コラム2026.04.27更新 2026.07.30

収納を増やすリノベ【名古屋】|面積は増えない前提で考える

「収納が足りないので、リノベで増やしたい」。よくいただくご要望です。ただ、この希望は工事の内容としては少し変わっています。というのも、収納を増やすということは、どこかの床面積を収納に差し出すということだからです。家全体が広くなるわけではありません。

国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォームを行った部位として「収納」を挙げた世帯は1.6%でした。居間・リビングの26.3%、外壁の20.6%、トイレの19.5%と比べると、桁が違います。収納は、それ単独では工事の対象になりにくいということです。

一方で、国は住宅の性能として収納を明記しています。2026年3月27日に閣議決定された住生活基本計画(全国計画)は、住宅性能水準の基本的機能として「世帯構成に対応した適正な規模の収納スペースを確保する。」と書いています。求められているのは「多い」ことではなく「世帯構成に対応している」ことです。

この記事では、名古屋の住宅が平成5年から令和5年までにどう変わったかを見たうえで、収納を増やす四つの手段と、それぞれの制約を整理します。

結論:部屋数は減り、一部屋は広くなった。面積は変わっていない

名古屋市の令和5年住宅・土地統計調査から、1住宅当たりの規模を平成5年と令和5年で比べます。

項目平成5年令和5年
1住宅当たり居住室数4.31室3.64室
1住宅当たり居住室の畳数27.54畳28.57畳
1住宅当たり延べ面積77.00㎡76.86㎡

※名古屋市「令和5年住宅・土地統計調査 結果の概要」表2-6 建て方別住宅の規模の推移から、総数の平成5年と令和5年を抜き出したものです。

同じ調査は、この30年の変化を「1 住宅当たり居住室数の推移をみると、平成5 年から令和5 年までの30 年間減少傾向となっている。」、「1 住宅当たり居住室の畳数の推移をみると、令和5 年は30 年前(平成5 年)に比べ若干増加(1.03 畳増)している。」、「1 住宅当たり延べ面積の推移をみると、平成5 年から令和5 年までの30 年間、概ね横ばいで推移している。」と説明しています。

読み替えると、こうなります。床面積は増えていないのに部屋数が減り、一部屋あたりは広くなった。 間仕切りが減った分がリビングなどの居室に回り、収納には回っていない、ということです。

建て方別に見るとさらにはっきりします。令和5年の名古屋市の1住宅当たり延べ面積は、一戸建129.17㎡に対して共同住宅52.70㎡。居住室数は一戸建5.51室、共同住宅2.78室です。共同住宅で収納を増やすということは、52.70㎡の中から場所を作るということになります。

なお同調査では、令和5年の一戸建は30年前に比べ3.68㎡増加、共同住宅は5.06㎡増加しています。建て方別には少しずつ広くなっていますが、総数として横ばいなのは、面積の小さい共同住宅の割合が増えているためです。

実際に手を入れられているのは、設備工事の「ついで」

工事の実態も確認しておきます。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォームの内容として「住宅内の設備の改善・変更」が37.8%で最も多く、その具体的な内容の内訳は次のとおりです。

住宅内設備の改善・変更の内容割合
台所・便所・浴室等の設備を改善した76.7%
窓・扉などの建具を取り替えた21.9%
収納スペースの改善・増加を行った8.7%

※国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」問5-1 住宅内設備の改善・変更の内容(複数回答)の令和7年度の値です。

部位としての「収納」は1.6%ですが、設備の改善・変更をした世帯の中では8.7%が収納スペースに手を入れています。数字の差はこう読めます。収納は単独の工事にはなりにくいが、ほかの工事と同時なら手が入っている。

これは実務の感覚とも一致します。キッチンを入れ替えるときに背面収納を作り直す、間取りを変えるときに壁を厚くして収納にする、洗面所を広げるついでにリネン庫を設ける。解体と復旧が発生するタイミングに合わせれば、収納だけを後から作るより安く済みます。逆に言えば、リノベーションのときに決めておかないと、次の機会は十数年後です。

収納を増やす四つの手段と、それぞれの制約

面積が増えない前提で収納を作るには、どこかから取ってくる必要があります。取り方は四つです。

一つ目は、床面積を割く。 一部屋を狭くしてウォークインクローゼットや納戸にする方法です。最も確実ですが、居室が減ります。名古屋市の共同住宅の平均が2.78室であることを踏まえると、部屋数が少ない住戸では選びにくい方法です。

二つ目は、高さを使う。 天井までの吊り戸棚、階段下、小上がりの下、ベッド下。床面積を減らさずに容積を取れます。ただし居室として使う部分には下限があります。建築基準法施行令第二十一条は「居室の天井の高さは、二・一メートル以上でなければならない。」と定めています。同条第2項では「一室で天井の高さの異なる部分がある場合においては、その平均の高さによるものとする。」とされています。つまり居室の一部を下げて上に収納を作る場合、平均で2.1mを確保する必要があります。

三つ目は、間仕切りを兼用する。 部屋を仕切る壁そのものを収納にする方法です。壁の厚みを増やして両面から使えるようにすれば、仕切りと収納を一度に得られます。名古屋の住宅で居住室数が4.31室から3.64室へ減ってきた流れの逆をやる形になりますが、収納を兼ねる壁なら面積の損失が小さく済みます。

四つ目は、持ち物の総量を減らす。 工事ではありませんが、これを飛ばすと作った収納がすぐに埋まります。住生活基本計画が「世帯構成に対応した適正な規模」と書いているのは、必要量を先に見積もるという意味でもあります。

マンションでは、触れない部分がある

集合住宅で収納を作るとき、避けて通れない制約があります。標準管理規約(単棟型)第7条は、専有部分を他から区分する構造物について「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」と定めています。さらに「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」とも定められています。

実務上の意味は次のとおりです。

  • コンクリートの壁(躯体)には、原則として穴を開けたり削ったりできません。躯体に固定する形の造作収納は難しくなります
  • 窓まわりに収納を作る場合、窓枠そのものには手を入れられません。窓の前を塞ぐ形の収納も、避難経路や採光の観点で制限を受けることがあります
  • 床下や天井裏を収納にする場合、そこに共用の配管や配線が通っていないかを先に確認する必要があります

規約や細則で床材の仕様が指定されているマンションもあります。小上がりを作って下を収納にする、といった計画は、床の構成に関わるため規約の確認が要ります。手順はマンション管理規約でできる工事・できない工事にまとめました。間取りを変えて収納を作れるかどうかはマンションの間取り変更はできる?で扱っています。

収納は、まとめて工事するほうが安い

IROHAHOMEのマンションリノベ定額制は、税抜398万円・税込437.8万円で住戸まるごとを作り直す仕組みです。解体してから作るので、収納の位置と量を最初から設計に組み込めます。あとから収納だけを追加する工事に比べると、解体と復旧が一度で済みます。

工事を段階に分けたい場合は、LIVANAでご予算の目安として100万円~600万円、400万円~1,200万円、900万円~2,500万円の三つの帯を公表しています。収納の造作だけなら下の帯、間取りごと変えるなら上の帯が目安です。順序の考え方はリフォーム費用を抑えるコツで扱っています。

収納を決める前に確認したい三つのこと

しまうものの寸法を測ってください。 「収納を増やしたい」ではなく「布団が◯組」「スーツケースが◯個」「季節家電が◯台」まで具体化すると、必要な奥行きと高さが決まります。奥行きが合わない収納は、手前が空いたまま使われません。住生活基本計画が求めているのも「世帯構成に対応した適正な規模」です。

使う場所の近くに置いてください。 収納の量が同じでも、使う場所から遠いと物は出しっぱなしになります。名古屋市の共同住宅の平均延べ面積は52.70㎡です。この広さで大きな納戸を一か所作るより、各所に分散させたほうが片付く、という判断になることがあります。

ほかの工事と同じタイミングでやってください。 国土交通省の調査で、設備の改善・変更をした世帯のうち収納スペースの改善・増加を行ったのは8.7%でした。裏を返せば、解体を伴う工事のときが収納を直す機会だということです。単独の工事にすると、同じ内容でも解体と復旧の費用が別に発生します。

よくある質問

Q. リノベーションで収納は増やせますか。

増やせますが、どこかの床面積を使います。方法は四つあり、床面積を割く(納戸・ウォークインクローゼット)、高さを使う(吊り戸棚・階段下・小上がり)、間仕切りを収納にする、持ち物を減らす、です。居室として使う部分には建築基準法施行令第二十一条の天井の高さ2.1m以上という下限があるため、高さを使う方法には制限があります。

Q. 世の中では、みんな収納の工事をしていますか。

多くはありません。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォームを行った部位として「収納」を挙げた世帯は1.6%です。ただし住宅内設備の改善・変更をした世帯の中では「収納スペースの改善・増加を行った」が8.7%あり、ほかの工事と同時なら手が入っています。

Q. 名古屋の家は、昔より収納が減っているのですか。

収納そのものの統計はありませんが、名古屋市の令和5年住宅・土地統計調査では、1住宅当たり居住室数が平成5年の4.31室から令和5年の3.64室へ減り、居住室の畳数は27.54畳から28.57畳へ増え、延べ面積は77.00㎡から76.86㎡でほぼ横ばいです。面積が変わらないまま部屋数が減り、一部屋が広くなった形です。増えた分は居室に回っています。

Q. マンションで壁面収納を造作できますか。

仕上げ部分には造作できますが、躯体には触れません。標準管理規約(単棟型)第7条は「天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。」と定めています。コンクリートの壁に固定する形の造作は難しく、床や天井から支持する納まりにするのが一般的です。窓まわりは「窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。」とされているため、計画の前に管理規約を確認してください。

Q. 収納だけを後から作ることはできますか。

できますが、割高になります。国土交通省の調査で収納スペースの改善・増加が設備工事と同時に行われている割合が8.7%であるのに対し、部位として単独で挙げられているのが1.6%である背景には、この費用構造があります。解体・養生・廃材処分・復旧は工事の回数分だけ発生するため、ほかの工事と同じタイミングにまとめるほうが総額は下がります。

しまうものから逆算して、収納の位置を決めます

収納の相談は、「増やす」ではなく「何を、どこに、どれだけしまうか」から始めると早く決まります。そこが決まれば、床面積を割くのか、高さを使うのか、間仕切りを兼ねるのかという手段が自動的に絞られます。

IROHAHOMEは名古屋市内で、中古物件の購入からリノベーションまでを同じチームで担当しています。間取り図と、今しまっているものの量をお聞かせいただければ、どこにどれだけの収納を作れるかを一緒に整理します。物件がまだ決まっていない段階からご相談いただけます。

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