コラム2026.08.05執筆:株式会社IROHA HOME

造作家具と既製家具、リノベでどちらを選ぶか

壁いっぱいの収納、テレビボード、食器棚、洗面収納、デスク。リノベーションでは、空間に合わせて作る造作家具と、完成品を選ぶ既製家具のどちらも使えます。

造作は寸法を合わせやすく、内装と一体にできます。一方、既製家具は実物や仕様を比べやすく、暮らしの変化に合わせて移動・交換できるものがあります。ただし、価格、納期、耐久性、安全性は「造作」「既製」という名前だけでは決まりません。

この記事では、収納物→寸法→使い方→将来変更→固定→修理→納期・費用の順で、造作・既製・混在を選ぶ方法を整理します。

結論:動かさない部分だけを造作候補にします

最初に「その場所と使い方が長く変わりにくいか」を考えます。

比較軸造作家具が合いやすい場合既製家具が合いやすい場合
寸法柱・梁・壁の凹凸へ合わせたい規格寸法で納まり、余白を許容できる
使い方収納物・機器・作業が決まっている用途や家族構成が変わる可能性がある
移動その場所から動かさない模様替え・転居・交換を想定する
意匠壁・建具・素材と一体にしたい家具単体のデザインから選びたい
納期設計・製作・取付工程を確保できる完成品の在庫・納期を確認して選ぶ
修理部材・金物・図面を残し対応するメーカー部品・保証・買替えを確認する
固定建物下地と一体で計画する家具と壁に合う転倒防止を別途計画する

全部を造作、全部を既製にする必要はありません。動かさないキッチン収納は造作、将来サイズが変わる子ども部屋の棚は既製、というように分けられます。

先に収納物を測ります

「壁一面に収納がほしい」だけでは、棚板の間隔、奥行き、扉、耐荷重、コンセントを決められません。入れる物を次のように分けます。

  • 毎日使う物
  • 季節ごとに使う物
  • 重い物、割れ物、高さのある物
  • 充電・配線・換気が必要な機器
  • 子どもが触る物、薬、刃物など管理が必要な物
  • 今はないが将来増える可能性がある物

本、食器、衣類、掃除用品、家電は、同じ幅でも必要な奥行きと棚の強さが違います。持ち物を横幅・奥行き・高さで測り、余白と取り出す動作を加えます。

収納場所から考える詳しい手順は設計より:収納は量より、使う場所から決めるも参考にしてください。

造作家具は、空間と配線を一緒に納められます

造作家具は、柱・梁・窓・壁の間へ寸法を合わせ、巾木や見切り、建具、壁面とつなげやすい方法です。テレビ、ルーター、プリンター、調理家電などの位置が決まっていれば、配線穴、コンセント、放熱、点検口も家具と同時に設計できます。

一方で、ミリ単位に合わせた家具ほど、後から大きい家電へ替える、デスク用途を変える、棚を移動する自由度が下がることがあります。機器寸法ぎりぎりにせず、コード、プラグ、扉、排熱、清掃、交換時の搬出を見込みます。

造作を検討しやすい場所は次のような部分です。

  • 梁下や壁の凹凸へ合わせる収納
  • 洗面台と一体にする収納
  • キッチン背面の作業台・家電収納
  • 壁固定と配線を一緒に決めるテレビボード
  • 壁面と一体の本棚・飾り棚
  • 既製品では通路幅を確保しにくい場所

既製家具は、交換と比較のしやすさを生かします

既製家具は、実物展示、仕様、価格、納期、保証、組立方法を比較できる製品があります。引越しや模様替えで動かせる、子どもの成長や仕事の変化に合わせて交換できる点も判断材料です。

ただし、壁際の隙間を「余り」と考えず、コンセント、カーテン、扉、巾木、掃除、家具の搬入・組立に必要な余白として使えます。既製家具の寸法へ合わせて、リノベ側で下地・コンセント・照明位置を先に準備する方法もあります。

注文前には、外形寸法だけでなく、扉・引出しを開いた寸法、巾木よけ、転倒防止部品、組立場所、搬入経路、床の水平、壁固定条件を確認します。

費用は、家具本体だけで比べません

造作家具では、設計、材料、金物、塗装、製作、運搬、現場取付け、下地、電気工事、養生などが関わります。既製家具でも、配送、組立、壁固定、隙間処理、配線、既存家具処分が必要な場合があります。

比較表には次を同じ単位で入れます。

  1. 家具本体・製作費
  2. 配送・搬入・組立・取付費
  3. 壁下地・固定・仕上げ補修
  4. コンセント・照明・通信の工事
  5. 既存家具の移動・処分
  6. 将来の棚追加、部品交換、移設、撤去

造作が必ず高い、既製が必ず安いとは限りません。寸法、材料、金物、数量、施工条件、既製品のグレードと付帯作業をそろえて比較します。

地震時の安全は、家具の種類と壁の両方を確認します

内閣府の家具・家電転倒防止対策は、安全空間の確保、家具の正しい設置、転倒防止器具での固定、扉や収納物の飛散防止を挙げています。

造作家具でも、壁面へ接しているだけで地震時の安全が保証されるわけではありません。既製家具も、付属金具をどこへ固定するかで条件が変わります。家具の高さ、重さ、扉、ガラス、収納物、避難経路を確認し、建物側の下地へ適切に固定します。

総務省消防庁の家具固定解説は、見た目が同じ壁でも内部構成が異なり、固定できる壁とできない壁があるため、設計図や施工会社への確認が重要だと説明しています。マンションでは、コンクリート躯体、ふかし壁、断熱材、間仕切り下地を区別し、共用部分への固定可否も管理規約で確認します。

壁下地の考え方は職人より:壁の仕上がりは、下地で決まるも参考になります。

材料・仕上げ・室内空気も仕様へ入れます

造作家具は、面材、基材、接着剤、塗料、金物、木口仕上げを仕様書へ記載します。既製家具は、製品表示、材料、におい、手入れ方法、設置後の換気を確認します。

国土交通省のシックハウス対策案内は、告示対象建築材料を使用した造り付け家具やキッチンキャビネット等も、ホルムアルデヒド発散建築材料の規制対象になることを示しています。

材料の等級表示だけで室内空気質を保証せず、使用量、換気、ほかの家具や生活用品、体調上の配慮も含めて確認します。アレルギー等の不安がある場合は、材料サンプルや製品情報を早めに取り寄せ、必要に応じて医療専門家へ相談してください。

使い続けるために、修理と更新を先に考えます

扉の丁番、引出しレール、棚受け、取手、照明などは消耗・故障することがあります。設計時に、金物のメーカーと品番、交換方法、点検できる位置を確認します。

造作家具では、完成図、材料・色・品番、塗装、金物、配線経路、予備部材を引渡し書類へ残します。既製家具では、保証書、取扱説明書、購入記録、部品供給、廃番時の対応を確認します。

作り直すときに壁・床・天井の仕上げをどこまで壊すかも違います。将来撤去する可能性が高い物を、内装と完全に一体化しすぎない選択もあります。

家具と電気を別の日に決めません

テレビボード、デスク、食器棚、洗面収納では、コンセント、照明、通信、換気、点検口が家具と重なります。家具の後ろに隠れて抜き差しできない、家電の上に熱がこもる、照明が棚板の影になるといった問題を防ぐため、家具図と電気図を重ねます。

リノベのコンセント・照明計画の家電表と同じ型番・寸法を使い、家具側と電気側で別の前提を持たないようにします。

選び方の手順

  1. 収納する物と使う場所を一覧にする
  2. 壁・梁・窓・巾木・床・搬入経路を実測する
  3. 家電、配線、換気、点検の条件を加える
  4. 5年後・10年後に動かしたいかを決める
  5. 造作・既製・混在の3案を同じ範囲で比較する
  6. 本体、付帯工事、固定、将来更新まで費用へ入れる
  7. 材料、金物、仕上げ、図面、納期を確定する
  8. 壁下地を閉じる前に固定位置と配線を現場確認する
  9. 引渡し時に図面・品番・保証・予備部材を受け取る

契約後の仕様変更は、家具だけでなく下地、電気、内装、工期へ影響します。工事請負契約書の見方も併せて確認してください。

よくある質問

Q. 造作家具は既製家具より長持ちしますか。

種類だけでは決まりません。材料、構造、金物、使用方法、湿気、荷重、手入れ、修理できる設計かで変わります。仕様と交換部品を確認します。

Q. 既製家具なら壁へ固定しなくてもよいですか。

家具の高さ、重さ、形状、収納物、設置場所に応じて転倒・移動防止を検討します。固定先の壁構成を確認し、家具と建物に合う方法を選びます。

Q. 壁いっぱいに造作すると収納量は最大になりますか。

見かけの容積が増えても、奥行きや棚間隔が収納物に合わず、扉・配線・換気・点検スペースが足りなければ使いにくくなります。物を測って有効寸法で比較します。

Q. 造作家具は工事中でも追加できますか。

設計、材料手配、製作、壁下地、電気、仕上げ、工期へ影響します。追加可否と費用・納期を確認し、図面と見積を更新してから製作します。

Q. 既製家具を置く場所にも下地が必要ですか。

転倒防止金具を壁へ固定する場合は、固定可能な下地や壁構成の確認が必要です。家具の製品説明と建物図面をそろえ、施工担当者へ確認します。

収納物と壁寸法から、造作・既製・混在を比べます

収納したい物の写真と寸法、壁・梁・窓の寸法、使いたい家電、将来の模様替え、好みの家具画像をお送りください。造作・既製・混在の3案を、収納量、動かしやすさ、固定、配線、修理、付帯工事まで同じ表で比較します。

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