職人より:断熱は、厚さの前に隙間
断熱材を選ぶときは、厚さや材料名に目が向きます。ただ、材料の表示だけでは施工後の状態までは分かりません。国土交通省の公共建築工事標準仕様書を読むと、合成高分子系ルーフィングシート防水の工事で使う断熱材について、接着工法でも機械的固定工法でも、隙間を残さない施工を求めています。
これは公共工事の標準仕様書です。民間のリノベーションへそのまま適用される法律ではありません。そのうえで、断熱材の種類や厚さだけでなく、どのように納めるかを同時に見るという考え方は、工事を確かめる手掛かりになります。
国の標準仕様書は、防水工事の断熱材に隙間を認めていません
同仕様書の防水工事章(合成高分子系ルーフィングシート防水)では、断熱材の張付けについて、接着工法は「下地に断熱材を隙間なく接着剤で張り付け、ローラー等で転圧して密着させた後、ルーフィングシートを張り付ける。」としています。
機械的固定工法についても、「下地に断熱材を隙間なく敷き詰め、ルーフィングシートの製造所の仕様により固定金具で固定する。」と記載されています。
どちらの工法にも共通する言葉は、隙間なく、です。固定方法は異なっても、断熱材を途中で途切れさせずに納める点は共通しています。厚さを選ぶ話と、隙間なく施工する話は別ではなく、両方を確認して初めて仕様書の求める施工になります。
仕様書を読むときは、材料の欄だけでなく、対応する工法の施工欄まで確かめる必要があります。材料の指定と施工の指示が別の箇所にあっても、実際の工事では切り離せないからです。
床下防湿層も、材料名だけでは終わりません
床下防湿層について、同仕様書は材料を特記で定め、特記がなければポリエチレンフィルムとする構成です。施工では、防湿層の重ね合せと基礎梁際の折り下がりの長さを250mm程度としています。
原文は、「防湿層の重ね合せ及び基礎梁際の折り下がりの長さは、250mm 程度とする。」です。ここでも、何を使うかだけでなく、重ねる部分や端部をどのように納めるかまで書かれています。
断熱材については、同仕様書の断熱・防露の節(断熱材打込み工法)に、JIS A 9521に基づく発泡プラスチック断熱材を用い、種類と厚さは特記によるという記載があります。材料の規格と厚さを定める記述がある一方で、別の施工箇所では隙間なく納めることも求めている。この両方を分けずに読むことが大切です。
国の標準仕様書は、材料の規格や厚さを示すだけでなく、ルーフィングシート防水で使う断熱材を隙間なく張り付ける、または敷き詰めると書いています。材料表だけで判断せず、実際に連続して納まる施工まで見る。断熱を考えるときは、その順序を大切にします。
部位を広げて言い切らない
今回引用した隙間のない施工は、防水工事章にある、ルーフィングシート防水で使う断熱材についての記載です。床下について引用したのは、防湿層の重ね合せと折り下がりです。これらを根拠に、壁や天井を含むすべての部位へ同じ工法が適用されるとは書けません。
断熱改修全体の選択肢は、断熱リフォームの考え方で整理しています。断熱とあわせて結露やカビを考える場合は、マンションの結露・カビとリノベーションもご覧ください。
断熱工事の見方を相談したい方へ
材料の名前や厚さだけでなく、施工する部位と納まりまで分けてご説明します。見積書や計画のどこを確かめればよいか迷ったときは、IROHA HOMEへご相談ください。
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