水まわりのリフォームは、「壊れてから考える」ことになりがちです。給湯器が動かなくなった、浴室のドアが閉まらない、といったきっかけで動き出すと、選べるのは目の前の一か所だけになります。
ところが実際に金額を大きく動かすのは、設備のグレードではなく「何か所を、いつ、どの順でやるか」です。キッチン・浴室・洗面所・トイレの四か所を個別の中心価格帯で積み上げると、下限で250万円、上限で340万円になります。一方、国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォーム実施世帯のリフォーム資金は平均値170万円、中央値70万円です。水まわりを一度に全部やり替えるのは、世の中の平均的なリフォームより一段大きい工事だということです。
そしてマンションの場合、もう一つ効く制約があります。ユニットバスの設置や配管の枝管の取替えは、管理組合の承認が必要な工事として標準管理規約に明記されています。金額の話に入る前に、そもそも何ができるのかを確認する順序が要ります。
この記事では、部位ごとの費用の目安、実際に直されている部位の実績、マンション特有の制約、そしてまとめてやるか分けるかの判断基準を整理します。
まず、部位ごとの費用の目安を並べます。リフォーム会社紹介サービスのホームプロが公開している事例集計の中心価格帯です。
| 部位 | 中心価格帯 |
|---|---|
| キッチン・台所 | 100万円~150万円 |
| 浴室・ユニットバス | 100万円~120万円 |
| トイレ | 30万円~40万円 |
| 洗面所・脱衣所 | 20万円~30万円 |
※ホームプロの各費用相場ページに記載された中心価格帯です。統計調査ではなく同社経由の事例集計であり、位置変更、配管、電気、下地の状態、設備のグレードによって変わります。
この四つを単純に足すと250万円~340万円です。金額の内訳を見て分かるのは、キッチンと浴室で全体の大半を占めるということです。下限どうしで比べると、キッチン100万円と浴室100万円の二か所で200万円、残りのトイレ30万円と洗面所20万円は合わせて50万円にとどまります。
つまり、予算を組むときに最初に決めるべきはキッチンと浴室をどうするかです。トイレと洗面所は、金額の面では後から足しても総額を大きく動かしません。逆に言えば、「せっかくだから全部」と考えると、費用は倍近くまで伸びます。費用を抑える考え方そのものはリフォーム費用を抑えるコツにまとめています。
次に、世の中でどの部位が実際に直されているかを見ます。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査によると、リフォームを行った部位は「居間・リビング」が最も多く26.3%、次いで「外壁」が20.6%、「トイレ」が19.5%です。以下、浴室18.1%、キッチン17.8%と続きます。
工事の内容で見ると、「住宅内の設備の改善・変更」が37.8%で最も多く、その具体的な内容は「台所・便所・浴室等の設備を改善した」が76.7%で最も多くなっています。
この二つを重ねると、水まわりの位置づけが見えます。部位別ではトイレ19.5%、浴室18.1%、キッチン17.8%と、それぞれ二割前後です。個別に見れば突出していませんが、「設備の改善・変更」という括りでは最も多い工事であり、その中身の四分の三以上が水まわりです。
ここから読み取れるのは、多くの世帯が水まわりを一度に全部ではなく、必要になった部位から順に直しているということです。トイレが最も多いのは、金額が30万円~40万円と着手しやすいことと無関係ではありません。
マンションの水まわりリフォームには、戸建てにはない手続きがあります。国土交通省の令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)のコメントは、専有部分の修繕等のうち理事長の承認を必要とするものについて、「具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある」と示しています。
つまり、水まわりの工事で中心になるユニットバスの設置と、配管の枝管の取替えは、どちらも承認の対象として名指しされています。工事を始める前に管理組合へ申請し、承認を得る工程が必要になるということです。
この手続きは形式的なものではありません。同じコメントは、承認を要するのは「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものだと説明しています。水まわりは、上下階の住戸と共用の配管に直結しているからこそ、確認の対象になります。
実務上は、次の順序になります。まず管理規約と細則を入手して、床材の遮音等級や配管に関する定めを確認する。次に、やりたい工事が承認の対象かどうかを整理する。そのうえで申請と工事の日程を組む。この順序を飛ばすと、設計をやり直すことになります。確認の手順はマンション管理規約でできる工事・できない工事にまとめました。
水まわりの相談で最も多いのが、「キッチンを対面にしたい」「浴室を広げたい」という位置の変更です。同じ場所で設備を入れ替えるのと、位置を動かすのとでは、工事の中身がまったく違います。
位置を動かす場合、給水管と排水管をそこまで引き直す必要があります。排水は勾配で流すため、床下にどれだけ高さを取れるかが効きます。この余地がなければ、床を上げるか、位置の変更をあきらめるかの判断になります。前掲のとおり、枝管の取付け・取替えは管理組合の承認の対象です。
だから、水まわりの希望は「どんな設備にしたいか」より先に「どこに置きたいか」を決めたほうが話が早く進みます。位置が決まれば、配管の経路が引けるかどうかを図面と現地で確認でき、そこで実現可能な範囲がはっきりします。間取りごと変える場合の判断はマンションの間取り変更はできる?で扱っています。
四か所を一度にやるか、必要な部位から順にやるかは、費用だけでは決められません。判断の軸は工事の性質です。
まとめたほうがよいものは、同じ配管や同じ床・壁を触る工事です。キッチンと洗面所が背中合わせで同じ配管を共有している場合、別々の時期にやると解体と復旧が二回発生します。給排水管の更新を伴う場合も同様です。
分けてよいものは、他と配管や下地を共有していない工事です。トイレの入れ替えは、床の張り替えを伴わなければ独立させやすい工事です。
そのうえで、分けるときには回数分の諸経費と養生費がかかることを見込んでください。工程と施主が判断するタイミングは名古屋のリノベ期間と流れにまとめています。
中古を買ってリノベーションする場合は、購入と同時に水まわりを一度に整えるほうが合理的なことが多くなります。入居後に住みながら工事をする手間がなく、解体も一度で済むためです。IROHAHOMEのマンションリノベ定額制は398万円(税抜)、税込437.8万円で、浴室暖房乾燥機付きのユニットバス、洗面台、トイレ、食洗機付きシステムキッチンの水回り4点の交換に加えて、壁紙と天井の全面張り替え、床の刷新、和室のアレンジ、押入れの収納化などが基本工事に含まれます。前掲の部位別の積み上げ250万円~340万円が水まわりだけの目安であることと比べて、範囲の違いをご確認ください。
設備の型番より先に、配管と管理規約を確認してください。 ショールームで設備を選ぶのは楽しい作業ですが、位置が決まらなければ選ぶ意味がありません。ユニットバスの設置と枝管の取替えは管理組合の承認の対象です。順序を逆にすると、選び直しになります。
築年数によって、やるべき範囲が変わります。 設備だけを新しくしても、その先の配管が古いままなら、数年後に壁や床を開け直すことになります。建物の修繕履歴と長期修繕計画で、共用の配管がいつ更新されたか(またはその予定があるか)を確認してください。読み方は中古マンションの築年数の見方にまとめています。
見積もりは、含まれない工事のほうを確認してください。 「キッチン交換100万円」という金額に、解体、下地補修、給排水の接続替え、電気工事、廃材処分がどこまで含まれるかは会社によって違います。同じ範囲でそろえないと比較になりません。見積もりの読み方は名古屋のリノベ会社の選び方で扱っています。
Q. 水まわり4点をまとめてリフォームするといくらですか。
ホームプロの事例集計の中心価格帯では、キッチン・台所100万円~150万円、浴室・ユニットバス100万円~120万円、トイレ30万円~40万円、洗面所・脱衣所20万円~30万円です。単純に足すと250万円~340万円になります。位置変更や配管の更新を伴う場合は別途必要になるため、実際の見積もりで確認してください。
Q. 水まわりのリフォームで一番お金がかかるのはどこですか。
キッチンと浴室です。中心価格帯の下限どうしで比べると、キッチン100万円と浴室100万円の二か所で200万円、トイレ30万円と洗面所20万円は合わせて50万円です。予算を組むときは、この二か所をどうするかから決めてください。
Q. マンションでキッチンや浴室の位置を動かせますか。
物件によります。給水管と排水管を引き直せるか、特に排水の勾配を取れる高さが床下にあるかで決まります。また国土交通省の標準管理規約(単棟型)のコメントでは、ユニットバスの設置と配管の枝管の取付け・取替えが、理事長の承認を必要とする工事の具体例として挙げられています。図面と現地の確認、管理規約の確認を先に行ってください。
Q. 世の中では水まわりのどこが多く直されていますか。
国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォームを行った部位はトイレ19.5%、浴室18.1%、キッチン17.8%です。工事の内容では「住宅内の設備の改善・変更」が37.8%で最も多く、その具体的な内容は「台所・便所・浴室等の設備を改善した」が76.7%でした。個別に見れば二割前後ですが、設備の工事としては水まわりが中心です。
Q. 水まわりは一度にやるべきですか、分けるべきですか。
工事の性質で決めてください。同じ配管や同じ床・壁を触る工事はまとめたほうがよく、別々の時期にやると解体と復旧が二回発生します。他と配管や下地を共有しない工事は分けやすくなります。ただし分けるたびに諸経費と養生費がかかります。中古を買ってリノベーションする場合は、入居前に一度で整えるほうが手間も費用も抑えやすくなります。
水まわりのリフォームは、設備を選ぶ前に決まっていることが多い工事です。配管の経路、床下の高さ、管理規約の定め。この三つが、できることの範囲を先に決めています。
IROHAHOMEは、名古屋市内で中古物件の購入からリノベーションまでを同じチームで担当しています。間取り図と管理規約をお持ちいただければ、希望する位置に水まわりを動かせるか、承認の手続きが必要か、総額がいくらになるかを一緒に整理します。物件がまだ決まっていない段階からご相談いただけます。
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