コラム2026.04.13更新 2026.07.30

ペットと暮らすリノベ【名古屋】|規約の確認が先、床と換気はその次

「ペット可のマンションを買ったので、犬が走っても大丈夫な床にしたい」。この相談で最初に確認するのは、床材のカタログではありません。管理規約と、その下にあるペット飼育に関する細則です。

理由ははっきりしています。国土交通省の令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)のコメントは、第18条関係②で「犬、猫等のペットの飼育に関しては、それを認める、認めない等の規定は規約で定めるべき事項である。」と述べています。そして飼育を認める場合には、動物の種類や数の限定、管理組合への届出または登録、飼育方法、共用部分の利用方法、ふん尿の処理といった事項を定める必要がある、とも書かれています。

つまり「ペット可」は「何でも飼える」という意味ではありません。大きさで制限されていることも、頭数が決まっていることも、廊下は抱いて移動と決まっていることもあります。工事の前に読むべき書類があるということです。

この記事では、規約の読み方、共用部分と専有部分の境目、床と換気の工事、そして名古屋の飼育状況のデータを順に整理します。

結論:規約は「認めるかどうか」と「認めるならどう飼うか」の二段構え

標準管理規約のコメントには、実際の条文例まで示されています。飼育を禁止する場合の例は次のとおりです。

「区分所有者及び占有者は、専有部分、共用部分の如何を問わず、犬・猫等の動物を飼育してはならない。ただし、専ら専有部分内で、かつ、かご・水槽等内のみで飼育する小鳥・観賞用魚類(金魚・熱帯魚等)等を、使用細則に定める飼育方法により飼育する場合、及び身体障害者補助犬法に規定する身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)を使用する場合は、この限りではない。」

一方、容認する場合の例はこうです。

「ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育に関する細則を遵守しなければならない。」

読み方のポイントは、禁止の条文にも例外があり、容認の条文にも条件があることです。禁止でも小鳥・観賞魚と身体障害者補助犬は別扱いになっています。容認でも「ペット飼育に関する細則」を守ることが前提です。

そして飼育を認める場合に細則で定める必要がある事項として、標準管理規約のコメントは次を挙げています。

  • 動物等の種類及び数等の限定
  • 管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握
  • 専有部分における飼育方法
  • 共用部分の利用方法及びふん尿の処理等の飼育者の守るべき事項
  • 飼育に起因する被害等に対する責任
  • 違反者に対する措置

物件を検討している段階でこの細則を取り寄せると、「大型犬は不可」「一住戸につき二匹まで」といった制限が先に分かります。買ってから知ると選択肢がありません。規約と細則の入手手順はマンション管理規約でできる工事・できない工事にまとめました。

ベランダは自分の場所ではない

工事の内容を考える前に、もう一つ押さえておく境目があります。専有部分と共用部分の区別です。

標準管理規約(単棟型)第7条は、専有部分を他から区分する構造物の帰属について次のように定めています。

「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」

「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」

床は仕上げ材までが専有部分で、その下のコンクリートは共用部分です。窓は丸ごと共用部分です。そしてベランダも、多くのマンションで共用部分(専用使用権のある共用部分)として扱われます。

環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」は、集合住宅での飼育の注意事項として「犬や猫は自宅または管理者により指定された場所で飼いましょう。共用部分となっているベランダには、犬や猫を出さないようにしましょう。」と明記しています。

同じガイドラインには、住まいづくりに直結する注意も含まれています。「自宅の居室内または指定された場所以外で、犬や猫にフードや水を与えたり、排便、排尿、毛の手入れ(ブラッシング)を行ってはいけません。また抜け毛などを排水管に流したりしないようにしてください。」という一文です。

抜け毛を排水管に流さない、というのは設計に効きます。ペット用のシャワースペースを浴室内につくる場合、排水口に毛を捕まえる仕組みを入れておかないと、数年後に排水不良の原因になります。共用の排水立管に影響が出れば、自分の住戸だけの問題では済みません。

さらに「犬や猫の鳴き声、室内での走り回りなどの騒音に注意し、近隣に迷惑をかけないようにしましょう。」、「悪臭が近隣に伝わらないよう、トイレの位置に気を配りましょう。」とも書かれています。騒音と臭気は、床と換気の設計で減らせる部分があります。

名古屋の飼育状況を数字で見る

環境省のガイドラインは、日本の犬や猫の飼育頭数が「約2,700万頭」に達しているとしています。この資料は平成22年2月に公表されたもので、現在の頭数とは異なりますが、住宅密集地でのルールづくりの考え方は現在も参照されています。

名古屋市に絞った公表データもあります。名古屋市の統計「犬の登録頭数」によると、令和元年度末の名古屋市の犬の登録頭数は12万2151頭、千世帯当たり登録頭数は108.8頭でした。同じ時点の全国の千世帯当たり登録頭数は104.2頭です。

政令指定都市の中では、最も多い浜松市が154.9頭、最も少ない大阪市が62.3頭で、その差は約2.5倍。名古屋市は多いほうから6番目です。

ここから読めるのは、名古屋は犬を飼う世帯の割合が全国平均よりやや高い都市だということです。マンションのペット飼育細則も、その前提で運用されています。ただし名古屋市がこのページで公表しているのは令和元年度末時点の数字であり、その後の推移は同ページの更新を待つ必要があります。

なお、狂犬病予防法により生後91日以上の犬には登録と毎年1回の狂犬病予防注射が義務づけられています。転入・転居の際は登録内容の変更手続きが必要です。リノベーションで住所が変わる場合は、この手続きも工程に入れてください。

床は「滑りにくさ」と「音」の両方で選ぶ

工事の話に入ります。ペットと暮らす住まいで最初に検討されるのは床材です。ここには二つの目的があります。

一つは、ペットの足腰への負担を減らすこと。滑る床は関節に負担がかかります。もう一つは、階下への音を減らすこと。走り回る音は、マンションでは苦情の原因になりやすいものです。

ホームプロが公表する集計では、フローリング・床リフォームの費用相場は「60~90万円が中心価格帯」とされています。同ページに掲載されている事例では、「【25万円】カーペットから防音フローリング」、「【33万円】畳から防音フローリングへ」といった金額が示されています。部屋単位の張り替えなのか住戸全体なのかで、金額は大きく変わります。

素材選びの観点も同ページに書かれています。無垢フローリングは合板(複合)フローリングに比べて価格が高くなる傾向がある一方、湿度に応じて水分を出し入れする「調湿効果」を持つとされています。また、防音フローリングは通常のフローリングより価格が高いとされています。

ここで注意したいのが、マンションの管理規約です。多くのマンションは床材の遮音等級を規約または細則で定めています。ペットのために選んだ床材が、その等級を満たさないことがあります。規約で床の遮音が指定されている場合、素材の選択肢はそこで絞られます。工事の可否の判断手順はマンション管理規約でできる工事・できない工事で扱っています。

なお、戸建てで庭に犬小屋を置く場合、名古屋市建築基準法関係例規集は「住宅に附属する小規模な温室、犬舎・禽舎等」を建築物として取り扱わない例に挙げています。ただし「屋上等に設けるなど建築物と一体となったものを除く」とされているため、建物と一体につくる場合は扱いが変わります。

においと衛生は、換気の経路で決まる

においの対策として真っ先に挙がるのは消臭建材ですが、効き方が大きいのは空気の流れです。ペットのトイレを置く場所と、換気扇や給気口の位置関係で、においがどこへ流れるかが決まります。

環境省のガイドラインが「悪臭が近隣に伝わらないよう、トイレの位置に気を配りましょう。」と書いているのは、この点です。玄関の近くに置けば来客時に、リビングの中央に置けば生活空間に、においが残ります。給気口から換気扇へ向かう空気の通り道の、下流側に置くのが基本です。

掃除のしやすさも設計で変わります。「ノミ、ダニ、ハエなど衛生害虫の発生を防止するため、こまめに掃除を行いましょう。」というのが同ガイドラインの記述です。掃除機やロボット掃除機が入れる床の連続性、拭き取りやすい壁の下部の仕上げ、抜け毛がたまりにくい巾木の形。こうした細部は、素材のグレードより日々の手間に効きます。内覧のときに換気扇と給気口の位置を見ておくと判断が早くなります。見るべき箇所は内覧時のチェックポイントにまとめました。

ペット向けの工事を決める前に確認したい三つのこと

規約と細則を先に取り寄せてください。 「ペット可」の表示だけでは、種類・大きさ・頭数・共用部分での扱いが分かりません。標準管理規約のコメントは、飼育を認める場合に「動物等の種類及び数等の限定」を定める必要があるとしています。中古物件なら、購入前に管理会社経由で入手できます。購入前に確認しておく項目全体は中古リノベ前に確認したいチェックポイントにまとめています。

近隣への挨拶を工程に入れてください。 環境省のガイドラインは「上下、左右の部屋の居住者には犬や猫を飼育していることを必ず知らせてください。」としています。工事の挨拶と一緒に済ませると、あとからの苦情が減ります。

排水と換気は、あとから直すと高くつきます。 床材や壁紙は住みながらでも替えられますが、排水経路と換気の経路は壁や天井を開けないと変えられません。ペット用のシャワーや、トイレ位置に合わせた換気は、最初の工事でまとめて入れておくほうが結果的に安くなります。水まわりの位置がどこまで動かせるかは水まわりリフォームの基本で整理しました。

よくある質問

Q. 「ペット可」のマンションなら、どんな犬でも飼えますか。

飼えるとは限りません。国土交通省の令和7年改正マンション標準管理規約(単棟型)のコメントは、飼育を認める場合に「動物等の種類及び数等の限定」「管理組合への届出又は登録等による飼育動物の把握」「専有部分における飼育方法」などを定める必要があるとしています。実際の制限は各マンションのペット飼育に関する細則に書かれているため、購入前に取り寄せて確認してください。

Q. ベランダで犬を遊ばせてもいいですか。

環境省の「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」は「共用部分となっているベランダには、犬や猫を出さないようにしましょう。」としています。標準管理規約でも窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれないと定められており、ベランダは多くのマンションで共用部分として扱われます。管理規約の定めを確認してください。

Q. ペット用の床にすると、いくらかかりますか。

ホームプロの集計では、フローリング・床リフォームの費用相場は「60~90万円が中心価格帯」とされています。掲載されている事例では「【25万円】カーペットから防音フローリング」、「【33万円】畳から防音フローリングへ」という金額が示されています。マンションでは管理規約が床材の遮音等級を定めていることが多く、選べる材料がそこで絞られます。規約を確認してから見積もりを取ってください。

Q. 名古屋はペットを飼っている世帯が多いのですか。

名古屋市の統計では、令和元年度末の千世帯当たりの犬の登録頭数は108.8頭で、同じ時点の全国の104.2頭より多くなっています。政令指定都市では多いほうから6番目です。最も多い浜松市は154.9頭、最も少ない大阪市は62.3頭で、その差は約2.5倍です。なお名古屋市がこのページで公表しているのは令和元年度末時点の数字です。

Q. においの対策は、消臭建材を入れれば足りますか。

素材だけでは足りません。効き方が大きいのは空気の流れです。環境省のガイドラインは「悪臭が近隣に伝わらないよう、トイレの位置に気を配りましょう。」としています。給気口から換気扇へ向かう通り道の下流側にペットのトイレを置くと、においが生活空間に残りにくくなります。換気の経路は工事のときにしか変えられないため、最初に決めてください。

規約を読んでから、床と換気を一緒に決めます

ペットと暮らすリノベーションは、素材選びから始めると手戻りが出ます。規約と細則で「何が許されているか」を確かめ、そのうえで床の遮音、排水、換気の経路を決める。この順序なら、工事のやり直しが起きません。

IROHAHOMEは名古屋市内で、中古物件の購入からリノベーションまでを同じチームで担当しています。物件の管理規約と間取り図をお持ちいただければ、ペット飼育の条件と、その条件のもとでできる工事を一緒に確認します。物件を探している段階からご相談いただけます。

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