リノベ事例の正しい見方【名古屋】|金額に何が含まれているかで三倍変わる
施工事例を見比べるとき、いちばん気になるのは金額です。ところが、事例に書かれた金額どうしを直接比べても、あまり意味がありません。含まれている範囲が会社ごとに違うからです。
具体例で考えます。ある会社の事例のほうが、別の会社の事例より高く見えたとします。前者が解体・設備・内装・照明・カーテン・工事中の駐車場代まで含み、後者が本体工事だけの金額だとしたら、比べているのは工事ではなく書き方です。
判断の足場になるのは、公表されている統計です。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォーム実施世帯のリフォーム資金は平均170万円、そのうち自己資金が143万円、自己資金比率は84.2%でした。この数字を知っていると、事例の金額が「大きい」のか「その工事なら普通」なのかを判断できます。
この記事では、事例の金額に含まれるもの・含まれないもの、工期や築年数の読み方、そして事例を出している会社の見方までを、公表データで整理します。
結論:まず「母数が違う」ことを知っておく
リフォーム資金の平均170万円という数字は、給湯器の交換も、クロスの張り替えも、住戸まるごとのリノベーションも、すべて同じ母数に入れた平均です。
| 項目 | 令和7年度 |
|---|---|
| リフォーム資金(平均) | 170万円 |
| うち自己資金 | 143万円 |
| うち借入金 | 27万円 |
| 自己資金比率 | 84.2% |
※国土交通省「令和7年度 住宅市場動向調査」7.4.1 リフォーム資金の値です。
つまり、中古マンションを買ってスケルトンから作り直した事例の金額がこの平均を大きく上回っていても、それは「相場より高い」のではなく「平均に含まれる工事とは種類が違う」だけです。事例の金額を見るときは、まず何の工事かを確認してください。
同じ調査で、リフォームの内容は「住宅内の設備の改善・変更」が37.8%で最も多く、次いで「内装の模様替えなど」が27.3%、「冷暖房設備等の変更」が25.9%でした。動機は「住宅がいたんだり汚れたりしていた」が39.7%で最も多く、「家を長持ちさせるため」が22.3%、「省エネ性能の向上のため」が17.8%と続きます。
世の中のリフォームの大半は、壊れたところを直す工事です。中古購入とセットの全面リノベーションは、この統計の中では少数派の側にあります。だから相場感がつかみにくく、事例に頼ることになります。
事例を読むときの五つの軸
事例のページで確認すべきものを、順番に並べます。
一つ目は、金額に含まれる範囲。 解体、廃材処分、養生、下地補修、設備の本体価格と設置費、電気工事、給排水工事、照明器具、カーテン、エアコン、設計料、諸経費。このうちどこまでが「事例の金額」に入っているかを確認してください。書かれていなければ、問い合わせて聞ける項目です。見積書の読み方は名古屋のリノベ会社の選び方で扱っています。
二つ目は、家具・家電が別だということ。 国土交通省の同じ調査では、リフォームを契機に購入した耐久消費財の合計金額は平均86万円、中央値40万円でした。事例の写真に写っているソファもダイニングテーブルも、工事費には入っていません。写真の印象そのままの暮らしを始めるには、この分の予算が別に要ります。
三つ目は、工期。 同調査では、リフォームの工事期間は「1週間以内」が58.9%で最も多く、次いで「1か月以内」が15.4%でした。事例に「工期は三か月」とあれば、それは統計の中でごく少数側の工事だということです。工期が長い=規模が大きいので、金額もその前提で読みます。工程の中身は名古屋のリノベ期間と流れにまとめました。
四つ目は、築年数と構造。 同じ「フルリノベーション」でも、築の浅い物件と古い物件では、配管・電気容量・断熱の扱いが変わります。築年数によってどこに費用がかかるかは中古マンションの築年数の見方で整理しています。
五つ目は、物件価格との合計。 リノベーション費用だけを見ても、実際に必要な金額は分かりません。中部圏不動産流通機構の月例速報によれば、2026年6月の愛知県の中古マンションの成約価格は2,573万円です。これにIROHAHOMEのマンションリノベ定額制の税込価格437.8万円を足すと、約3,011万円。事例を見るときは、この総額の感覚を持っておくと判断がぶれません。
事例を出している会社の見方
事例の中身と同じくらい、それを出している会社の情報も確認できます。特に金額に関わる制度上の境目があります。
建設業法施行令第一条の二は、建設業の許可が不要な「軽微な建設工事」を次のように定めています。
「法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。」
つまり、1件500万円以上の工事(建築一式工事なら1,500万円以上)を請け負うには建設業の許可が要ります。事例の金額帯がこの線を超えているなら、その会社は許可を持っているはずです。
同条第2項には、次の定めもあります。
「前項の請負代金の額は、同一の建設業を営む者が工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額の合計額とする。ただし、正当な理由に基いて契約を分割したときは、この限りでない。」
契約を分ければ許可が要らなくなる、という抜け道はないということです。「工事を二本に分けて契約しましょう」と提案された場合、その理由を確認してください。
トラブルの実態も公表されています。独立行政法人国民生活センターがPIO-NETに登録された相談件数として公表している数字では、訪問販売によるリフォーム工事の相談件数は2022年度10,099件、2023年度11,878件、2024年度9,820件。点検商法の相談件数は2022年度8,166件、2023年度12,550件、2024年度19,215件と増えています。
この数字は、事例の見方にも関係します。訪問販売や点検商法で契約に至る流れには、比較の時間がありません。事例を見比べて相談先を選ぶという行動は、それ自体がトラブルを避ける手順になっています。
「紹介がない人」のための事例
もう一つ、統計から見えることがあります。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査で、リフォーム実施世帯が施工者を探した方法は「以前からつきあいのあった業者」が28.5%で最も多く、次いで「知人等の紹介」が25.5%、「インターネット」が20.7%でした。
半数以上が、つきあいか紹介で決めています。裏を返せば、名古屋に越してきたばかりの人、はじめて家を買う人には、その手がかりがありません。事例は、その人たちが会社の実力を判断するための材料です。
だから事例を見るときは、「きれいかどうか」より「自分の条件に近いか」を優先してください。築年数、面積、間取りの変更の有無、予算帯。この四つが近い事例が複数あれば、その会社はその条件の工事に慣れているということです。
事例を見比べる前に確認したい三つのこと
同じ範囲で並べ直してください。 事例Aが本体工事のみ、事例Bが照明・カーテン込みなら、Aに同等の金額を足してから比べます。範囲がわからない事例は、比較の対象から外すか、問い合わせて確認してください。
築年数と構造を先に絞ってください。 自分が検討している物件と築年数が大きく離れた事例は、参考になる部分が限られます。配管や電気容量の扱いが変わるからです。
総額で考えてください。 物件価格、リノベーション費用、家具・家電、諸費用。愛知県の中古マンションの成約価格は2026年6月で2,573万円、耐久消費財の平均は86万円です。工事費だけを見ていると、入居時の資金計画がずれます。購入時の諸費用は中古マンション購入の諸費用にまとめました。
よくある質問
Q. リノベーションの事例の金額は、そのまま自分にも当てはまりますか。
当てはまりません。含まれる工事の範囲が事例ごとに違うためです。国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査では、リフォーム資金の平均は170万円ですが、これは給湯器の交換から住戸まるごとの工事までを同じ母数に入れた平均です。事例を読むときは、金額よりも先に「何をした工事か」と「どこまで含まれているか」を確認してください。
Q. 事例の写真にある家具は、金額に入っていますか。
通常は入っていません。国土交通省の同じ調査では、リフォームを契機に購入した耐久消費財の合計金額は平均86万円、中央値40万円でした。写真どおりの暮らしを始めるには、工事費とは別にこの程度の予算を見込んでおく必要があります。
Q. 会社が建設業の許可を持っているかは、どう確認しますか。
建設業法施行令第一条の二では、1件500万円未満(建築一式工事は1,500万円未満)の工事のみを請け負う場合、許可が不要とされています。逆に言えば、それ以上の工事を請け負うには許可が必要です。許可番号は会社のウェブサイトや契約書面で確認できます。また同条第2項により、契約を分割しても請負代金は合算して判定されます。
Q. 「工事を分けて契約すれば安くなる」と言われました。
金額の話とは別に、制度上の注意があります。建設業法施行令第一条の二第2項は「工事の完成を二以上の契約に分割して請け負うとき」は各契約の請負代金を合計して判定するとしています。ただし「正当な理由に基いて契約を分割したとき」は例外です。分ける理由が説明されるかどうかを確認してください。
Q. 物件価格を含めると、名古屋ではいくらになりますか。
中部圏不動産流通機構の月例速報では、2026年6月の愛知県の中古マンションの成約価格は2,573万円です。IROHAHOMEのマンションリノベ定額制は税抜398万円・税込437.8万円なので、単純に足すと約3,011万円になります。これは平均値を使った例示であり、特定の物件の価格ではありません。実際の総額は物件と工事範囲で変わります。
気になった事例を、条件で読み替えます
事例は、写真を見て「好き」と思うところから始まります。ただ、そこから前に進むには、金額の範囲・築年数・構造・工期という条件に読み替える作業が要ります。
IROHAHOMEは名古屋市内で、中古物件の購入からリノベーションまでを同じチームで担当しています。気になる事例(当社のものでなくても構いません)をお持ちいただければ、その工事に何が含まれているか、ご検討中の物件で同じことができるか、総額でいくらになるかを一緒に読み解きます。物件がまだ決まっていない段階からご相談いただけます。
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