コラム2026.08.19執筆:株式会社IROHA HOME

バリアフリーリフォーム【名古屋】|段差・手すり・介護保険

バリアフリーリフォームは、「廊下に手すりを付ける」「段差をなくす」といった工事項目から始めるものではありません。本人がどこで立ち止まり、どちらの足から動き、何につかまり、介助者がどこに立つかを確認して、必要な位置と形を決めます。

同じ手すりでも、歩行の補助、立ち上がり、方向転換、移乗では、位置・向き・長さが違います。段差をなくした結果、扉が開かない、浴室排水が変わる、つまずき場所が別へ移ることもあります。

この記事では、本人の動作確認→工事候補→マンション条件→制度の事前申請→工事→完了記録の順で整理します。制度情報は2026年9月1日に名古屋市・厚生労働省の公開情報を確認しています。

結論:工事前に、動作・建物・制度を一枚へ重ねます

確認層先に集める内容
本人・介助立つ、歩く、座る、移る、またぐ、扉を開ける動作
住まい段差、床、壁下地、扉幅、配管、浴室・トイレ、照明
マンション専有・共用の区分、管理規約、工事細則、申請、作業時間
制度要支援・要介護認定、負担割合、既利用額、対象工事、事前申請
工事見積内訳、図面、写真、理由書、所有者承諾、工程

制度を使う場合は、設計や見積を作る前からケアマネジャー等、区役所窓口、施工事業者へ相談します。着工後では事前申請の手順をやり直せません。

本人の動作を、朝から夜まで確認します

図面上で移動距離を見るだけでなく、実際の動きを確認します。

  • ベッドから起き上がり、立つ
  • 寝室からトイレへ移動する
  • 便器へ向きを変え、座り、立つ
  • 洗面で顔を洗い、衣類を着替える
  • 浴室へ入り、またぎ、座り、浴槽へ移る
  • 玄関で靴を脱ぎ履きし、上がりかまちを越える
  • 外出時に車いす、杖、歩行器を扱う

疲れた時間帯、夜間、薬の影響、床が濡れている状態などで動きが違うこともあります。本人だけでなく、家族や介助者がどこに立ち、身体や用具を支えるかも見ます。

医療・介護上の判断は、医師、理学療法士、作業療法士、ケアマネジャー等と連携します。施工会社だけで身体状況を判断しません。

手すりは、壁ではなく手の位置から決めます

「空いている壁へ手すりを付ける」のではなく、立ち上がりや歩行時に実際に手が来る位置、握り方、身体の向き、介助方法を確認します。

手すりを固定する壁には、荷重を支える下地が必要です。壁紙の上から見ただけでは、下地、配管、配線、コンクリート躯体との関係は分かりません。必要に応じて下地補強を計画し、管理規約と共用部分への固定可否も確認します。

名古屋市の介護保険住宅改修リーフレットでは、手すり取付けのための壁下地補強を、対象工事に付帯して必要な改修の例として挙げています。壁下地の考え方は職人より:壁の仕上がりは、下地で決まるも参考にしてください。

段差解消は、扉・水・床全体を見ます

小さな段差でも、足の上がり方や視認性によって負担になります。一方、床をかさ上げして一か所を平らにすると、別の部屋との境、玄関、バルコニー、建具、収納扉に新しい段差や干渉が生じることがあります。

浴室・洗面では、段差、排水勾配、防水、床の滑り、扉、脱衣スペースをまとめて検討します。床材は「滑りにくい」という表示だけで決めず、乾いているときと濡れたとき、素足・靴下・履物、掃除方法を確認します。

マンションの床スラブや防水層、共用配管は自由に変更できません。水まわりを動かす条件はマンションでキッチン・浴室・トイレを移動できる条件で整理しています。

扉は、通過幅より前後の動きを確認します

開き戸を引き戸や折戸へ替えると、開閉時の身体移動を減らせる場合があります。ただし、引き込み側の壁、スイッチ、コンセント、手すり、タオル掛け、家具と干渉することがあります。

確認するのは、扉の有効な開口、取手、戸の重さ、床レール、段差、介助者の立ち位置、車いす・歩行器の回転です。トイレ内で倒れた場合に外から開けられるか、鍵を非常解錠できるかも検討します。

名古屋市の介護保険住宅改修では、引き戸等への扉取替え、扉撤去、ドアノブ変更、戸車設置等が対象工事の例に含まれます。個別工事が対象になるかは、事前に区役所等へ確認します。

トイレ・浴室は、設備だけでなく移乗空間を取ります

便器や浴槽の製品を替えても、横に立つ、向きを変える、介助する空間が足りなければ使いにくさが残ります。

トイレ

  • 便器への接近方向と立ち座り
  • 手すりとペーパーホルダーの干渉
  • 扉の開き方と外部からの救助
  • 衣服を操作するスペース
  • 将来の福祉用具・介助スペース

浴室・洗面

  • 脱衣、着替え、椅子への移乗
  • 浴室出入口の段差と水じまい
  • 浴槽のまたぎ、縁、手すり、座面
  • 濡れた床での移動
  • 介助者の姿勢、給湯・水栓の操作
  • 室温差、換気、照明

身体状況と介助方法が変わる可能性も考え、固定工事と福祉用具を組み合わせます。置くだけの用具は住宅改修費の対象外となるのが原則ですが、福祉用具の貸与・購入など別制度が使える場合があります。ケアマネジャー等へ同時に確認します。

名古屋市の介護保険住宅改修費は、着工前申請です

名古屋市の公式案内では、在宅の要介護・要支援者が現に居住する住宅の小規模改修について、利用限度額は要支援・要介護度にかかわらず、一人につき20万円までです【2026-09-01確認】。負担割合に応じ、対象費用の9割、8割または7割が支給されます。

重要なのは次の順番です。

  1. ケアマネジャー等と必要な工事を整理する
  2. 施工事業者と現地確認し、見積・図面を作る
  3. 理由書、見積・図面、撮影日入りの改修前写真等をそろえる
  4. 名古屋市へ事前申請する
  5. 区役所・支所から承認通知を受ける
  6. 承認後に着工する
  7. 完成後写真、領収・工事書類をそろえ支給申請する

申請前に工事を始めないでください。必要書類と対象可否は、名古屋市の住宅改修費リーフレットと区役所福祉課・支所区民福祉課で最新情報を確認します。

支払い方法は2種類あります

名古屋市の案内には、利用者がいったん全額を施工事業者へ払い、後から支給を受ける「償還払い」と、利用者が自己負担分を登録事業者へ払い、残りを名古屋市が事業者へ直接支払う「受領委任払い」があります。

受領委任払いには、名古屋市の登録事業者を利用する必要があります。契約前に、どちらの方法か、対象外工事を含む総額、支払時期、申請者、振込先を確認します。

介護保険の支給限度基準額20万円は、工事総額の上限ではなく、制度が管理する対象費用の基準です。厚生労働省の通知で制度上の基準額が示されています。過去の利用額、転居、介護度の大幅な変化等による扱いは個別に窓口へ確認します。

同時リノベは、対象工事と対象外工事を分けます

全面リノベの一部として手すり、段差解消、扉、床、便器等を行う場合、見積書で介護保険対象候補と一般リノベを分けます。材料費、施工費、諸経費、付帯工事の対応が分かる内訳にします。

図面、写真、見積、請求、領収の工事項目と範囲を一致させます。契約変更があれば、制度窓口への再確認が必要になることがあります。工事請負契約書の見方も併せて確認してください。

マンションは、管理組合の承認も別に必要です

介護保険の事前承認があっても、マンション管理組合の工事承認を省略できるわけではありません。床、壁下地、扉、水まわり、配管、共用廊下、搬入、工事時間を規約・細則で確認します。

玄関扉、窓、共用廊下などは共用部分・専用使用部分として扱われる場合があります。共用部へスロープや手すりを設けたい場合は、住戸内工事と分けて管理組合へ相談します。申請書類の順番はマンションリノベの工事申請で整理しています。

夜間移動の足元灯、スイッチ、コンセントも同時に確認する場合はリノベのコンセント・照明計画を参照してください。

障害者住宅改造補助・固定資産税も別制度です

名古屋市の障害者住宅改造補助金は、対象となる障害者手帳等の要件を満たす方について、訪問相談を通じた住宅改造を助成する制度です【2026-09-01確認】。限度額は80万円、要支援・要介護認定を受けた方は60万円で、所得により助成率が異なります。訪問相談と改造前申請が必要です。

また、一定の要件を満たすバリアフリー改修は、固定資産税の減額対象になる場合があります。名古屋市の案内では、工事費、住宅、居住者等の条件と、工事完了後3か月以内の申告を示しています【2026-09-01確認】。

これらは対象者、工事、申請時期、併用・費用控除の扱いが異なります。「バリアフリー工事だから使える」とまとめず、契約・着工前に制度ごとに確認します。

よくある質問

Q. 要介護認定前でも工事を始めてよいですか。

制度利用を考えるなら、着工前にケアマネジャー等と区役所窓口へ相談してください。認定、居住、工事内容、申請時期などの要件を確認し、承認通知後に着工します。

Q. 手すりの高さは決まっていますか。

一律では決めません。本人の身長、握り方、立ち上がり、歩行、移乗、利き手、介助方法と、壁下地を現場で確認します。

Q. 20万円まで無料で工事できますか。

無料という制度ではありません。20万円は介護保険住宅改修費の利用限度額で、負担割合に応じた自己負担があります。対象外工事や限度超過分も自己負担です。

Q. 分譲マンションでも介護保険住宅改修を使えますか。

居住・認定・工事内容等の制度要件を満たすかを名古屋市へ確認します。別に管理規約と工事申請があり、共用部分は専有部と同じようには施工できません。

Q. 全面リノベと一緒に申請できますか。

介護保険の対象となる工事範囲と一般工事を見積・図面で分け、着工前に申請します。付帯工事や共通仮設等の扱いは、区役所窓口と施工事業者へ確認してください。

動作確認と制度書類を、工事前にそろえます

本人・介助者が困る場所、要支援・要介護認定の状況、ケアマネジャー等の連絡先、間取り、管理規約、改修希望をお送りください。動作確認、手すり・段差・扉・水まわりの候補、マンション申請、介護保険の事前申請書類を一つの工程表へ整理します。

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