リノベのコンセント・照明計画|着工前確認
リノベーション後の「ここにコンセントがあれば」「スイッチが扉の後ろになった」は、数を増やすだけでは防げません。コンセントは家具と家電の位置、照明はそこで行う作業と視線、スイッチは部屋へ出入りする順番で決まるからです。
図面に記号を置く前に、使う物と暮らす場面を決めます。その上で、電気容量、回路、分電盤、配線経路、器具、操作方法を電気工事の担当者と確認します。
この記事では、家電表→家具配置→回路→コンセント→照明→スイッチ→現場確認の順で、着工前に決める内容を整理します。
結論:電気図の前に「家具・家電・動作」を置きます
最初に部屋ごとの使用場面を一覧にします。
| 場所 | 家具・家電 | 使う場面 | 電気計画で確認 |
|---|---|---|---|
| リビング | テレビ、ルーター、掃除機、充電器 | 視聴、在宅勤務、掃除、充電 | 壁面、通信、床近く、手元 |
| ダイニング | ペンダント、PC、小型家電 | 食事、宿題、仕事 | テーブル芯、調光、足元配線 |
| キッチン | 冷蔵庫、レンジ、炊飯器等 | 常設、同時使用、手入れ | 専用回路、容量、高さ、水・熱 |
| 洗面・脱衣 | 洗濯機、乾燥機、ドライヤー | 朝、入浴後、洗濯 | 専用回路、湿気、収納内 |
| 寝室 | ベッド、照明、スマホ | 就寝、起床、充電 | 枕元、両側、消灯操作 |
| 玄関・収納 | 掃除機、電動自転車等 | 帰宅、充電、掃除 | 収納内、換気、充電器の寸法 |
「コンセント2口」という数だけでなく、何を挿したままにするか、何を一時的に使うか、プラグとACアダプターが家具へ当たらないかまで図面へ書きます。
家電は、常設・一時使用・充電・将来に分けます
家電表を四つに分けると、必要な位置と回路が見えやすくなります。
- 常設:冷蔵庫、テレビ、ルーター、洗濯機、温水洗浄便座など
- 一時使用:掃除機、アイロン、ミキサー、季節家電など
- 充電:スマートフォン、PC、掃除機、電動工具、自転車用バッテリーなど
- 将来:食器洗い機、乾燥機、ロボット掃除機、介護機器等の候補
製品名が決まっているものは、型番、消費電力、プラグ形状、コードの出る向き、必要な専用回路、通信、アース、設置離隔を取扱説明書・施工説明書で確認します。まだ決まっていないものは、想定する種類と決定期限を図面に残します。
分電盤・契約容量・回路を先に確認します
コンセントを増やしても、既存の分電盤、幹線、回路、契約容量で計画した家電を使えるとは限りません。キッチン家電、エアコン、IH、食器洗い機、洗濯乾燥機などを同時に使う場面を想定し、専用回路の要否を電気工事士へ確認します。
マンションでは、住戸内だけでなく建物側の電気容量や管理規約の制限が関係する場合があります。分電盤の回路表示と現状が一致しているか、漏電遮断器、接地、既存配線の状態、共用部から住戸までの容量を調べます。
経済産業省の電気安全案内は、電気の限度を超えるたこ足配線を避け、電気設備工事は有資格者へ相談するよう示しています。コンセント・配線の新設や移設は、自己判断で施工せず、資格のある担当者へ依頼します。
コンセントは「位置・高さ・向き・余白」を決めます
平面図の位置が合っていても、高さや家具との関係で使えないことがあります。
家具に隠れる場所
ソファ、ベッド、食器棚、テレビボードの背面は、プラグの厚みとコードの曲がりを見込みます。点検・抜き差しが必要なコンセントを、動かしにくい家具の完全な裏へ置かないようにします。
作業面の近く
キッチンカウンター、洗面台、デスクでは、機器を置く面、水・熱の位置、配線が横切る場所を確認します。収納の中に設ける場合は、充電中の発熱、換気、扉、棚板、機器寸法を合わせます。
掃除と季節家電
掃除機をどこから出し、どの部屋まで使うかを図面上でたどります。扇風機、加湿器、暖房器具は、季節によって置き場所が変わります。延長コードを通路へ横切らせなくてよい位置を検討します。
家具から決める詳しい考え方は設計より:コンセントは、家具を置いてから考えるで紹介しています。
延長コード前提を減らし、安全上の条件を確認します
NITEの公開資料によると、2019〜2024年の6年間に報告された電源プラグ・電源コード・コンセントの事故は219件あり、8割以上が火災事故へ進展しています。対象には延長コード、テーブルタップ、マルチタップも含まれます。
設計時には、次の使い方を前提にしない配置を考えます。
- 定格を超えて複数家電をつなぐ
- コードを束ねたまま使う
- 家具や扉でコードを挟む
- 湿気やほこりがたまりやすい場所へ長期間差したままにする
- 高消費電力機器を適合確認なしに延長コードで使う
実際に使用する機器と配線器具の取扱説明書、定格を確認します。リノベは、見える延長コードを隠すだけでなく、必要な位置へ適切な回路とコンセントを用意する機会です。
照明は、部屋の広さより「何を見るか」で分けます
一灯で部屋全体を均一に照らす方法だけでなく、全体、作業面、壁・天井、足元を組み合わせます。
- 全体の光:移動や日常生活に必要な明るさ
- 作業の光:調理台、食卓、デスク、洗面鏡、読書位置
- 視線の光:壁、天井、棚、アートなど空間の見え方
- 足元の光:廊下、寝室、夜間の移動
ダウンライトの数を面積だけで決めると、家具配置の変更でテーブル芯から外れる、顔に影が出る、テレビへ映り込むことがあります。ペンダントはテーブル寸法と芯、高さ、家具搬入後の位置調整範囲を確認します。
日本照明工業会の用語解説では、色温度を光色の数値、演色性を照らされた物の色の見え方に関わる光源の性質として説明しています。器具は明るさだけでなく、光色、演色性、配光、まぶしさ、調光対応を用途ごとに確認します。
スイッチは、入る側と出る側の両方で試します
スイッチは図面上の近さではなく、扉を開けた状態と手の動きで確認します。
- 玄関から入って点灯し、廊下の先で消せるか
- 寝室へ入って点灯し、ベッドから消せるか
- 洗面・トイレの扉と干渉しないか
- 両手に荷物がある帰宅時に操作しやすいか
- 誰がどの照明を操作するか表示で分かるか
- 調光・調色・センサー・スマート操作が器具と適合するか
環境省の住宅脱炭素NAVIは、LED照明に照度センサーや人感センサー等の制御技術を組み合わせることで、さらに省エネルギー化できると説明しています。ただし、寝室の寝返り、ペット、廊下の滞在時間などで不要に反応しないか、使用場面に合わせます。
家事と移動の順番は設計より:家事動線は、歩数より順番で考えるも参考になります。
着工前と壁を閉じる前に、二度確認します
電気図が完成したら、コンセント、スイッチ、照明、換気、通信、インターホン、設備電源を一枚へ重ねます。家具図と建具図も並べ、記号の重複、扉との干渉、仕上げ材、下地、配線経路を確認します。
工事中は、壁・天井の下地を閉じる前に、現場で位置と高さを確認できる工程を決めます。変更がある場合は、口頭だけで済ませず、図面、見積、回路表、工期への影響を更新します。変更手順は工事請負契約書の見方も確認してください。
マンションでは分電盤、幹線、インターホン、感知器、共用配線等が関わる工事について、管理組合への確認・承認が必要な場合があります。申請順はマンションリノベの工事申請で整理しています。
着工前チェックリスト
- 家具寸法と配置が図面へ入っている
- 家電の型番・消費電力・プラグ・コード方向を確認した
- 常設、一時使用、充電、将来機器を分けた
- 分電盤、回路、契約容量、専用回路を確認した
- コンセントの位置・高さ・向き・口数を確認した
- 家具・扉・水・熱・収納と干渉しない
- 通路を横切る延長コードを前提にしていない
- 作業面、全体、視線、足元の光を分けた
- 器具の明るさ、配光、光色、演色、調光を確認した
- スイッチを入室・退室・就寝位置から操作できる
- 通信、換気、感知器、設備電源と図面を統合した
- 壁・天井を閉じる前の現場確認日を決めた
よくある質問
Q. コンセントは多いほどよいですか。
数だけでは決まりません。家具で隠れる、回路が足りない、使う位置から遠い場合があります。家電、動作、回路、位置、高さを組み合わせて決めます。
Q. 将来用のコンセントはどこまで考えますか。
導入可能性がある家電や家具変更を挙げ、空配管、下地、回路の余裕なども含めて検討します。用途不明の追加だけでなく、想定機器と判断期限を残します。
Q. ダウンライトを均等配置すれば明るくなりますか。
必要な明るさは、用途、天井高、壁・床の反射、家具、器具の配光等で変わります。作業面や視線を確認し、器具仕様と配置を照明担当者と検討します。
Q. 調光器はどのLED照明にも使えますか。
器具と調光器の適合確認が必要です。調光方式、最低点灯、ちらつき、複数器具の組合せをメーカー資料・施工説明書で確認します。
Q. 工事中にコンセント位置を変えられますか。
工程、配線、下地、仕上げ、回路、費用、申請への影響があります。変更可否を確認し、図面と見積を更新して合意後に施工します。
家具図と家電表から、電気プロット表を作ります
間取り、家具寸法、家電の型番、充電する物、朝・夜の動き、照明の好みをお送りください。コンセント、専用回路、通信、照明、スイッチを一枚へ重ね、着工前に決める項目と現場で再確認する位置を整理します。
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