コラム2026.08.31執筆:株式会社IROHA HOME

中古戸建てと中古マンション、リノベ前提でどちらを選ぶか【名古屋】

「戸建てとマンション、リノベするならどっちがいいですか」。これも、よく受ける質問です。好みで決めていい部分と、条件で決まる部分が混ざっているので、順番に分けます。

この記事では、名古屋の実データと制度の違いを並べます。価格だけで比べると見落とすものを、順に出していきます。

結論:名古屋の相場は戸建てのほうが約412万円高い

公益社団法人中部圏不動産流通機構(中部レインズ)の月例速報から、2026年6月度の愛知県の数字を並べます。

中古マンション中古戸建住宅
成約件数477件317件
成約価格の平均2,573万円2,985万円
面積専有面積 73.51平方メートル土地 189.76平方メートル/建物 120.65平方メートル
築年数の平均26.94年23.05年

※ 公益社団法人中部圏不動産流通機構 月例速報マーケットウォッチ 2026年(令和8年)6月度 の成約登録状況(愛知県)より

価格差は約412万円。ただし、マンションの価格は専有部分、戸建ての価格は土地と建物の合計です。同じ土俵の数字ではないので、「戸建てのほうが高い」で終わらせないでください。面積で見れば、戸建てのほうが広い床を持っています。

物件価格の市況を読むときは、本サイトのコラム「中古マンション価格の見方」をご覧ください。

数字で押さえておきたい四つ

比較の前提になる数字を、もう一度並べておきます。すべて2026年6月度の愛知県の成約です。

成約件数:中古マンション477件、中古戸建住宅317件。どちらにもまとまった数があることが分かります。

成約価格の平均:マンション2,573万円、戸建て2,985万円。差は412万円ですが、マンションの価格は専有部分、戸建ての価格は土地と建物の合計です。同じものを比べた数字ではありません

面積:マンションの専有面積は平均73.51平方メートル。戸建ては土地189.76平方メートル・建物120.65平方メートルです。戸建てのほうが建物の床が広く、加えて土地が付きます。

築年数:マンション26.94年、戸建て23.05年。

この四つを見ると、「どちらが高い・安い」は何を数えるかで変わることが分かります。床面積あたりで見るか、土地を含めて見るか、毎月の支払いを含めて見るか。比べる物差しを先に決めてから数字を見てください

毎月かかるお金が違う

マンションには管理費と修繕積立金があります。国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、駐車場使用料等からの充当額を除いた月/戸当たりの平均が、管理費11,503円、修繕積立金13,054円。合わせて月2万4,557円、35年では約1,031万円になります。

一方、戸建てには管理組合への毎月の支払いがありません。ただし、修繕費が要らないわけではありません。外壁も屋根も給湯器も、いずれ更新が必要です。マンションは管理組合へ毎月納める形、戸建ては自分で用意する形、という違いになります。

数字の上では、価格差412万円より、管理費等の35年分1,031万円のほうが大きい。ただし戸建ての修繕費を計算に入れていないので、この比較だけで結論は出ません。「マンションのほうが総額で高い」とも「安い」とも言えない、というのが正直なところです。

管理費・修繕積立金の妥当性の見方は管理費・修繕積立金の相場と見方にまとめています。

工事でどこまで触れるかが、いちばん違う

ここが実務でいちばん効きます。

マンションは、専有部分の中でも管理規約の制約を受けます。何ができるかは、そのマンションの規約で決まります。費用の面では、国土交通省のマンション標準管理規約のコメントが、専有部分に係る配管の取替え費用について「各区分」「所有者が実費に応じて負担すべきものである」としています。

戸建ては、管理組合という制約はありませんが、建物の構造による制約があります。戸建てリノベの工事内容は一戸建てのリノベーションにまとめています。

マンションは管理規約という書面で制約が決まっていて、戸建ては建物の構造で決まる。制約の出どころが違う、という整理になります。

住宅ローンの基準も違う

住宅金融支援機構のフラット35を使う場合、中古住宅の技術基準が種類によって違います。

住宅の規模(※3)50㎡以上(共同建ての住宅は30㎡以上(※4))30㎡以上(※4)

左が一戸建て住宅など、右がマンションの欄です。さらにマンションには、維持管理の基準として管理規約が定められていること長期修繕計画の計画期間20年以上が求められます。

維持管理基準 管理規約 ー 管理規約が定められていること 長期修繕計画 ー 計画期間20年以上

つまり、マンションは物件の状態だけでなく管理の状態も審査されるということです。戸建てにはこの項目がありません。制度の線をどう検索条件に落とすかはリノベ向き物件の探し方に書きました。

決め方:この順で考えると迷いません

  1. 通勤・通学・生活の範囲で、候補が出るのはどちらか。ここは実際に物件情報を検索してみれば分かります
  2. 毎月いくらまで出せるか。マンションは管理費等が固定で乗ります。戸建ては乗らない代わりに、自分で修繕費を積む必要があります
  3. やりたい工事ができるか。マンションは規約、戸建ては構造で決まります
  4. 使う予定のローンの基準を満たすか。フラット35なら面積と、マンションは管理の基準

前半で候補が絞れて、後半で確定する。この順です。逆にやると、気に入った物件で工事ができないことが後から分かります。

「どちらが向いているか」は、実は暮らし方で決まる

条件の話をしてきましたが、最後は暮らし方です。どちらの制約なら受け入れられるかどちらの良さを優先したいか。ここは統計では決められません。

ひとつだけ言えるのは、片方だけと決めてから探し始めると、もう片方は見ないことになるということです。名古屋のひと月の成約でも、マンション477件に対して戸建て317件と、どちらにも数があります。

税金と諸費用は、種類でほとんど変わらない

買うときの税金と諸費用については、中古+リノベの総額はいくらで、2,000万円の物件を例に最後まで計算しました。仲介手数料・印紙税・登録免許税・不動産取得税を一つずつ積み上げています。

違うのは、買ったあとの毎月です。ここまで書いてきたとおり、マンションには管理費と修繕積立金があり、戸建てにはこの支払いがありません。

名古屋という土地の事情

2026年6月度の成約件数は、中古マンションが477件、中古戸建住宅が317件でした。成約した数ではマンションのほうが多いという事実だけを押さえてください。これは愛知県全体のひと月の数字で、市区や駅ごとの事情、いま売りに出ている在庫の数までは示していません。

築年数の平均は、マンション26.94年、戸建て23.05年です。

見落とされやすい三つの違い

最後に、比較表には出てこないけれど実務で効く違いを挙げます。

一つ目は、工事中の音と搬出経路です。マンションでは共用部を通ることになるので、その分の手当てが要ります。夏の解体の前に確かめることは職人より:夏の解体で、先に確かめることに書きました。

二つ目は、工事の手続きの相手です。マンションでは、工事の内容によって管理組合への確認が必要になります。何ができて何に承認が要るかは、そのマンションの管理規約で決まります。

三つ目は、将来もう一度手を入れるときの範囲です。マンションでは、次の工事も同じ管理規約の中で行うことになります。戸建てでは、建物の構造が許す範囲になります。将来もう一度手を入れる可能性があるなら、ここも見ておいてください。

どれも「どちらが良い」という話ではなく、どちらの制約なら受け入れられるかという話です。

よくある質問

Q. 中古戸建てと中古マンション、どちらが安いですか。

2026年6月度の愛知県の成約価格の平均は、中古マンションが2,573万円、中古戸建住宅が2,985万円で、差は約412万円です。ただしマンションの価格は専有部分、戸建ての価格は土地と建物の合計なので、単純に比較できる数字ではありません。

Q. 毎月の負担はどれくらい違いますか。

マンションには管理費と修繕積立金があり、国土交通省の令和5年度マンション総合調査では月/戸当たりの平均が管理費11,503円、修繕積立金13,054円です。合計で月2万4,557円、35年で約1,031万円になります。戸建てにはこの支払いがありませんが、修繕費が不要になるわけではありません。

Q. リノベーションの自由度はどちらが高いですか。

制約の出どころが違います。マンションは管理規約の制約を受け、専有部分に係る配管の取替え費用も区分所有者の負担とされています。戸建ては管理組合という制約はありませんが、建物の構造による制約があります。

Q. 住宅ローンの条件に違いはありますか。

あります。フラット35の中古住宅の技術基準では、住宅の規模が一戸建て住宅など50平方メートル以上(共同建ての住宅は30平方メートル以上)、マンションは30平方メートル以上です。さらにマンションには、管理規約が定められていること、長期修繕計画の計画期間20年以上という維持管理の基準があります。

Q. 築年数はどちらが古いですか。

2026年6月度の愛知県の成約では、中古マンションの平均築年数が26.94年、中古戸建住宅が23.05年でした。

両方の条件で、同じ形の総額を出します

「戸建てならこの物件、マンションならこの物件」という比較の仕方が、いちばん腑に落ちます。候補を挙げていただければ、それぞれについて物件価格・工事費・諸費用・毎月の支払いを同じ形で並べてお出しします。どちらか一方に寄せるつもりはありません。条件で決まる部分は条件で、好みの部分は好みで決めていただきます。

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