コラム2026.08.31執筆:株式会社IROHA HOME

リノベ向き物件の探し方【名古屋】|検索条件を制度から決める

「リノベ向きの物件って、どう探せばいいですか」。ご相談でいちばん多い質問です。間取りが古くていい、内装が汚くていい——そこまでは皆さんご存じです。では、検索サイトの絞り込みで何をどう設定するか。ここで手が止まります。

答えを先に書きます。検索条件は、制度が引いている線から決めてください。専有面積、建築年、管理の状態。ここには、税金や住宅ローンの制度が明確な数字を置いています。線の外側の物件を選ぶと、気に入っても制度が使えません。あとから面積は増やせませんし、建築年は変えられません。

この記事では、その線がどこにあるかを制度ごとに並べます。物件の候補が出てからの確認は中古リノベの物件選び 購入前のチェックポイントに、内覧当日の見方は中古マンション内覧チェックポイントにあります。この記事は、その前段階=まだ候補が無い状態の話です。

結論:面積は50平方メートル、建築年は昭和57年1月1日が分かれ目

制度面積の線建築年の線
住宅ローン控除(中古)床面積50平方メートル以上昭和57年1月1日以後に建築(それ以前は耐震基準適合の証明が必要)
不動産取得税の軽減(愛知県)床面積40平方メートル以上240平方メートル以下昭和57年1月1日以後に新築(それ以前は耐震診断による証明が必要)
登録免許税の軽減(住宅用家屋)床面積50平方メートル以上
フラット35(中古マンション)住宅の規模30平方メートル以上建築確認日が昭和56年6月1日以後

※ 住宅ローン控除は国税庁 タックスアンサー No.1211-3、不動産取得税は愛知県、登録免許税は国税庁 タックスアンサー No.7191、フラット35は住宅金融支援機構の中古住宅の技術基準。制度ごとに要件は他にもあるため、適用可否は必ず個別に確認してください

いちばん効くのは50平方メートルです。住宅ローン控除も登録免許税の軽減も、ここに線があります。専有面積49平方メートルの物件は、それだけで住宅ローン控除と登録免許税の軽減から外れます。検索サイトの面積指定を「50㎡以上」にしておくのは、制度上の判断です。

次が昭和57年1月1日。住宅ローン控除も不動産取得税の軽減も、この日を境に扱いが変わります。それ以前の建築でも、耐震基準に適合していることの証明があれば対象になります。証明が取れるかどうかを先に確かめることになります。旧耐震の物件そのものの見極めは名古屋で旧耐震マンションを買う前ににまとめています。

名古屋の市場は、この線のどちら側にあるか

公益社団法人中部圏不動産流通機構(中部レインズ)の月例速報によると、2026年5月度の愛知県の中古マンションの成約は432件、平均専有面積は72.07平方メートル、平均築年数は25.96年でした。

平均は約72平方メートルで、築年数の平均は25.96年。築年数から逆算すると2000年前後の建築です。平均で見るかぎりは、面積の線も建築年の線もクリアしています。ただし平均は分布を示さないので、個々の物件が線の内側かどうかは一件ずつ確認してください。

気をつけたいのは、価格が安い理由が面積の小ささや築年の古さだった場合です。そのときは、浮いた分と、制度を使えなくなる分を並べて比べてください。

フラット35を使うなら、管理も条件になる

フラット35で中古マンションを買う場合、住宅金融支援機構の技術基準に適合していることを示す適合証明書が必要です。基準の中には、管理についての条件も入っています。

維持管理基準一戸建て住宅などマンション
管理規約管理規約が定められていること
長期修繕計画計画期間20年以上

※ 住宅金融支援機構【フラット35】中古住宅の技術基準の概要より。「マンション」は地上3階以上の共同建ての住宅を指します

つまり、管理規約がない、あるいは長期修繕計画の期間が20年に満たないマンションは、フラット35の基準を満たしません。物件の見た目や間取りとは関係のないところで、ローンの選択肢が減ります。

管理費・修繕積立金の妥当性の見方は管理費・修繕積立金の相場と見方に書きました。検索の段階では金額までは分かりませんが、候補に挙げた時点で管理の書類を取り寄せると決めておくと早いです。

検索サイトで実際に設定する条件

ここまでを、絞り込み画面の設定に落とします。

  • 専有面積:50平方メートル以上。狭い物件を検討するなら、住宅ローン控除と登録免許税の軽減を捨てる判断を先にする
  • 築年数:指定しない。ただし建築年が昭和57年1月1日より前の物件は、耐震基準適合証明の可否を先に確認する
  • 価格:総額から逆算する。物件価格に工事費と諸費用が乗るので、上限は「出せる総額 - 工事費 - 諸費用」で決める(中古+リノベの総額はいくらで計算しました)
  • 間取り絞らない。当社では、間取りは工事で変えられる前提でご提案しています。ただし変えられる範囲は建物の構造によるので、候補が出たら図面で確認します
  • 管理:検索条件には出てこないことが多い。候補が出た時点で管理規約と長期修繕計画を取り寄せる

間取りを絞らないのがいちばん効きます。同じ面積でも部屋数の表記が違うだけで検索から漏れるので、ここは条件から外してください。工事で間取りを変える前提なら、面積と構造を見ます。

「リノベ向き」に見えて、実は難しい物件

正直に書いておきます。次のような物件は、リノベの自由度が下がるか、費用が読みにくくなります。

  • 専有面積が50平方メートルを下回る:住宅ローン控除と登録免許税の軽減の要件から外れます(不動産取得税は40平方メートル、フラット35は30平方メートルが線なので、そちらは残ります)
  • 管理規約に工事の制限がある:何ができるかは規約で決まるので、候補段階で読んでおく
  • 水まわりの位置を動かしたい:動かせるかどうかは配管と構造によるので、図面と現地で確認が要る
  • 長期修繕計画が無い、または計画期間が20年に満たない:フラット35の維持管理基準を満たしません

どこまで壊せるかという構造の話、管理規約でできる工事・できない工事については、本サイトの「マンションの間取り変更はどこまでできる?」「マンション管理規約でできる工事・できない工事」で扱っています。

予算の上限は、総額から逆算する

検索サイトは物件価格で絞り込みます。ところが実際に払うのは、物件価格に工事費と諸費用を足した総額です。前の記事で計算したとおり、物件2,000万円+定額制リノベ437.8万円の例では、仲介手数料・印紙税・登録免許税・不動産取得税で約90万円が乗り、総額は約2,528万円になりました。

つまり、総額2,500万円までと決めているなら、検索サイトに入れる物件価格の上限は2,500万円ではありません。工事費と諸費用を引いた金額です。ここを引かずに探すと、気に入った物件が出てから予算が合わないことに気づきます。

もう一つ、毎月のほうも引いてください。管理費と修繕積立金の全国平均は合わせて月2万4,557円で、35年では約1,031万円になります。この金額はローンとは別に出ていきます。月々の上限から管理費等を引いた額が、返済に回せる額です。

見つかってからでは遅いこと、あとからでも間に合うこと

条件のうち、あとから変えられないものあとからでも間に合うものを分けておくと迷いません。

  • あとから変えられない:専有面積、建築年、構造、階数、管理組合の状態
  • 工事で変えられる(範囲は構造と管理規約による):間取り、内装、設備、収納

検索条件に入れるべきなのは、前者です。後者は工事で変えられるので、条件から外しておくと候補が広がります。逆に、前者を条件に入れ忘れると、買ったあとで制度が使えないことに気づくことになります。

よくある質問

Q. 中古マンションの検索条件で、専有面積は何平方メートル以上にすればいいですか。

50平方メートル以上をおすすめします。住宅ローン控除は床面積50平方メートル以上、登録免許税の住宅用家屋の軽減税率も床面積50平方メートル以上が要件です。40平方メートル台の物件を検討する場合は、この二つを使わない前提で総額を計算し直してください。

Q. 築年数は何年までに絞るべきですか。

年数そのもので絞る必要はありません。見るべきは建築年で、昭和57年1月1日が分かれ目です。住宅ローン控除も愛知県の不動産取得税の軽減も、この日以後に建築されたものが対象で、それ以前の場合は耐震基準に適合していることの証明が必要になります。フラット35は建築確認日が昭和56年6月1日以後という別の線です。

Q. リノベ前提なら、間取りは絞らなくていいのですか。

はい。当社では、間取りは工事で変えられる前提でご提案しているので、検索条件からは外してください。ただし変えられる範囲は建物の構造によります。候補が出たら図面で確認します。

Q. フラット35を使う予定なら、物件選びで追加の条件はありますか。

あります。住宅金融支援機構の中古住宅の技術基準には、住宅の規模30平方メートル以上のほかに、管理規約が定められていること、長期修繕計画の計画期間20年以上という維持管理の条件が入っています。適合証明書の取得が原則として必要です。

Q. 名古屋の中古マンションは、この条件で探すと候補が少なくなりませんか。

中部圏不動産流通機構の月例速報では、2026年5月度の愛知県の中古マンションの成約の平均専有面積は72.07平方メートル、平均築年数は25.96年です。平均で見るかぎりは、面積の線も建築年の線もクリアしています。ただし平均は分布を示さないので、実際に何件残るかは検索してみないと分かりません。

探す前に、線を一緒に引きます

「この条件で探していいですか」という段階でご相談ください。使う予定の住宅ローン、控除を使うかどうか、総額の上限から、検索サイトに入れる数字をその場で決めます。物件が見つかってからでも構いませんが、線を知らずに探した時間は戻ってきません。名古屋市内であれば、購入前の内見に同行して現場目線で見ることもできます。

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