管理費・修繕積立金の相場と見方【名古屋】|いま安い理由を確かめる
中古マンションを見に行くとき、価格・広さ・駅からの距離は誰でも確認します。一方で、販売図面に小さく書かれた管理費と修繕積立金の欄は、金額が小さく見えるぶん後回しになりがちです。
でも、この二つはローンを払い終わっても払い続けます。そして、将来の値上げを前提にした段階増額積立方式をとっているマンションが、国の調査では47.1%あります。段階増額積立方式のマンションでは、いまの金額は途中の金額ということになります。国の調査では、修繕積立金の全国平均は平成30年度の11,243円から令和5年度の13,054円へ、5年で1,811円上がりました。いま見ている金額が、この先も同じとは限らないということです。
この記事では、国の調査で分かっている相場と、いま見ている物件が将来いくらまで上がりそうかを、買う前に自分で読む方法を書きます。使うのは国土交通省の令和5年度マンション総合調査と、同省のマンションの修繕積立金に関するガイドラインです。どちらも公表されている資料なので、気になる物件が出たときにご自身で確かめられます。
物件価格と工事費の総額は中古+リノベの総額はいくらで計算しました。この記事は、その後ずっと続く毎月のほうを扱います。
結論:全国平均は管理費11,503円+修繕積立金13,054円。合わせて月2万4,557円
| 項目 | 月/戸当たりの平均 | 備考 |
|---|---|---|
| 管理費 | 11,503円 | 駐車場使用料等からの充当額を除いた額 |
| 管理費(充当額を含む総額) | 17,103円 | 駐車場使用料等を管理費に充てている分を含む |
| 修繕積立金 | 13,054円 | |
| 修繕積立金(充当額を含む総額) | 13,378円 | |
| 管理費+修繕積立金 | 2万4,557円 | 充当額を除いた額どうしの合計 |
※ 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」より。合計は本記事での足し算です
月2万4,557円は、35年間では約1,031万円になります。前の記事で計算した月々の返済9万7,900円に対して、約25%の上乗せです。ローンの審査は通っても、暮らしはこの分だけきつくなります。
そしてこの金額は、平均であって、あなたの物件の金額ではありません。後で見るとおり、完成年次別の平均どうしを比べただけでも2,912円の開きがあります。だから相場を覚えることより、目の前の物件の数字が高いのか安いのか、安いなら何が起きるのかを読めるようになるほうが役に立ちます。
修繕積立金は、調査のたびに上がっている
まず、時間の流れを見てください。
| 調査年度 | 月/戸当たり修繕積立金の額 |
|---|---|
| 平成11年度 | 7,378円 |
| 平成15年度 | 9,066円 |
| 平成20年度 | 10,898円 |
| 平成25年度 | 10,783円 |
| 平成30年度 | 11,243円 |
| 令和5年度 | 13,054円 |
※ 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」の月/戸当たり修繕積立金の額(各年度の調査。令和5年度はN=1,522)
平成30年度から令和5年度の5年間で1,811円、率にして約16%上がっています。「今の金額のまま」を前提に資金計画を立てると、後で合わなくなることがあります。
「新しいマンションほど積立金が安い」は、良いことではない
完成年次別の数字を見ると、傾向がはっきり出ます。
| 完成年次 | 月/戸当たり修繕積立金の額 |
|---|---|
| 昭和59(1984)年以前 | 11,685円 |
| 昭和60〜平成6(1985〜1994)年 | 13,163円 |
| 平成7〜平成16(1995〜2004)年 | 14,317円 |
| 平成17〜平成26(2005〜2014)年 | 13,485円 |
| 平成27(2015)年以降 | 11,405円 |
※ 国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」月/戸当たり修繕積立金の額(完成年次別・令和5年度)
いちばん高い平成7〜平成16年の14,317円と、いちばん低い平成27年以降の11,405円では、2,912円の差があります。新しいマンションほど安く、真ん中の年代がいちばん高い、という並びです。
積立方式の内訳はこうです。国の調査では、均等積立方式が40.5%、段階増額積立方式が47.1%。段階増額積立方式は、最初の積立額を低く抑えて、あとから段階的に値上げしていくやり方です。
国土交通省のガイドラインは、この点をはっきり書いています。
段階増額積立方式や修繕時に一時金を徴収する方式など、将来の負担増を前提とする積立方式は、増額しようとする際に区分所有者間の合意形成ができず修繕積立金が不足する事例も生じていることに留意が必要です。将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます。
ですので、いまの金額だけを見て高い安いを判断しない。中古で買うときは、そのマンションがどちらの積立方式で、段階増額積立方式ならいまどの段階にいるのかを、重要事項調査報告書と長期修繕計画で確かめてください。
実際に足りていないマンションは3分の1以上ある
もう一つ、重い数字があります。計画上の積立額と実際の積立額を比べると、実際の積立額が計画に比べて不足しているマンションが36.6%。そのうち不足の割合が20%を超えるマンションが11.7%です。
また、管理費・修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションは30.1%で、築年数が古いマンションほどこの割合は高くなります。区分所有者自身が挙げる管理の課題も、「修繕積立金の積立金額の見直し」が36.2%で最多でした。
不足しているとどうなるか。大規模修繕のときに一時金を集めるか、借入をするか、工事を先送りするかのどれかになります。どれも買った人の負担になります。
自分が見ている物件の金額が妥当か、その場で検算する
国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」には、専有面積1平方メートルあたり月いくら積み立てるべきかの目安が階数と建築延床面積別に出ています。ガイドライン自身が示している例で説明します。
地上20階未満・建築延床面積5,000平方メートル以上〜10,000平方メートル未満のマンションの場合、目安は平均値252円/㎡・月、事例の3分の2が包含される幅は170円/㎡・月〜320円/㎡・月です。
たとえば専有面積70平方メートルの住戸なら、
- 平均値なら:70×252=17,640円
- 幅の下限なら:70×170=11,900円
- 幅の上限なら:70×320=22,400円
いま見ている物件の修繕積立金が仮に月8,000円だとしたら、ガイドラインの幅の下限11,900円に届いていないことになります。それ自体が「間違い」なのではありません。なぜ下回っているのかを、積立方式と長期修繕計画で確かめる、ということです。
機械式駐車場があるマンションでは、さらに加算が要ります。ガイドラインは機種別に1台あたりの月額修繕工事費を示していて、たとえば3段(ピット2段)昇降式は5,840円/台・月。これに台数を掛けて、マンションの総専有床面積で割った額を目安に足します。機械式駐車場が多いマンションは、その分だけ将来の負担が重いということです。
段階増額積立方式のマンションについては、ガイドラインが引上げ方の目安も示しています。均等積立方式にした場合の月額を基準額として、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内とする、という考え方です。手元の計画がこの目安の中に入っているかどうかは、数字を当てはめれば確かめられます。
買う前に見せてもらう三つの書類
数字を読むには現物が要ります。購入を検討する段階で、次の書類を見せてもらってください。仲介する不動産会社を通せば取り寄せられます。
- 重要事項調査報告書:管理会社が発行する書類。管理費・修繕積立金の月額、積立金の総額、滞納の有無、値上げの予定などが書かれています
- 長期修繕計画書:いつ何をいくらでやる予定か。計画期間と、直近の大規模修繕の時期を見ます。国の調査では、長期修繕計画を作成している管理組合は88.4%、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションは59.8%でした。どちらも100%ではないので、その物件がどちらに入るかは個別に確かめる必要があります
- 総会議事録(直近数年分):値上げの議案が出ていないか、出て否決されていないか。否決の記録があるマンションは要注意です
管理規約でできる工事・できない工事が決まる点はマンション管理規約でできる工事・できない工事に、内覧のときに現地で見るポイントは中古マンション内覧チェックポイントにまとめています。
名古屋で買う人にとって、この話がどう効くか
公益社団法人中部圏不動産流通機構(中部レインズ)の月例速報によると、2026年5月度の愛知県の中古マンションの成約件数は432件、成約価格の平均は2,672万円、平均専有面積は72.07平方メートル、平均築年数は25.96年でした。
築25年前後の物件をご相談いただくことが多いのですが、この年代になると、長期修繕計画にどこまで書かれているかで、先の負担の見え方がまったく変わります。当社がまず長期修繕計画と重要事項調査報告書をお願いするのは、この理由です。
築年数と修繕周期の関係そのものは中古マンションの築年数の見方で、団地型の管理については団地リノベという選択肢で扱っています。
リノベーション費用と、毎月の管理費は別のサイフ
当社の定額制リノベーションは税抜398万円/税込437.8万円で、100平方メートルのマンションまで定額で対応します。これは専有部分の工事の費用です。管理費と修繕積立金は共用部分のためのお金なので、リノベーションをしてもしなくてもかかります。
ここを混ぜて考えると、資金計画が狂います。当社がご相談を受けるときは、物件価格・諸費用・工事費・毎月の管理費等を分けて並べたうえで、月々いくらになるかをお見せしています。物件の資料さえあれば、管理費と修繕積立金は資料に書いてあるので、その場で足せます。
よくある質問
Q. 管理費と修繕積立金は、月にいくらくらいが平均ですか。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、駐車場使用料等からの充当額を除いた月/戸当たりの平均が、管理費11,503円、修繕積立金13,054円です。合わせると2万4,557円になります。ただしマンションごとの差が大きいので、平均はあくまで目安です。
Q. 修繕積立金が安い物件は、お買い得ですか。
安いこと自体が悪いのではありません。ただし、後から上げる前提の積立方式かどうかを確かめる必要があります。国の調査では段階増額積立方式が47.1%で、これは最初を低く抑えて後から値上げする方式です。国土交通省のガイドラインも「将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます」としています。重要事項調査報告書と長期修繕計画で、値上げの予定を確認してください。
Q. 自分が見ている物件の修繕積立金が妥当かどうか、どう判断しますか。
国土交通省の修繕積立金ガイドラインの目安と比べます。地上20階未満・建築延床面積5,000平方メートル以上〜10,000平方メートル未満なら、平均値252円/㎡・月、事例の3分の2が包含される幅は170円/㎡・月〜320円/㎡・月です。専有面積70平方メートルなら月11,900円〜22,400円の幅になります。機械式駐車場がある場合は加算が必要です。
Q. 修繕積立金が足りていないマンションは、どれくらいありますか。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、実際の積立額が計画に比べて不足しているマンションが36.6%、そのうち不足の割合が20%を超えるものが11.7%です。不足すると、一時金の徴収・借入・工事の先送りのいずれかになります。
Q. 管理費と修繕積立金は、住宅ローンに含められますか。
住宅ローンの商品によります。管理費と修繕積立金は、住宅の購入資金や工事資金ではなく、入居後に管理組合へ毎月払うお金なので、扱いは金融機関にご確認ください。月2万4,557円なら35年で約1,031万円になります。資金計画を立てるときは、返済額と別枠で見てください。
この物件の管理費と積立金、妥当かどうか一緒に見ます
気になっている物件の販売図面と、可能であれば重要事項調査報告書・長期修繕計画をお持ちください。国のガイドラインの目安と突き合わせて、いまの金額が幅の中に入っているか、入っていないなら何が起きそうかをその場でお伝えします。物件をまだ決めていない段階でも構いません。
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