コラム2026.07.22執筆:株式会社IROHA HOME

マンションの結露・カビ対策リノベ|窓・断熱・換気の順番

中古マンションで冬の窓が濡れる、北側の壁紙が黒ずむ、収納を開けるとかび臭い。こうした症状に対して、最初から「内窓を付ければ解決」「換気すれば十分」と決めると、別の原因や別の発生場所を見落とすことがあります。

結露は、室内にある水蒸気と、窓や壁などの表面温度、換気、断熱、家具配置、暖房方法が重なって起きます。一方、雨水や配管からの漏水でも壁や天井が濡れます。まずは濡れる場所、季節、時間、天候、設備との関係を記録し、結露と漏水の可能性を分けます。

この記事では、症状の記録→水分の発生→換気→冷たい場所→建物・漏水の順で確認し、窓・断熱・換気の工事へつなげる方法を整理します。

結論:内窓より先に、濡れ方を地図にします

最初に間取り図へ症状を書き込みます。

記録すること確認の例
場所ガラス、サッシ、北側壁、柱際、収納裏、天井、床際
時期・時間冬の朝、雨天後、入浴後、就寝中、暖房時
広がり方面全体、角だけ、上から、下から、一点から
室内条件室温・湿度、在室人数、加湿、部屋干し、調理、暖房
設備給気口、換気扇、エアコン、給湯・給排水管
変化窓開閉、換気運転、家具移動、天候で変わるか

写真は離れた位置と近接の両方を撮り、撮影日時を残します。表面を拭いた後も再発時期を記録します。原因を決めつけるためではなく、現地調査で確認する場所を絞るためです。

結露と漏水は、対策が違います

結露は、空気に含まれる水蒸気が、温度の低い窓・壁などで水になる現象です。室温、湿度、表面温度、換気、断熱が関係します。

漏水は、外壁・窓周囲からの雨水、上階・自室の給排水、共用配管などから水が入る現象です。雨天と連動する、天井の一点から広がる、配管使用時に変わる、季節に関係なく濡れる場合は、結露と決めず管理会社・管理組合・専門業者へ早めに連絡します。

表面が乾いていても壁内・収納内で湿気が続くことがあります。壁紙を張り替えて見た目だけを直す前に、水分がどこから来るかを調べます。

1. 室内で増える水蒸気を確認します

人の呼吸、調理、入浴、部屋干し、加湿器、開放型の燃焼機器などで室内の水蒸気は増えます。発生量は暮らし方で変わるため、家族人数だけで判断しません。

湿度計は、窓際や加湿器の直近だけでなく、生活する高さで確認します。朝だけでなく、調理後、入浴後、就寝前後も記録します。湿度の数字だけで原因を断定せず、室温と濡れる場所を同時に見ます。

国土交通省の断熱リフォーム実務者向け資料は、結露対策について断熱性能の向上だけでは十分とはいえず、室内の湿度と温度を適切に保ち、水蒸気の過剰な発生を抑え、適切に換気することも大切だと説明しています。

2. 換気設備が動き、空気が通るかを見ます

換気扇のスイッチが入っていても、給気口が閉じている、フィルターが詰まっている、室内扉の下で空気が通りにくい、排気口が汚れているなどで、計画どおりに空気が流れないことがあります。

確認するのは次の点です。

  • 24時間換気の方式と運転状態
  • 給気口の位置、開閉、フィルター
  • 浴室・洗面・トイレ・キッチンの排気
  • 室内扉を閉めたときの空気の通り道
  • 共用ダクトか個別排気か
  • レンジフード運転時の給気

国土交通省の住宅等における換気情報も、自宅にどのような換気設備があるかを知ることが重要だと案内しています。給気口を寒いからと常時ふさぐ前に、換気方式と代替の給気経路を確認します。

3. 冷たい窓・壁・柱際を探します

同じ室内でも、単板ガラスや金属サッシ、外気に接する壁、柱・梁の際、北側の角、収納や家具の裏は表面温度が低くなることがあります。空気が動きにくい場所では、室内全体の湿度計だけでは見えにくい状態もあります。

家具を外壁へ密着させている場合は、背面の壁紙、巾木、床、家具裏を確認します。収納は中身を詰め込みすぎていないか、扉を閉めたまま湿気が残らないかを見ます。

赤外線カメラは温度差の手掛かりになりますが、画像だけで断熱欠損や漏水を確定するものではありません。外気温、暖房、日射、風、表面材の条件をそろえ、必要に応じて含水・温湿度・目視調査を組み合わせます。

4. 窓改修は、ガラス・枠・周囲を一体で考えます

高断熱の窓や内窓は、室内側の表面温度が下がりにくくなり、窓面の結露を抑える方向に働きます。住宅省エネ2026キャンペーンの公式案内でも、高断熱の窓やドアは熱を伝えにくく、サッシやガラスが冷たくなりにくいため、結露の発生を抑えると説明しています。

ただし、窓だけを改善して室内の水蒸気量が同じなら、壁の隅や家具裏など別の冷たい場所で結露が表面化する可能性があります。国土交通省資料も、窓の断熱性能向上後に、ほかの断熱性能が低い場所で結露する可能性を示しています。

窓では次を確認します。

  1. ガラスだけか、サッシ枠を含めて濡れるか
  2. 内窓を設置できる奥行き、開閉、カーテン、家具
  3. 既存窓と内窓の間に湿気が入り続けない使い方
  4. 給気口や換気経路への影響
  5. 共用部分・専用使用部分としての管理規約と申請

窓の断熱と補助制度は断熱リフォームは窓から、窓工事の共用部分・防音上の注意はマンション防音リノベも参考にしてください。

5. 壁の断熱は、内部結露を起こさない納まりを確認します

外気に接する壁を室内側から断熱する場合、断熱材を入れるだけでなく、コンクリート躯体、既存仕上げ、接着・下地、室内側の防湿、柱・梁・床との取り合いを確認します。隙間から室内の湿った空気が冷たい躯体側へ入り続ける納まりは避けます。

住宅金融支援機構の技術基準解説は、鉄筋コンクリート造等を内断熱にする場合、断熱材をコンクリート躯体へ全面密着させるなど、室内空気が断熱材と躯体の間へ入らないようにする考え方を示しています。

部分断熱では、改修した部分としない部分の境界も検討します。柱・梁際、間仕切りとの接点、収納内部まで現況を確認し、断熱・防湿・換気を別々に決めないようにします。

カビを見つけたときは、仕上げ前に水分を止めます

小さな表面汚れでも、広がり、臭い、下地の変色、柔らかさ、再発を確認します。範囲が広い、壁内まで続く、漏水が疑われる、体調への不安がある場合は、自分で削ったり塗り隠したりせず、管理会社や専門業者へ相談してください。

仕上げ材を撤去する場合は、共用部分や躯体、配管、アスベスト事前調査の対象、管理組合申請を確認します。規約の読み方はマンションリノベで最初に読む管理規約、申請書類はマンションリノベの工事申請で整理しています。

改修案は4つの列で比較します

候補を「窓」「壁・天井」「換気・設備」「使い方」に分け、対策する症状と残る範囲を書きます。

対策候補主に確認する症状同時に確認すること
内窓・ガラス・サッシ窓面・枠の冷えと結露規約、開閉、給気、周囲壁
外壁側の断熱壁面・角・収納裏の冷え防湿、取り合い、面積、下地
換気設備・給気経路湿気が抜けにくい状態方式、風量、清掃、扉、共用ダクト
暖房・加湿・部屋干し室内の水蒸気と温度使用時間、換気、配置
漏水調査・補修雨天・配管と連動する濡れ共用部、上階、配管、保険・管理

「一番安い一工事」ではなく、原因仮説ごとに何を確認し、何が改善対象で、何が残るかを比較します。

よくある質問

Q. 内窓を付ければ窓の結露は必ずなくなりますか。

必ずとは言えません。既存窓、内窓の性能、室温・湿度、換気、設置方法、使い方に左右されます。窓面が改善しても、別の冷たい場所に結露が移る可能性も含めて計画します。

Q. カビを拭いて壁紙を張り替えれば大丈夫ですか。

水分の原因が残れば再発することがあります。結露、漏水、配管、壁内の湿気を調べ、下地の状態を確認してから仕上げを戻します。

Q. 換気のために冬も窓を開け続ける必要がありますか。

住宅の換気方式と設備の状態によります。24時間換気、給気口、換気扇、室内扉の通気経路を確認し、必要な換気と暖房を両立する方法を検討します。

Q. 外壁側の壁へ断熱材を入れるだけでよいですか。

断熱材と躯体の密着、防湿、柱・梁・床との取り合い、換気、既存下地を含む納まりが重要です。部分的な施工で別の場所に温湿度差が集中しないかも確認します。

Q. マンションの窓は自由に交換できますか。

窓枠・窓ガラスが共用部分または専用使用部分として扱われることがあります。内窓を含め、各マンションの管理規約、工事細則、申請区分を確認してください。

症状の記録から、調査する順番をつくります

間取り図、濡れた場所の写真、発生する季節・時間・天候、室温・湿度、暖房・加湿・部屋干し、換気設備、管理規約をお送りください。結露・漏水を決めつけず、窓、壁、収納、換気、配管のどこを現地で確認するか、改修候補と管理組合への確認事項を一枚に整理します。

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