スタッフ2026.05.13執筆:株式会社IROHA HOME

設計より:収納は量より、使う場所から決める

収納の打合せで最初に「何畳必要ですか」と聞くと、持ち物が多いほど大きな納戸をつくりたくなります。けれど、家の端に大きな収納があっても、毎日使うものを遠くまで戻さなければならないと、手近な机や床へ置きやすくなります。

収納計画は、箱の大きさより先に、その物をどこで使い、誰が、どの動作で戻すかを決めます。広さは、その答えに必要な寸法を積み上げた結果です。

部屋別ではなく、一日の動作から持ち物を出します

「リビング収納」「玄関収納」という部屋名だけでは、そこに何を入れるかが曖昧です。先に一日の動作をたどります。

  • 帰宅して、鍵・鞄・上着を置く
  • 洗濯して、干す・たたむ・しまう
  • 調理して、配膳し、食器を戻す
  • 掃除機を出し、使い、充電する
  • 郵便物を開き、保管または処分する
  • 就寝前にスマートフォンを充電する

動作ごとに、使う物と戻す場所を図面へ書きます。同じ「書類」でも、毎日見る学校のお知らせと、年に数回確認する契約書では置き場所が違います。

Panasonicの収納選びの案内も、しまう物の種類、使う場面、生活動線、使用頻度に合わせて収納の種類と配置を選ぶこと、計画段階で物の量と寸法を確認することを勧めています。

「使う・戻す・補充する」の三地点を見ます

一つの物にも、三つの場所があります。

使う場所戻す場所補充する場所
タオル洗面・浴室洗面の手が届く棚予備は別のストック棚
掃除機各室動線上の収納・充電場所交換部品は上段など
文房具ダイニングテーブル近く未使用品は共用品収納
外出用品玄関・外帰宅時に通る場所季節物は奥・上段

毎日使う一個と、買い置きの予備を同じ場所へ詰め込む必要はありません。使う分は近くへ分散し、低頻度のストックはまとめる。そうすると、すべての部屋に大きな収納をつくらずに済む場合があります。

LIXILのコアストレージプランも、生活動線上に収納をまとめ、使う場所ごとに収納物を分ける考え方を示しています。一か所に集めるか分散するかは、物の使用頻度と家族の動線で使い分けます。

「しまうときの手」を想像します

収納は、空の状態では使いやすく見えます。実際には、片手に洗濯物を持っている、買い物袋を下げている、濡れた手でタオルを取る、子どもが自分で戻す、といった状態で使います。

扉を二回開ける、手前の箱をどける、踏み台を出すという動作が毎日必要なら、容量が足りていても戻しにくい収納です。次の四点を持ち物リストへ加えます。

  • 誰が使うか
  • 片手か両手か
  • 一日に何回使うか
  • 立ったまま、座って、かがんで使うか

毎日使うものは、無理なく手が届き、中身を見つけやすい位置へ置きます。低頻度の季節用品や予備品は、高い場所や奥でも成立することがあります。家族全員が戻す物は、家族全員が場所を分かり、扱える高さかを確認します。

奥行きは「入る寸法」ではなく「取り出す寸法」で決めます

収納したい物の幅・奥行き・高さを測り、棚板や扉の厚み、金物、コンセント、配線も含めます。箱がぴったり入っても、指を掛ける余白がなく、手前へ引けなければ使えません。

奥行きが深すぎると、手前と奥の二列になり、奥の物が見えなくなる場合があります。深い収納が必要な物と、浅い棚で一覧したい物を分けます。可動棚を使う場合も、棚板を動かせる範囲と、扉の金物に当たらないかを確認します。

さらに、収納の前に立つ場所も寸法の一部です。開き戸、引出し、折戸を開けたとき、通路や家具とぶつからないか。大きな物を出すときに体を引けるか。収納内部だけでなく、扉を開けた状態を図面へ描きます。

家具とコンセントの位置を先に決める方法は設計より:コンセントは、家具を置いてから考えるにもつながります。掃除機や通信機器を収納内で使うなら、電源、コード、機器の設置条件も同時に確認します。

一時置きは「失敗」ではなく、必要な場所を決めます

すべての物を使うたびに本収納へ戻せるとは限りません。帰宅後の郵便物、洗濯前の衣類、料理中の調味料、読みかけの本には、一時的な居場所が必要です。

一時置きをなくそうとして大きな棚を増やすより、量と時間を限定した場所をつくります。例えば、家族ごとの浅い箱、玄関の小さなトレー、洗面の一日分のかごです。いっぱいになったら本収納または処分へ移すルールまで決めます。

見せる収納と隠す収納の一般的な工夫は収納上手になるリノベの工夫で紹介しています。本記事では、その形を選ぶ前に、戻す動作と場所を確定することを優先します。

今の量だけで固定せず、変えられる部分を残します

家族構成、仕事、趣味、子どもの成長で持ち物は変わります。将来分を想像して空の収納を増やし続けると、居住スペースや通路を圧迫します。

造り付けにするのは、寸法が変わりにくい場所や、転倒・配線・納まりを一体で解決したい部分。市販家具や可動棚にするのは、用途を変えたい部分。このように、固定する収納と変えられる収納を分けます。

収納のために壁を新設・移動すると、通路、採光、エアコン、ほかの部屋の広さにも影響します。変更できる壁と構造上残す部分の見方はマンションの間取り変更はどこまでできる?で確認してください。

収納率など一つの数字だけで十分・不足を決めません。持ち物の実寸、使用頻度、動線、取り出し方、将来の変化を一覧にし、必要な場所へ必要な形を置きます。

打合せ前に作る収納リスト

持ち物をすべて数えなくても、次の欄があると設計へ渡せます。

  1. 物の名前と個数
  2. 実寸または使う箱の寸法
  3. 使う場所
  4. 使う人と頻度
  5. 戻す場所
  6. 充電、換気、扉などの条件
  7. 今後増えるか減るか

収納を大きくしたいという要望を、この七項目へ分けると、必要なのが納戸なのか、浅い棚なのか、家具なのかが見えてきます。間取りは収納量の合計ではなく、物と人が戻る経路まで含めて考えます。

造作収納は、壁や電気の工事と決定時期がつながります。相談から設計、着工までの順番は名古屋のリノベ期間と流れも合わせてご覧ください。

間取りと持ち物から、収納配置図を作ります

現在の間取り図、収納の写真、よく使う物と大きな物の一覧をお送りください。使う・戻す・補充する場所、必要寸法、扉や電源の条件を分け、「造作・既製家具・要確認」を付けた収納配置図として一緒に整理します。

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