事務より:契約から着工までに、実際に動く書類
中古を買ってリノベーションをする場合、不動産の契約と工事の契約は別のものです。根拠になる法律も別で、書類も別々に動きます。この記事では、事務の立場から、法律が何を求めているかを順に書きます。
不動産のほう:説明の書面と、契約の書面
まず不動産です。宅地建物取引業法は、契約が成立するまでの間に説明しなければならないことを決めています。
その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
これが重要事項説明書です。説明する事項の一番目は「当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容」で、以下、法令に基づく制限などが並びます。
契約が成立したら、別の書面が出ます。同じ法律は、契約が成立したときに交付する書面の記載事項も決めています。中古の場合、次の項目が入るのが特徴です。
当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項
つまり、「その建物の構造や雨水の浸入を防ぐ部分が、いまどうなっているか」を双方で確認した内容が、契約書に書かれるということです。ここが空欄のまま進むと、あとで「聞いていない」が起きます。
なお、媒介契約の書面には、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を書くことになっています。専門家の調査についてはインスペクションは受けるべきかで扱っています。
工事のほう:請負契約書
工事は建設業法です。請負契約の当事者が書面に記載しなければならない事項の筆頭は「工事内容」です。
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。一工事内容二請負代金の額
工事内容と請負代金の額が、契約書の一番と二番です。見積の内訳については、注文者から請求があったときは請負契約が成立するまでに交付しなければならないとも定められています。
見積の書き方については営業より:見積書に「一式」を使わない理由に書いています。
法律が「契約が成立するまでの間に」と時期まで決めているのは、契約する前に知っておくべきことがあるからです。書面の順番は、そのまま「何をいつ知るか」の順番になっています。
当社の場合、書類はこの順で動きます
当社は、中古マンションの購入相談から工事、引渡し後の手続きまでを八段階で公開しています。書類の観点で並べ直すと、こうなります。
- 初回相談:中古マンションの購入と定額制リノベーションについて、希望や費用の不安を伺います
- 中古購入+定額制の提案:物件購入前から、定額制リノベーションの内容と進め方をご説明します
- 定額+オプションを明確に:基本工事は定額のまま、追加したい内容だけをオプションとして分けます
- 仮契約〜物件購入:内容を整理して仮契約へ進み、その後に中古マンションを購入します
- 現地調査・本契約:内部状況と必要な補修を確認し、工事内容と最終金額に納得いただいたうえで本契約となります
- 引渡しとその後:完成後に引渡し。住宅ローンの銀行提案・手続きと、各種補助金の申請も支援します
工事の本契約が、現地調査のあとにあるのが要点です。内部状況と必要な補修を確認してから、工事内容と最終金額を決める流れになっています。
契約以外に出てくる書類
- 住宅ローンの書類:金融機関ごとに様式が決まっています。何が必要かは、使う金融機関にご確認ください
- 管理組合への届出:マンションは、工事の内容によって承認が要ります。何ができて何に承認が要るかはマンション管理規約でできる工事・できない工事にまとめています
- 補助金の申請書類:当社では各種補助金の申請も支援しています