わない場合に設備のグレードを検討します。その際、次の三点に注意してください。
安さの理由を確認してください。 同じ「キッチン交換」でも、既存の配管をそのまま使うのか、下地を作り直すのかで金額は変わります。安い見積もりが工事範囲を狭めた結果なら、後から追加費用が発生します。含む工事・含まない工事・解体後に判断する工事の区別を、契約前に文書で確認してください。
毎日使うものは、長く使います。 水まわりの設備は、次の交換まで十年単位で使うことになります。前掲の調査で「台所・便所・浴室等の設備を改善した」が76.7%と最も多いのは、そこが暮らしの中心だからです。使用頻度の高いものから予算を配分してください。
削ったものが、次の工事で高くつかないか確認してください。 今回見送った工事が、将来やるときに解体と復旧を伴うなら、分けた分だけ総額は上がります。実際に起きやすい失敗は名古屋のリノベーション後悔事例にまとめてあります。
Q. リフォーム費用の平均はいくらですか。
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォーム実施世帯のリフォーム資金は平均値170万円、中央値70万円です。平均と中央値が大きく離れているのは、少数の大規模工事が平均を押し上げているためです。自分の予算感を測るときは中央値も合わせて見てください。
Q. リフォーム費用を抑えるには何から手を付けるとよいですか。
工事範囲の見直しが最も効きます。ホームプロの事例集計では、キッチン・台所が100万円~150万円、浴室・ユニットバスが100万円~120万円、フローリング・床が60万円~90万円です。設備のグレードを一段下げるより、今回やる部位を絞るほうが金額は大きく動きます。
Q. 工事を何回かに分けたほうが安くなりますか。
工事の性質によります。部屋ごとに独立した工事は分けやすい一方、同じ壁や床を二度開ける工事(配管の更新と水まわりの入れ替えなど)は分けると解体と復旧が二回発生します。また分けるたびに諸経費と養生費がかかります。金額だけでなく工事の性質で判断してください。
Q. 名古屋でリフォームの補助金は使えますか。
制度によります。対象工事、申請時期、着工前後の条件が制度ごとに違うため、工事を決めてから探すと使えないことがあります。2026年度に使える制度の内容と申請の流れは、リフォーム補助金2026にまとめています。募集状況と締切は公式情報でご確認ください。
Q. 定額制と個別見積もりでは、どちらが安いですか。
金額だけで比べられません。IROHAHOMEの定額制は398万円(税抜)、税込437.8万円で、水回り4点の交換、壁紙と天井の全面張り替え、床の刷新などが含まれます。個別見積もりは工事範囲を絞れば下げられますが、範囲が違うものは比較になりません。同じ範囲でそろえてから比べてください。
費用を抑える作業は、値切る作業ではありません。今の暮らしで何が困っているかを整理し、今回やることと後でよいことを分ける作業です。順番が決まれば、同じ予算でできることは変わります。
IROHAHOMEは、名古屋市内でリノベーションの設計から施工までを同じチームで担当しています。予算と困りごとをお知らせいただければ、その範囲で優先順位をつけ、今回やる工事と次に回せる工事を分けたご提案をします。物件や図面がある方は、あわせてお持ちください。
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