コラム2026.03.18執筆:株式会社IROHA HOME

中古マンションリノベのアスベスト事前調査|100万円未満でも必要?【2026年】

中古マンションをリノベーションするとき、石綿(アスベスト)の確認は大がかりな解体だけの話ではありません。マンション専有部分のリフォームも対象で、工事の規模や金額にかかわらず、改修する部分の事前調査が必要です(厚生労働省委託・石綿総合情報ポータル)。

よく混同されるのが「100万円」という基準です。これは事前調査をするかどうかの境目ではありません。建築物の改修工事で、石綿事前調査の結果を行政へ報告する基準の一つです。100万円未満で結果報告の対象にならない工事でも、事前調査そのものが不要になるわけではありません。

この記事では、物件購入や工事契約の前に確認できるよう、次の三つを分けて説明します。

  1. 工事前に行う事前調査
  2. 一定規模以上の工事で必要になる結果報告
  3. 石綿がある、またはあるものとして扱う場合の工事上の措置

物件購入から着工までの全体像は名古屋のリノベ期間と流れ、管理規約による工事条件はマンション管理規約でできる工事・できない工事もあわせてご覧ください。

結論:100万円未満でも事前調査は必要です

厚生労働省委託の石綿総合情報ポータルは、解体・改修工事について、元請事業者が原則として規模や種類にかかわらず、工事対象箇所のすべての材料を事前調査すると案内しています。戸建てだけでなく、アパートやマンションの専有部分を改修する工事も含まれます。

一方、行政への事前調査結果の報告は、工事の種類と規模で対象が分かれます。

工事結果報告の基準
建築物の解体対象部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改造・補修作業の請負代金の合計が100万円以上
基準未満の工事行政への結果報告の対象外でも、事前調査は必要

ここでいう改修工事の100万円には、材料費と消費税が含まれます。環境省は、事前調査そのものの費用はこの請負代金に含めないと説明しています(環境省)。同じ施工者が一つの工事を複数の契約に分けても、一契約として判断されます。

つまり、見積金額だけを見て「100万円未満だから調査も不要」と判断することはできません。先に確認するのは、どの材料を壊す、切る、穴を開ける工事なのかです。

事前調査は「書面・目視・不明時の判断」で進みます

石綿の事前調査は、建物の築年だけで結論を出す作業ではありません。公式案内では、次の順番が示されています。

1. 設計図書などを確認する

まず、設計図書などの書面から、建物の工事着手時期、使われている建材の種類、製品情報を確認します。設計図書が手元にない場合でも、それだけで調査が終わるわけではありません。

マンションでは、売主や管理会社が保管している書類に確認材料がある場合があります。購入前なら、管理規約や長期修繕計画と一緒に、設計図書・仕上表などの閲覧可否も確認項目へ入れておきます。物件資料の見方は中古リノベの物件選び・購入前の5つのチェックポイントで整理しています。

2. 現地で工事対象の材料を見る

次に、書面と現地が一致しているか、製品名や番号などを目視で確認します。対象は建物全体を漠然と見るのではなく、今回の工事で解体・改修する部分です。

そのため、事前調査を見積に反映するには、間取り案だけでなく工事範囲も必要です。壁を残すのか撤去するのか、床を重ね張りするのか剥がすのか、設備配管のためにどこを開けるのか。工事範囲が変われば、確認する材料も変わり得ます。

3. 書面と目視で判断できない材料を扱う

書面と目視で石綿含有の有無を確認できない場合は、試料を採取して分析機関へ依頼する方法があります。分析をせず、石綿が含まれているものとして法令に沿った措置を取りながら工事する方法も公式に示されています。

どちらを選ぶかは、対象材料、工事方法、工程などを踏まえて資格者と施工者が判断する内容です。施主側では、「不明」という結果を「無し」と読み替えないことが大切です。

調査できる人と、受け取る書類

建築物の解体・改修工事では、2023年10月1日以降に着工する工事から、一定の要件を満たす有資格者が事前調査を行う必要があります。マンション住戸内部の調査を行える資格区分も公式案内に示されています。

施工会社を比べるときは、「アスベスト対応可」という表示だけでなく、次を確認してください。

  • 調査する人の資格区分
  • 書面調査と現地の目視調査が見積に含まれるか
  • 不明な材料があった場合、分析と「有りとみなす」方法をどう選ぶか
  • 事前調査結果報告書を施主も受け取れるか

元請事業者には、調査結果を発注者へ報告し、調査終了後に報告書を3年間保存する義務があります。また、作業場所には調査結果の記録を備え、概要を作業者から見やすい場所へ掲示する必要があります。

調査をしたという口頭説明だけで終わらせず、どこを、どの資料と現地確認で、どう判定したかが分かる報告書を確認します。

石綿があった場合は、調査後の工程が変わります

事前調査で石綿があると判定された場合、または石綿があるものとして扱う場合は、作業者のばく露や周辺への飛散を防ぐため、法令に沿った作業方法が必要です。

石綿含有吹付け材などのレベル1、保温材・耐火被覆材・断熱材などのレベル2に該当する場合は、工事開始14日前までに関係機関への届出が必要と案内されています。発注者側に地方公共団体への届出が必要になる場合もあります。

ここで大事なのは、石綿の有無を物件の良し悪しだけで捉えないことです。調査結果が出たら、次の四点を分けて確認します。

  1. 対象材料と施工場所
  2. 除去、封じ込めなど採用する作業方法
  3. 届出と着工までの日程
  4. 追加になる調査・施工費と契約変更

物件価格、工事費、諸費用を一つの予算表で見る方法は中古+リノベの総額シミュレーションにまとめています。石綿に関する費用は、根拠のない定額を先に入れるのではなく、対象箇所と調査方法を確定してから見積へ反映します。

発注者にも、情報と費用への配慮が求められます

石綿対策は施工会社だけに任せて終わる制度ではありません。厚生労働省の発注者向け案内では、施主や建物オーナーにも次の配慮が求められています。

  • 設計図書や建築確認申請の副本など、調査に役立つ情報を施工業者へ提供する
  • 事前調査や、石綿が確認された場合の除去等に必要な費用を適正に負担する
  • 施工会社が法令を守れる工期と作業条件に配慮する
  • 作業状況を写真で記録できるようにする

発注者向けページでは、事前調査費の項目例として、書面調査、現地調査、裏面確認調査、分析調査、総合調査報告書、交通費などの諸経費が挙げられています。すべての工事で全項目が必要という意味ではありません。自分の見積にどこまで含まれているかを確認するための手掛かりです。

工期を先に固定し、調査や必要な届出の時間だけを削ることはできません。物件引渡し日、調査日、管理組合への工事申請、着工予定日を一つの工程表にして、未確認の項目には余白を残します。

見積・契約前の7項目チェックリスト

物件URLや見積書を見ながら、次の7項目を確認してください。

  1. 工事で解体、切断、穴あけをする範囲が図面に示されているか
  2. 設計図書、仕上表、建築確認関係書類などを確認できるか
  3. 有資格者が事前調査を行う計画になっているか
  4. 見積の調査費に、書面・現地・必要時の分析のどこまでが含まれるか
  5. 事前調査結果報告書をいつ受け取れるか
  6. 行政への結果報告や届出が必要な場合、誰がいつ行うか
  7. 石綿が確認された場合の工期・費用・契約変更をどう決めるか

七つすべてに即答できなくても、物件を諦める結論にはなりません。大切なのは、「無し」「対象外」「見積に含む」の根拠を一つずつ確認できる状態にすることです。

参照した公式情報

制度と手続きは、2026年9月1日に次の公式情報で確認しました。

工事場所の条例や個別の届出先は地域と工事内容で変わるため、着工前に所管自治体、労働基準監督署、資格者へ確認してください。

よくある質問

Q. 100万円未満のマンションリフォームでも、アスベスト調査は必要ですか。

必要です。工事の規模や種類にかかわらず、改修する部分の事前調査が原則必要です。100万円は、建築物の改修工事について行政へ調査結果を報告する基準です。

Q. マンションの専有部分だけの工事も対象ですか。

対象です。厚生労働省委託の公式案内は、戸建て住宅、アパート、マンション専有部分のリフォームを規制対象の改修工事に含めています。

Q. 築年が新しければ、事前調査を省略できますか。

築年だけで施主が省略を判断するものではありません。資格者が設計図書等の書面と現地を確認し、工事対象材料について判定します。行政への報告対象かどうかと、事前調査の要否も分けて確認してください。

Q. 見積書の100万円には何が含まれますか。

環境省の結果報告基準では、材料費と消費税を含む作業全体の請負代金で判断し、事前調査費用は含めません。同じ施工者が契約を分けた場合も、一契約として扱います。

Q. 石綿が見つかったら、リノベーションはできませんか。

直ちに工事できないと決まるわけではありません。対象材料と区分を確認し、法令に沿った作業方法、必要な届出、工期、費用を整理します。個別の施工可否と方法は、資格者・施工者・所管機関へ確認してください。

築年・工事範囲・見積書から、調査の確認表を作ります

検討中の物件URL、築年が分かる資料、予定している工事範囲、見積書をお送りください。事前調査、結果報告、届出を混同せず、「確認済み・要確認」に分けた表にして、物件購入や工事契約の前に確かめる順番を一緒に整理します。

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